北朝鮮に関するスパルタクスさんのご意見に全面的に賛成します。
これまで北朝鮮とは6ヵ国協議も含めこの間、首脳会議2回を始め、実務担当者ク
ラスではもう数え切れないほど会談を重ねている。
しかし拉致問題では当初生存が発表された5人とその家族しか「帰国」が実現せず、
その他の不明とされた10人については殆ど進展していないのが現実である。
今行われている実務者会議でも、横田めぐみさんの夫との面談や、一部といえこれ
まで判明していなかった新たな資料の提供があったものの、用意したチャーター便は
結局活用出来ない様である。
私たちは冷静に「経済制裁」を背景にした日本の「圧力外交」が殆ど破産している
こと、正直北朝鮮の政権上層部に日本は外交交渉の相手にすらされていないことを確
認すべきなのです。
おそらくごく一部の国を除き世界の大半の国々を敵か、非友好国としながらその間
を巧みに潜り抜けて来た北朝鮮と、ただアメリカに追従するだけで独自外交努力を放
置してきた日本とは、外交上の手腕には雲泥の差があることを私たちは知るべきなの
です。
しかし同時に、北朝鮮にとっても「小泉在任中の国交正常化」は両国間交渉の前提
的条件になっており、韓国が1965年の日韓交渉によって得た、不十分といえ経済
援助を含めた賠償・補償見合い相当分を得ることは、国家再建の大きなポイントとなっ
ていることも事実なのです。
さて、このことを是とするか否とするかは別にして、巨大多国籍資本とアメリカに
よって世界の経済軍事化、グローバル化が進み、このことを見据えずにはまともな国
際競争に勝てない現実があり、また東アジアで重要な地理的要因を占める北朝鮮を抜
きにしては、経済的にアメリカにもEUにも対抗出来ない事を知りながら、極めて即時
的にブッシュのテロ戦争宣言に威嚇され、拉致問題の判明をこれ幸いと、排外主義の
利用にのめり込んで、己の姿すら見失っているこの国の外交には正直、明るい展望な
どのないのです。
考えてみればわかることです、過去、日清戦争、日露戦争、「満州」と15年戦争
は、何ゆえ引き起こされたのか?なぜ多大な犠牲と損害を払って無理やり戦争が実行
されたのか、それは日本という資本主義国、帝国主義国が東アジアにおいて存在して
いく為には朝鮮半島、そして中国東北部が必要だったからです。
その関係は今も殆ど何ら変わっていない、長い停滞を続けるこの国にとって、巨大
資本にとって、中国、ロシア、シベリア、そしてヨーロッパの窓口となる朝鮮半島北
部の経済ルート化は絶対必要です、北朝鮮がこれ以上閉鎖される事はこの国の資本・
経済にとって大きな耐え難い損失になっている。
それを判っているから中国も韓国もそしてロシアも嫌々ながら、無茶を言う北朝鮮
との関係を保っている。
勿論これらは北朝鮮の全面的崩壊が、かつての東欧崩壊に以上に、これらの国々に、
また日本に膨大な負担となることも知ったうえです。
拉致被害家族や右翼排外主義の人々ががなりたてるように、北朝鮮外交はそう単純
ではない、圧力や経済制裁で片付く事ではないのです。
国を開くにはまず国交を正常化することが何よりも必要です、人同士の、経済的交
流の後に国家的交流は深まっていきます。
それによってこれまで閉ざされていた殆ど全てのものが判って来る、隠されて来た
情報も明らかにされる。
そして何よりも、これまで抑圧されて来た北朝鮮の人々に自由の領域がずっと広が
る、在日の人々との交流も増加するでしょう。
餓えの報道もなくなり、離散家族も解消され、北朝鮮との国交回復によって、東ア
ジアの共存と平和は今より何倍も強くなる、安定が得られ、やがて南北統一も実現さ
れていくのです。
首すくめた亀を幾ら叩いても、亀はより閉じ困るだけで何にも出ては来ない、自由
を与え糧を与えて初めて亀は歩き回るのです。
日清・日露を持ち出しましたが勿論、私は戦前の右翼とは正反対の立場にあります、
また世にはびこる経済のブロック化論(北米、EU、アジアの3ブロック)にも反対で
す、これまで述べた事柄もあくまでも、ジョン・レノンの「イマジン」の世界の実現
を目指すうえでの過程の出来事として、ほんのささやかな前進であることは言うを待
ちません。