しんぶん赤旗電子版(12月16日)によると、志位委員長は「道理なく政府間交渉で許されない態度」という談話の中で、
北朝鮮外務省スポークスマンは、「めぐみさんの夫が自分の妻ではない他人の遺骨を日本側に渡したというのは想像もできない」とのべているが、めぐみさんの「夫」とされる人物は、拉致を実行した「特殊機関」の要員であることが判明している。このことは、この人物が「遺骨」を渡したという事実が、科学的な精査の結果を否定する根拠とはなりえないことを、示している。むしろそれは、虚偽の「資料」の提供に「特殊機関」が介在しているという重大な事実を浮き彫りにするものである。
これに呼応するかのように、毎日新聞電子版では、NGO「レインボーブリッヂ」の小坂浩彰事務局長が明らかにした話として、
拉致被害者の横田めぐみさん(行方不明時13歳)の「遺骨」が別人だった問題で、朝鮮労働党の幹部が「鑑定が事実なら関係者を厳しく処罰しなければならない」と、訪朝したNGO関係者に話していたことが分かった。幹部は、めぐみさんについて「死亡は事実」としているが、北朝鮮側がこの問題で担当者の処分を示唆したのは初めて。
とあった。
これで、北朝鮮側のシナリオが見えてきたようだ。横田めぐみさんは墓地に埋葬したのであるが、それも水害で流失してしまった。しかし、「夫」なる人物は、遺骨があれば、日朝間の交渉もスムーズに進むと考えた。そこで、もし、遺骨が提供できれば、自分の立場も有利になるとの、まったくの利己的な動機から、捏造を行った。とまあ、こんな話になろうか。
ここで、注目したいのは、志位談話の内容と小坂浩彰事務局長が聞いた話とが奇妙に符号していることだ。
私の党員時代の経験を今振り返ってみると、共産党は党全体として方針の誤りがあってピンチにたったときには、それを最高幹部の責任にするのではなく、下部の責任として切り抜けることがよくあった。1964年の4・17ストを巡る経過はその典型であろう。そのような党であるとの前提で考察すると、志位談話は、北朝鮮の上層部を傷つけずに、難局を切る抜ける処方を伝授していると見ることも出来る。でも心配するには及ばない。この点では、北朝鮮の方が一枚も二枚もうわての筈である。