今ある町で在日韓国人夫妻が、家主と不動産仲介業者を相手に入居差別を受け
たとして訴訟を行っている。
事の起こりはこうだ、結婚のため不動産屋で物件の紹介をうけ、気に入っての入居
申し込みを行っていたところ、家主の母親が来て書類を見て「ワッ韓国の人か」と露
骨な差別的言辞を吐いたことから始まる。
そもそも不当な差別を許さないために、不動産業界は本籍地を記入する必要のない
申し込み書を置くようになっているが、当該業者の認識不足から旧来の不適切な用紙
を置いていたのだ。
しかしこの裁判はどこの入れ知恵か不明だが、当初の明確な「韓国人差別事件」か
ら様相が変わり、被告側は、原告たちの「差別問題糾弾、運動の為のでっち上げ裁
判」だしとして、全面対決の様相を見せ始めている。
当初の家主と不動産業者の認識不足から発生した差別事件が、その行為の正当化と、
もみ消しの方向に捻じ曲げられようとしているのだ。
ところが今日の裁判の後、私たちは新たな入居差別事件の発生を知らされる事となっ
た、裁判の弁護団の一人在日の女性弁護士が「大阪で同じような差別を受けた」と報
告してくれたのである。
彼女は日本語ベラベラで、かつ日本ではエリート層と考えられる弁護士である、そ
の彼女さえ「外国人は入居まかりならぬ」という露骨な差別を受けたのだ。
被差別部落問題は法的・財政的措置によって全てが解消した筈なのに、依然どこか
しこで差別用語が飛び交い、結婚・就職差別で悩む人があとを絶たない、インターネッ
トはその典型だろう。
今の子ども達は、かつてのように親から差別を教えられなくても、教科書以上に詳
しいインターネットで差別を知り、いじめに加わるのだ。
そう云えばこの地方で、行政書士による組織的な戸籍の不正取得、横流し事件が発
覚した、結婚や就職の身元調査として興信所に売るためである。
これらは差別が決して解消していない、温存どころか、新しいシステムと資本行政
が推し進める弱肉強食策、貧富差拡大の中で、相手に勝ち生き残る為の手段として、
より拡大し普遍化していることを示している。
私たちは日本国憲法によって基本的人権を保障され(11条)、一切の差別を受け
ないし(14条)、また丁寧なことに「国民保護法」や「人権保護法」などでも(意図
は全く違うが)手厚く保護・保障?されている。
しかしこの国の首都の知事は、いくら批判されても「シナ」とか「三国人」とか「バ
バア」など言いたい放題である、この国の首相も近隣諸国への歴史的誤りや、基本姿
勢をいくら批判され、助言を受けても、知らぬ存ぜぬで全て押し通している。
ある町の市議会選挙では、ある政党が「箱型行政と同和によるムタをなくそう」と
臆面もないスローガンを掲げていた、圧倒的与党と対決するためのスローガンなのだ
ろうが、それこそ差別であり、愚民政策ではないのか?良心のある人は本当に良く考
えて欲しいものだ。