北朝鮮のミサイル発射のねらいは何だったのか、米・朝
二者協議を迫ることだったのか、それなら何を協議したかった
のか、アメリカの「ならず者国家」視を改めさせ、先制攻撃の
危機を回避することにあったのか、それならミサイル発射など
すれば一層、先制攻撃の危機を招くことになる、それともアメ
リカによる金融制裁を解除させることをねらったのか。
ところで、金正日が半年ほど以前に中国を訪れて胡錦涛に会
い、そのあと突然、広州に出向いてからマカオに宿泊したとい
うニュースもあるが、この行動は凍結されているマカオの自己
資産と関連しているとみた方が妥当だろう。つまり、アメリカ
による金融制裁を解除させるための現地視察だったのではない
か。同時に、中国にとっても、アメリカの対朝しめ付けが度を
超すことは望ましいことではなかったものといえる。
ともかく、そういう環境でミサイル発射を強行したのであり
、それだけに中・ロからの了解取り付けなしには不可能だった
だろう。つまりは、経済制裁を含めた北朝鮮締め付け政策は、
北に暴発の口実を与え、また暴発を誘発する危険が強いことだ
けでは確かである。
さて、日・朝をめぐる諸問題には拉致問題の解決が不可欠で
あるが、そのためには「日朝平壌宣言」にもとづいて日・朝の
国交正常化への道筋をひらくことが必要である。つまり日本は
、そういう日本の歴史的責任を自覚することによって、戦争と
植民地支配を未だに継続したままになっている「北」に対する
不正常な状態を一日も早く清算することが不可欠なのである。
日本が過去の問題に真剣に取り組んでこそ、頓挫している日朝
交渉を再開できる目途ができ、拉致問題解決への国際的な共感
も広げることが可能となるだろう。
対米べったりの威圧的姿勢で拉致問題を解決できるなんて、
まさか安倍や額賀ですら本気では考えていないだろう。彼らが
真剣に考えているのは拉致問題も利用しての日米軍事同盟を再
編・強化することである。われわれは、AALAやEUなどの
国際的協力を獲得し、韓国とも強力に協力しあって真の解決を
めざしていきたいものである。
周知の通り、かって、ベトナム戦略の必要上、いわゆるニク
ソン訪中によって米・中の国交が開かれたが、これによって、
はじめて日・中の国交も回復でき、日本人孤児たちの帰国も可
能になった。しかし、それまでの戦後長期間にわたる戦争状態
の継続のために、取り返しのつかないような不幸も蓄積され、
そのしこりは未だに払拭しきれていないことなどを考えれば、
尚更、米国の妨害を排除して一日も早い日・朝国交回復交渉の
再開が不可避であると思わざるをえないのである。
7/24