北朝鮮のミサイル発射は、誰を喜ばせるのか。
全く愚かと言うしかない。これでアメリカはミサイル防衛構想を推進しやすくなるだろう。在日米軍の再編や日本に対する軍事力強化の圧力も強めやすくなるだろう。
また、日米同盟強化論者、北朝鮮脅威論者、改憲論者を力づけるだけだろう。
全くバカな独裁者はどこまでバカをやるのかと言うしかない。
反動勢力を喜ばせるだけである。
それにしても、この状況の中で小泉首相が、中国や韓国と首脳会談一つ開けないというのは情けないと言うしかない。
以下7月11日の日刊ゲンダイの天木直人氏の記事を転載してみる。
笑うしかない小泉の北朝鮮外交
国民の安全と生活に直結する「外交」というものを茶化して論ずるのは本にではない。しかし、5年半にわたって繰り広げられた小泉外交に論評に値するまともな外交はあったか。笑い飛ばすしかないであろう。その小泉外交が最後の最後まで笑わせてくれた。
国賓級と持ち上げられた訪米の目玉が、エルビス・プレスリーの邸宅を訪れ、娘の肩を抱きよせて歌うことしかなかったからではない。それをはるかにしのぐオソマツで笑止な外交が訪米直後の小泉首相によって繰り広げられたのだ。
7月5日の未明ついに北朝鮮がミサイル実験を敢行した。しかも、驚き慌てふためいた小泉首相を尻目に、まるで花火をあげるように次々とぶっ飛ばした。いったい小泉首相はブッシュ大統領と何を話し合ってきたのか。北朝鮮にミサイル発射はさせないと凄んできたのではなかったのか。
極悪非道の独裁者である金正日と国交正常化を図ろうとして唐突に始まった北朝鮮外交は、実は小泉首相が最後まで未練を残して、その成功に固執した外交であった。「歴史的な偉業」を達成してノーベル平和賞―。だからこそ絶対服従の米国にまで内証で決行した。
拉致問題の解決が行き詰まっても、拉致家族の訴えに目もくれず、世論の怒りも無視して、北朝鮮へ経済制裁を決して行なおうとしなかった。金総書記の機嫌を損ね、平壌宣言を破棄されたら自分の夢はおしまいになるからである。
今度の北朝鮮のミサイル実験はその小泉首相のはかない望みを完全に断ち切ったようだ。「対話と圧力」といいながら対話ばかりを重ねてきた小泉首相も、今度のミサイル発射を黙ってやり過ごすことは出来なかった。
驚いたのはその日の夕刻に行なわれた記者会見での言い草である。北朝鮮が「過去の約束にとらわれない」と平壌宣言を破棄しているのに小泉首相はいまだに「北朝鮮との対話の余地は常に残しておかなければなりません」などど未練タラタラだ。
揚げ句の果てに内輪の酒の席で驚くべき放言をぶっ放している。「俺はついてる。プレスリー邸で歌っている時に撃たれたら格好悪いよな」「国会を閉会しておいてよかっただろう。(会期を延長していれば)大変だった」―どこまでも国民を舐めきっている。
こんな男を任期末まで総理にとどまらせる必要はない。即刻クビにして新たな指導者の下で出直すほかない。誰がなっても小泉首相よりはマシであることだけは明白である。
経済制裁には賛成できないが、小泉政権のデタラメさをかなり的確に現しているので全文転載してみた。