「北朝鮮問題」討論欄

アメリカと北朝鮮どっちがマシか？

2006/09/12 たぬたぬ２０代学生

　一部雑誌にも、この投稿欄にも、気になる、というか非常に違和感のある意見があるので、私見を述べさせてもらいます。
　その違和感がある意見とは、北朝鮮への脅威は幻想である、日本は北朝鮮を「敵」と捏造し、軍事力強化、日米軍事同盟の強化を狙っているだけである、このような軍国主義者の策動には一切惑わされてはいけない、
　とまあこんなような感じの投稿。
　この意見には、ある重要な前提が含まれています。
　それは、
「北朝鮮と日米では、北朝鮮の方がマシな国家である」
という前提です。
　しかし、この前提、明らかに成り立たないと思いません？
　まず、アメリカについてですが、アメリカは自分達の意見を押し通し、逆らうものは戦争してでも自分の意見を押し付け、ついでに自分達に有利な経済体系に変革してしまうという自分勝手を地で行く国家であることは間違いありません。
　しかし、魑魅魍魎が跋扈していて、血で血を洗うことが常の国際社会では、アメリカはかなり"マシ"な部類に入ることは間違いないのです。少なくてもアメリカは民主主義の国家ですから、アメリカ国内だけでもイラク戦争を初めとするアメリカ外交戦略には全員とは言わなくても数千万単位で賛同者がいるからこその行動なのです。
　かつて日本は太平洋戦争で負けて、アメリカとソ連に占領されました。
　日本の大部分を占領したアメリカは、略奪や暴行などもあまりせず、日本に民主的な制度を作り上げ、数年後に本土を独立されてくれ、数十年後には沖縄も返してくれました。対して千島列島や満州や北朝鮮を占領したソ連は非戦闘員であっても殺戮し、略奪し、捕虜を強制連行して非人権的な労働をさせました。この両超大国の態度の差は、まさに天地の差でした。
　日本も、昭和の始め二十年ほどは政治的に非常にまずくて、結果多くの人々を苦しめました。
　それは確かです。
　しかし、歴史的にみてもここ六十年をみても日本が対外戦争を仕掛けたことは非常に少なく、世界的に見れば、かなり平和的な国であることは間違いないです。少なくても、黒人を片っ端から捕まえて奴隷船につめて死ぬまでこき使ったオランダ、ポルトガル、世界中を植民地と戦争の嵐にしたイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、二十世紀の死者の大部分を作ったのではないかというくらい多くの人を殺しまくったソ連や東欧諸国、チベット、トルキスタン、内モンゴル、ベトナム、インドなどを侵略しまくって自国民にすら軍隊を出動させる中国、いまだに竹島等に侵略、不法占拠して反日法という法治国家にあるまじき法律を作りいまだに言論弾圧を繰り返す韓国、20世紀後半にもなってひたすら泥沼の内戦を繰り返すアフリカ、南米、中東諸国よりはマシです。
　まあつまりほとんどの国よりマシ、日本はもしかしたら平和国家世界１位なのでは、というくらい、平和国家なのです。
（戦後の日本が平和国家なのは間違いありませんが、戦前をふくめて評価してでも、です。）
　まあそれは日本やアメリカが理想な国家である、ということでは決してなく、ただ、「他が酷すぎるだけ」という話なので、両国の誤りを指摘し、厳しく批判する日本共産党の活動は、非常に意味のあるものだと思います。
　日本共産党の支持者なので当たり前といえば当たり前ですが。
　対して北朝鮮はどうでしょう。北朝鮮は典型的な独裁国家で、日本人を拉致し、国家ぐるみでテロ行為を行い、国際条規はことごとく無視し、ミサイルを勝手に撃ち、まさに無法国家です。
　北朝鮮国内でもおそらく支持する人は数百人もいないという状況じゃないでしょうか。

　さて、どちらがマシでしょう？
　北朝鮮の悪行がアメリカに比べて目立たない理由はただ一つ、
　「アメリカは世界を征服できる軍事力を持っているが北朝鮮は力があまりない」
ということだけです。
　悪行の軍事力に対する割合、　で考えれば、北朝鮮はアメリカをダントツで引き離しています。北朝鮮はそんなに脅威ではない、という人、それはただ北朝鮮が今無力だからってだけで、経済力をつければ非常に脅威になります。
　経済制裁をすると戦争になるかも知れないから経済制裁反対、という人、経済援助をしてもらって軍事力強化した北朝鮮と戦争になるのと、北朝鮮が折れて無法行為をやめる、という可能性もある上で、経済制裁で無力な北朝鮮と戦争になる、どちらがマシですか？
　政治は、理想を追求することではなく、さまざまなファクターを考慮して一番、より「マシ」な行動を選ぶことです。それでも、マシな行動を選んだ日本政府や共産党に反対して北朝鮮を応援しますか？