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「北朝鮮問題」討論欄

「ひのもと政策」(日本型太陽政策)を提唱する

2004/12/21 南雲和夫 30代 大学講師

「ひのもと政策」(日本型太陽政策)を提唱する―日朝関係打開へ向けて

1. はじめに
 現在、日本と北朝鮮との間の関係は、拉致問題をめぐる北朝鮮側の拙劣な対応と、日本国内における感情的な反感とがあいまって、戦後最悪といってもよい状態にある。勿論、拉致問題を初め、いわゆる「不審船」問題、「テポドン」ミサイルの発射実験などなどに至るまで、主として関係悪化の原因は北朝鮮政府にあるのはいうまでもない。しかしながら、戦後60年近く経過し、いまだに直接の戦闘を交えたこともなく、又東アジアで韓国とともに国際連合に加盟している北朝鮮と日本が、未だに国交はおろか非公式な形での外交交渉の機関を設置していないのは異常というより他はない。
 さらに、拉致問題をめぐって被害者の家族や、又これらと連携している「救う会」幹部や、いわゆる政権与党の少なからぬ議員より、「経済制裁」「金正日政権打倒」などが主張されている。しかし、世界のどんな性格の政権であれ、その国の政治の誤りを正すのはその国の国民であり、またある国がテロ、または国家規模で行った犯罪を糾すのにその国の政権を転覆することが正当化されるのであれば、国際秩序は崩壊し、人類が多年にわたって築きあげてきた国際法体系も意味を一切なくしてしまうであろう。
 また、現在の北朝鮮の政治体制を見るとき、いわゆる「経済制裁」が及ぼす影響は、少なくとも少数の国家の指導層(そしてその恩恵を受けている階層)にいくことは考えにくい。逆に、現在の政権の内部でむしろ抑圧、ないしは阻害されている階層にその被害が及び、かえって現在の政権の基盤を強化する―すなわち、日本側の対応にこそ問題があるという、権力側の宣伝に一定の真実性を与える―という方向へつながりかねない。これでは、民主化を願う北朝鮮の一般民衆はもちろんのこと、日本国内で民主化を願う多くの良心的な在日朝鮮人にも、かえって悪影響を与えてしまうことになるだろう。(続く)