1974年、韓国朴独裁政権下で、日本人2人を含む民主化運動関係者が大量逮捕され、内首謀者8人が処刑された「民青学連事件」は民主化運動の弾圧を企む朴政権のデッチあげ弾圧であることが、かの韓国・KCIA・韓国中央情報部を前身とする、韓国「国家情報院」の真実究明委員会の手によって公表された。
韓国では民主主義の定着化を反映するように、東西冷戦下の軍事独裁政権による民主化運動や民族運動への激しく厳しい弾圧の状況が、次第次第ではあるが明らかになりつつある。
先には北朝鮮部隊の青瓦台(大統領府)侵入事件に対抗して結成された、韓国特殊部隊の反乱=「シルミド事件(既に映画化された)」の真相も、完全ではないが明らかにされている(33人と言われる反乱部隊のうち、遺体確認が出来たのは未だに21人と言う)。
この公開記事を読んで、1971年ソウル大学に留学中に逮捕された、在日朝鮮韓国人である徐勝さんの「獄中19年(岩波新書)」を改めて読み直すと、今更ながらその非人間的な拷問や弾圧に寒気を覚える。
韓国では今、「過去」を見直す作業が、政府の全力をかけて行われている、日本による戦前の強制連行・強制労働や、軍隊慰安婦問題の真相糾明も、昨年設置された同委員会のスタッフを倍増して(100人から200人へ)行われ、今は、日本や樺太などに残された朝鮮人「遺骨」の収集問題をターゲットにして活動している。
また約20万人と言われる「被害申告者」の調査も、遅々とはしているが進められている。
また魯武鉉大統領が声明した「大韓航空機撃墜事件」などの真相究明も、やがて明らかにされるだろう、また韓国国会では「親日分子の財産没収法案」も野党ハンナラ党の反対を押し切って決議された。
これらは日本政府の一貫した非協力の姿勢にも係わらず、韓国政府の命運さえかけた施策として取り組まれている、これはやはり何よりも韓国の民衆自らの力で勝ち取ってきた「民主化」の成果以外の何物でもない。
勿論、幾ら民主化政権、市民運動経験者の大統領と言っても限界があり、魯政権による労働運動弾圧、非正規雇用の増大、貧富の格差拡大など韓国の労働者の闘いの課題は多い。
しかし私たちの日本と、韓国とのこれらへの取り組み姿勢の違いの差はなんなのか、いつも考えさせられてしまう。
だが何事も不利なものには蓋をして、真実を隠してしまう日本には、いつか必ずそのツケが回されてくるだろう。
それにしても在日の人々の、韓国また朝鮮の墓参りや自由な祖国への往来がいつ自由となるのか、「近くて遠い国」がいつ本当に解消するのか、戦後60年の今、大きな課題として考えてみたい。
(韓国籍の人々でも一旦祖国に帰国しても、日本への再入国にはビザ・パスポート以外に別途の申請が必要である、在日の一部の人々によって手続き緩和の運動が開始されている)