殺人事件の被害者家族が、犯人を八つ裂きにしてやりたいとか言って、弁護士が犯人を弁護することさえ不当であるかのように非難したり、まだ犯行を認めていない容疑者の段階から、警察の取調べが生温いと八つ当たりすることがあります。
家族の立場に立ったら、その心情はよく理解できるのですが、家族でない者までもが同じように冷静さを失って騒ぐのは、異常であり怖いことです。
拉致事件をめぐる日本国内の、ここ2年間の状況は、これと同じだったと思います。
国交回復交渉の促進を主張したり、過去の清算を言うと、お前の家族が拉致されても、そんな暢気なことを言ってられるかとばかりにやり返される。このサイトでも私は2度ほど同じ非難を受けました。
しかし、もう一度言います、家族が冷静さを失って取り乱すのは無理もないことですが、家族でない者までもが、同じように集団ヒステリー状態になるのは異常なことなのです。
もう一つ、拉致家族の立場に立って考えろと主張するときは、強制連行された朝鮮人の立場に立って考えることも忘れてはなりません。北朝鮮の人達は、戦後だけでも59年、拉致家族と同じような気持ちで日本を恨んできたのだろうなと気づけば、一刻も早く過去を清算して国交を回復しなければならないことが理解できると思うのですが。