金英男さんのお母さんの崔桂月さんと姉の金英子さんが「朝鮮南北離散家族再開事業」の中で北朝鮮を訪問して、再開することになった。
これに対して訪朝は北の幕引きに手を貸すものだとか拉致問題の犯罪性を隠蔽するものだという批判がある。
北の目的はそうだろう。だからそれを批判するのは当然だ。 しかし、親が子どもに会うことを批判したり、牽制するのは納得できない。確かに、北朝鮮を訪問して会うことは、北の宣伝に利用されるだろう。しかし、亡くなる前に一度でいいから息子に会いたいという親の気持ちをどうして非難できるのだろうか。非難する人たちは、その願いを叶える方法があるとでも言うのだろうか。少なくても家族の帰国と引き換えに身代金を犯罪者に払う形になった小泉首相よりは、はるかにましだと思う。
拉致問題から目を逸らすな
小泉訪朝という「歴史的外交」がまやかしであることを一番よく知っているのは、当の小泉首相自身だろう。今や小泉外交は稚拙な北朝鮮外交のツケに搦とられている。
国民の中には、「金正日総書記に拉致を認めさせたことは、小泉首相の大きな成果だ」と考えている者がいるかもしれない。しかし本当に金正日は拉致を認めたのか。日朝平壌宣言のどこにも、拉致問題は明言されていない。当時の報道では、「北朝鮮の一部の者が犯した遺憾な行為であり、金正日総書記はこれを認め謝罪した」ということになっている。しかし、何を根拠にわれわれはそう信じてしまったのだろうか。確たる証拠や正式な発言記録は存在するのか。わが外務省が報道機関をミスリードし、マスコミがそのまま垂れ流しているのではないか。この点は徹底的に検証されねばならない。
自らが訪朝して仕掛けた拉致問題が行き詰まっている今、どうして小泉首相は金総書記と直談判を重ねて決着をつけようとしないのか。どうして国民はそのことを要求しないのか。略
小泉首相、外務省が北朝鮮との国交正常化をあせるのは、手柄を立てたいからである。家族の帰国と引き換えに身代金を要求されたとの報道がなされたこと自体、恥ずべきことである。北朝鮮は拉致という犯罪を犯したのだ。拉致被害者の帰国を求めるのは正当な権利であって、これを日朝正常化交渉のカードにするなど言語道断である。(さらば外務省!天木直人著)
拉致問題が進展せず、日朝正常化の見通しが立たなくなった途端、後は知らん振り、これが小泉政権の正体だ。このような政権を美化、擁護している人たちに、自分の子どもに会いたいという親の気持ちを非難する資格はない。