4月5日文部科学省は、来年度から使用する中学校の教科書の検定結果を発表
した。
韓国と朝鮮(共和国)、そして中国が懸念を表明していたようにその結果は唖然と
いうか、「この国の今」を明らかに書き写したものだった。
歴史や公民教科書から「戦前の歴史」が見事に抹消されてしまった。
「軍隊慰安婦・日本軍性奴隷」の記述がどの教科書からも姿を消し、60万在日の
人々の存在の主要な原因でもある「強制連行」も2社に減少した、このままだといず
れ「南京大虐殺」も「731部隊」もこの国の歴史から抹消されて行くだろう。
歴史とは過去を点検し記録し、後世に経験として生かすことである。
今の社会や政治、また為政者にとって都合の悪いことでも、それを明らかにし、明
確に記録し継続性を持って後世に伝えられなければ、その経験は忘れられ再び復活し
てしまう、それは過去の歴史を見るまでもなく人間の宿命でもある。
この国では戦後ずっとヒロシマ・ナガサキ・東京大空襲などの被害の歴史は教えて
きたが、軍隊慰安婦、強制連行、竹島(独島)そして満州・中国侵略などの加害の歴
史は、子ども達には殆ど教えられてこなかった、事実今、若者達はそれらを殆ど知ら
ず、関心を持っていない。
また世界1の長寿国といえど、子どもや孫達に体験としての歴史を教え、語り継い
で来た、祖父母の世代も少なくなって来た。
その国にとって些細な過去として忘れられた事実でも、被害を受けた人々にとって
非常に重大なこともある(竹島・独島の領有がその典型だ)。
韓国では民主的な政権の登場によって、解放後続いた軍事独裁政権の歴史にメスが
入れられ、隠されていた事実と真実が明らかになり、国民に共有されようとしている、
子供達は教科書によって日本による植民地支配を知り、そして「独立記念館」の見学
がカラキュラムに組み入れられた事によって、国の歴史と過去を知ることが出来る。
今回の検定で「つくる会」教科書の「竹島」記述で、当初の「韓国とわが国で領有
権をめぐつて対立している」が「韓国が不法占拠している竹島」に変更されてしまっ
た。
これは「大局を見て」の態度ですらなく、歴史検証を放棄し、一方的に決め付ける
ものだ。
国際的関係の微妙さすら、教えられないとしたら結論は早い、「領土は戦争で奪え」
と子ども達に教えろと言うことなのだ。
しかし「教科書の採択」はこれからである、私たちの行動と力で「つくる会」教科
書の採択を阻み、またそれに追従してしまった他の不適切な教科書の採択をも阻んで
いこう。