先制攻撃で世界に脅威を与えているブッシュ政権にとっては
、北朝鮮のミサイル発射に対してその威力を発揮することが抜
き差しならない不可欠の戦略だったはずである。 だが、中・
ロとの力の均衡から考えて も、その戦略は不可能であった。
そこで、日本を従え、英・仏とも共同し、中・ロの合意のもと
に強力な制裁に打って出ることが、単独の行動から孤立するこ
とを回避できる唯一の残された方途だったといえる。
そこで、日本を前面に出させて国連憲章第7章にもとづく制
裁論を唱道した。ついでながら、安部や額賀なんかが敵基地攻
撃論なんかをぶっ放したのもこれと軌を一にしている。日本単
独では手も足もでないのに、米国をバックにこんな暴論を吐け
るのは彼らが根っからのチンピラである証左だし、また国民の
生命・財産なんて露ほども考えていない証拠でもある。
ところが、日本を従えての米国主導の制裁論は、国際政治の
均衡という視点からみて望ましいとは考えない中・ロの批判・
反対によって頓挫せざるをえなかった。英・仏も決して米・日
には同調しなかったこともその一因である。
制裁欠如の安保理決議の直後に北朝鮮はミサイル実験の継続
を公表したが、南北閣僚級協議が物別れに終わったあと、北朝
鮮の代表はミサイル発射実験を平和のためであることを南がど
うして理解できないのか分からない、という趣旨のことを述べ
ている。要するに、ミサイル発射実験が力の均衡に役立ってい
るという考えであり、中・ロもこの点では一致し同調できる論
理であろう。
とすれば、中・ロが北朝鮮のミサイル発射を予知していたと
考えることも十分にできる。中国による北朝鮮説得が不発に終
わったとみるのは早計であり、先制攻撃にもとづくブッシュ政
権の世界戦略に対峙するには、中・ロが北朝鮮のパワーをこの
程度に活用するのは有り得ないことではないとみれるのではな
いか。
必要なことは、わが国の政権担当者たちが国民のことも省み
ないで、只々ブッシュ政権のいいなりになり、世界の笑われ者
になって国民に多大の迷惑をかけないようにさせることである
。つわものたちが蔓延る世界政治の動向を多少の論証できない
予測も踏まえてしっかりと見据えていかなければならないと痛
感する次第である。 7/16