国連安保理が採択した対北朝鮮・制裁決議1718は、北朝鮮の核実験を「平和に対する脅威」だと認定した上で、「兵力の使用を伴わない」と規定した「第41条に基づいて措置」をとることを明記し、この「脅威」に対して非軍事的に制裁措置をとるとした。
制裁の対象となる物品は、(1)戦車や戦闘機、ミサイルなどの兵器、(2)核・弾道ミサイル・大量破壊兵器に役立つ可能性のある物、(3)ぜいたく品―と限定されており、中国や韓国との交易が圧倒的に多い北朝鮮にとっては、当面の経済的打撃は少ないといえるだろう。
ただ、これらの制裁対象物品に「関連する北朝鮮の政策に責任がある」と指定された人物や、その家族の移動も対象にされており、制裁の実施にあたっての貨物検査、船舶検査についても、「必要に応じて」「自国の権限と法律に従い」「また国際法にそって」「検査を含む協調行動をとるよう」「要請される」と定められているので、アメリカや日本などのきびしい対応によっては不測の事態が起きないとはいえない。
もっとも決議では、第16項で「追加措置が必要な場合はさらなる決定が必要となる」と明記し、決議1718を根拠に自動的に軍事行動に出ることを認めてはおらず、北朝鮮制裁という名目で軍事行動に出ることには何重にも歯止めをかけてはいる。
しかし、日本自身が臨検に参加することや臨検を実施する他国軍隊への後方支援などに関連して、「周辺事態」の認定問題については、安倍政権がその類型の一つとして「国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合」を挙げ、「今回の場合にも相当部分が該当するのではないか」とも述べており、監視を怠らないようにしていく必要がある。
10/22