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「北朝鮮問題」討論欄

党員であり続けることに迷いがある私

2004/12/02 本田 40代 会社員

 本田と申します。題名通り現役党員です。

 とおりすがりNさんの2004/11/28「日本共産党への支持に迷いがある私」に共感します。しかしそれでもなお、党への支持を訴える為、投稿します。

> しかし『こうしたことを嫌だ』と感じるのと同じぐらい北朝鮮については『騙された』という気持ちを強く持っていることも事実なのです。騙されたという表現がまずければ『北の体制はすばらしい』と30年以上も前に信じていた自分の『目の曇り』に対する自責の念です。誰かが正しいといったから正しいというのでは無く、≪自分の感性と自分なりの証拠の分析によって自分自身で正しいと認められることを正しいとし、自分自身が納得できないことはやはり保留しておいて、常にそうしたことを念頭に置きつつ物事を観察し、判断するということが人生にとって重要なことである≫と・・・、年を取ってようやくそう思うようになってきました。

 本田も全く同感です。特に、≪≫で囲った部分について意を強くしました。ありがとうございます。
 私も若い頃、特に学生時代は党または党中央を美化し、中央の方針と食い違う考えを持つのは、学習不足で理解できないからだ、中央の方針を学べば理解できるようになる、などと考えていました。マインドコントロール状態にあったといえば、大げさですが、自分の頭で考えていなかったことにはかわりありません。
 就職し一度転職してからは、いろいろな人と接したからでしょうか、党中央が言うことが全て正しいわけではないと思うようになりました。2002年9月前職を辞め故郷に戻ってから、党史や社会主議論など以前からの疑問点をインターネットで調べたのです。そしてさざ波や下に紹介するsiteに気が付いたのです。学者・研究者だけでなく多くの一般人も既に何年も前から様々な論議をされていたわけです。

> 私がまだ中学校の生徒だったころですからもう何十年前の話になるのでしょうか、大分大昔です。先生方は共産党員またはシンパは多かったと思います。そして、北朝鮮はすばらしい国で南朝鮮が疲弊し農作物もロクに取れずにアメリカの軍事政権によって苦しめられているのに対して北には青々と畑が広がり年々人々の生活は良くなりつつあり天国のような生活をしている・・と・・、実際、学校の社会科の授業の中でこういう話を聞きました。勿論、社会科の先生の言うことをすっかり信じた私は北朝鮮はすばらしい国だと信じました。当時、北は地上の楽園だということで北に帰国していく人々の嬉しそうな様子が新聞を賑わしてもいたころでした。当時の共産党はどう言っていたのでしょうか。

 私は1957年生まれで、小学校(中学校ではないと思う)の社会科の授業で、韓国と比べ北朝鮮は農業・工業が発達した豊かな国だ、という教育を受けた記憶があります。しかし「帰国事業」の状況は記憶にありません。
 当時の状況は、宮地健一さん(元共産党員、本田が最も信頼する共産党・社会主義ウォチャー)が詳しく分析されています。それによると、

>日本共産党は、この運動を全面支援しました。「赤旗」でのキャンペーンだけでなく、日本共産党員映画監督山本薩夫に指令し、記録映画『千里馬(チョンリマ)』を撮らせ、日本全国で上映運動を展開し、93346人の帰国に大きな役割を果しました。日本共産党は、金日成の『千里馬』運動を、英雄的な社会主義建設事業と絶賛しました。

とされています。詳しくは、
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/chosen1.htm#m4 の「4、祖国帰国事業の謀略、93000人の人質と身代金、拉致協力強制政策」、 http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/chosen2.htm の「7、日本共産党と朝鮮労働党との関係史」を参照願います。

 また、宮地さんがlinkしている黒坂真さん(大阪経済大学経済学部助教授。さざ波の「左派」の方々から忌み嫌われる「右翼」です。私も好きではないが、正しいことを言っている部分は相応に評価せねばならないと考えます。)は、

>約9万3千人もの方々が北朝鮮への帰国を決意した一つの重要な背景は、宮本顕治氏ら日本共産党員がソ連や北朝鮮など共産主義国を美化し、共産主義国についてありえぬ幻想を日本社会に広めた史実がある。
宮本顕治氏は日本共産党を代表して朝鮮労働党第四回大会で演説し、以下のように北朝鮮を美化した。(「赤旗」昭和36年9月15日掲載)

とされています。詳しくは、
http://www.ne.jp/asahi/makoto/kurosaka/bika1.htm を参照願います(「右翼」のsiteを参照するのは不快ですが、我が陣営がこのような批判的考察を怠ってきたのだから甘んじて利用するしかないと考えます。非難するのではなく、超克することが必要です。)。

宮地さんによると、

>「祖国帰国事業」は、1959年から1989年まで続き、93346人、内日本人妻1831人を含む日本人6800人が北朝鮮に帰国しました。ピークは、1960・61年

とのことで、さすれば、宮本氏はピーク時に北朝鮮で北朝鮮を賛美する演説をしたことになります。

> しかし、今、北朝鮮はけして地上の楽園では無いことを誰もが知り、それどころか戦前の日本の体制のようだし、あるいはそれよりもっと悪いようだということも知っているでしょう。北への批判が真実かどうか根拠を問題にしている方もおられるようですが、北の強制収容所の話まで幻想だとかたずけるわけでは無いでしょうね。

 もちろん本田は片付けませんが、残念ながらさざ波にもそれに近い方がおられます。北朝鮮による日本人拉致が、日本による朝鮮侵略と関係あると考える方。拉致問題解決前に国交正常化が必要と考える方。国交正常化すれば拉致問題が解決すると考える方。よらば大樹の陰さんもそうですね。冷静に北朝鮮を見れば、そんな「奇麗事」で解決するはずが無いことはわかると思うのですが。。。

 これらの方々は、「かくあるべし」と言う願望(格好良く言えば世界観でしょうが、夢想・思い込みとも言い得る)を基に現実を見、将来を考えているのだと思います。また一部には、感覚・感情にあまりに依拠した発言をされる方もおられます。そこから、頓珍漢な現実認識や対策が出て来るのでしょう。(これらの願望のかなりの部分が、旧来の社会主義・共産党の世界観から導き出されたものだと私は考えていますが、長くなるので立ち入りません。)
 それらの願望・感情などを全否定するものではありません。私もブッシュや小泉のような戦争勢力は憎い。殺してやりたいくらい憎い。しかし、感情にまかせた攻撃や願望による相手の軟化を唱えても、先方は痛くも痒くもありません。世間一般の人に受け入れられる道理の通った冷静な具体論を構築し、それを基に多数を結集し、小泉政権に実行を迫ること。更に、政権を取り、その政策を実現することが最も有効だと思います。
 そのような具体論の構築は非常に難しく、私自身も不充分です。しかし、失礼を承知で言わせていただきますと、これらの方々の議論からは冷静な具体論がほとんど感じられません。

 個別の論点への私の意見は、とおりすがりNさんや虹の彼方さん・正義味方さん・KM生さんに大方同じです。宜しければ、以前投稿した、
「有島実篤さん、さようなら」2004/07/23
「金正日による拉致--有島実篤さんへ反論」2004/08/06
「拉致問題――有島さんに答えて」2004/08/14
「RE: 経済的制裁には反対です」2004/08/19
を参照いただければ幸いです。(有島実篤さんへの反論が多いですが、当時たまたま彼と議論をしその過程で調べ考え書いたからです。ここで彼を攻撃する意図はありません。)

 先日私は一般投稿欄に、主張の根拠を書いてください、事実とそれに基づく判断が判るような書き方をしてください、狭い内輪の人間だけに通じる事実認識や表現方法ではダメ、レッテル貼りでない具体論を聞きたい、と投稿しました。全く同じことをこれらの方々に訴えたい。

> 昨年の今頃でした、赤旗を購読している私のところにカンパをもらいにきた党員の方に、良い機会だと思い、北朝鮮の問題についてどう考えているのかと聞いたのです。すると、共産党が最初に拉致問題を国会で取り上げ、十分な活動をしているし非難されるべきことではないことを一方的にしゃべり、挙句の果てにカンパを受けずに帰ってしまったのです。私が何を聞きたかったのかわからなかったのだなと・・・そう思いました。何も共産党を非難しようとして言ったわけでもないのに。勿論、私は批判はあるし、聞きたいこともたくさんありますが、何も善悪論争をやろうと思っているわけではなく、何故、1960年代には北朝鮮がすばらしい国だと言っていたのか、あるいはそれは私の誤解だったのか?どこにそういう原因があったのか・・・そんなことを検証したいというのが私の気持ちだったのですが・・。

 以前私も党の支部会議で党史と国際問題とについての問題点を話した際、そう言った問題は中央にまかせれば良い、などと言われた経験があります。党外の出版物には、党内の物には無い様々な事実や考え方があると言うと、そんな物読まず党内の物を読めば良い、とも言われました。事実を事実として見ることが出来ない党員がいるのは確かです。中央が腐っているだけでなく、末端も一部は別の意味で腐っているのです。

> 以後、カンパも出す気がなくなってしまい、今ではそろそろ赤旗の購読もやめようかとも思っています。ただなかなかやめられないのは、気が弱そうなお年の方が一生懸命毎月集金に来る姿を見ていると、こういう方々を困らせることになるかもしれないなと思って止められずにいるというわけです。
> そういう気持ちで居る私にとって、ここで議論している内容がどれほど空虚に映るか、皆さんに理解していただけるのでしょうか・・・。たぶん理解できないのだろうなと思いつつ感想を述べさせて頂きました。

 大変僭越ですが、とおりすがりNさんのお気持ち、本田はわかるつもりです。少なくともわかりたいと思います。私自身、党を辞めるべきか続けるべきか、と迷っているからです。それでも最後の一線で留まっているのは、

1. 党改革の可能性を完全には捨てきれない。例えばさざ波があるからです。党に関心を持つ人々が集まり、それぞれの問題意識を出し合い、意見を戦わせる。先ほど書いた「これらの方々」の主張は私は誤りだと考えますが、彼らの問題意識は基本的には私と同じ物であり、従い、相応に評価せねばならないと考えます。さざ波も含めたinternetから頑迷な党中央を覆す力が育つことを期待しています。

2. 小泉=Bushの悪政に少しでも歯止めをかける現実的な政治勢力の中で、今のところ党が最大の力を持っていると思うからです。

 勿論、本田個人やさざ波だけでは党改革の力など全く不充分です。しかし例えこのような微力であっても活動を続けることが、将来への希望をつなぐことになると信じております。長文を読んでいただきありがとうございました。