小生のホームページからの転載です。
<金正日の次なる手>
北朝鮮は核実験という最後のカードを切った、といわれてい るが、とんでもない甘い観測であろう。彼らが核実験に踏み切 れば、国際社会がいかなる反応を示すか、そんなことは彼らは とうに計画に織り込み済みであろう。なぜ、そうしたリスクを 犯して実験を実施したか?それは彼ら自身が核兵器に自信を持 ちたかったことと次なる手段にレベルの違う恫喝の度合いを与 えたかったからであろう。従って、今回の小規模実験が両方の 意味で十分でなかったとすれば、彼らは自らの納得と国際社会 への恫喝が十分成功するまで実験を繰り返すであろう。あの独 裁者が次にはいかなる手段を考えているか、彼らの立場で物事 を考えれば、答を見出すことはさほど難しくないように思える 。彼らは核兵器製造に成功し、今後は全力を傾注してそれを増 産するだろう。中国及び韓国との輸出入は途絶えた訳ではない から、今後の気候が余程農作に不利でない限り、人民が餓死す る如き事態は来年一杯位は避けられるであろう。この間に何発 くらいの核爆弾を製造できるのだろうか。100発とは言わな くとも、30発くらいは可能であろう。今後、北朝鮮は二カ国 間交渉にも6カ国間会談にも応じてはいく???ではあろうが、 それらはあくまで時間稼ぎに過ぎず、核廃棄に同意しないのは は勿論、核兵器製造は断固として継続するだろう。
ともかく、金正日の悲願はその政権による朝鮮半島統一であ るから、いかなる手段が最も現実性とコスト・パーフォーマン スに優れているかというと、いつの世でも、どの世界でも、そ の答えはテロ攻撃である。核弾頭ミサイルという正規軍備によ る恫喝は効果的ではあろうが、コスト的あるいは時間的に無理 があろう。また、その発射基地は偵察衛星で容易に特定され、 米軍によるピンポイント・ミサイル攻撃の餌食となるだけであ ろうこと、イラク戦争を通して金正日政権も十分に承知してい るであろう。北朝鮮としては、2008年8月の北京オリンピ ックに向けて核弾頭数発を開発すればよいという考えになる。 それを搭載するミサイルはすでに保有している。こうした背景 で、米国が最も警戒しているのは北朝鮮から核爆弾が国際的テ ロリスト集団に売却される事態である。テロリストの手に落ち た核爆弾が便宜置籍船舶に隠され、米国湾岸都市近海あるいは 港湾で自爆すれば、その被害は9.11の比ではないこと、言 うまでもない。それ故に米国は日本・韓国の協力を得て北朝鮮 へ出入する船舶の臨検を実施するよう働きかけているのである 。当たり前のことだが、米国は自国の安全???・自衛を第一義 に考えて動いているのが良く分かる。かって米国は国連の議決 なしに、また、イラクで国連派遣による調査団が核あるいは化 学兵器の有無を確認している最中というのに独自に攻撃を開始 した。なぜか?イスラエルを直接攻撃できる核弾頭の完成を手 を拱いて待っている訳にはいかなかったからであろう。イスラ エルあるいはユダヤと米国の関係はここで言うまでもなかろう 。それに比べ、今回の脅威は米国にとってはいささか遠い話で ある。
日本国内でもこうした事態の可能性を取沙汰しているが、こ と韓国と日本については事態は遥かに現実的かつ直接的である 。北朝鮮が韓国と日本を脅すとすれば、まず数十隻の高速ボロ 漁船に核爆弾を積載し、夜陰にまぎれて韓国沿岸の主要都市お よび西日本の沿岸都市に一斉に接近させる。そして韓国が金正 日政権の配下に入ることを要求し、更に日本他の諸国も関与し ないことを求め、拒絶すればこうした漁船をすべて自爆させる という脅しが最も効果的であろう。勿論、戦争となれば米軍及 び韓国軍に一斉に叩かれ、北朝鮮に勝ち目はない。ただ、韓国 及び日本としては初期段階に於いて、何百万というオーダーの 国民の犠牲を払い、海洋に面する都市の壊滅という大損害と引 き換えとなる戦勝であるから、この二者択一の選択は成立しな いであろう。韓国は結局、とりあえずは金正日政権による統一 朝鮮を受け入れ、その後、時日をかけて国内の民主的な形態の 構築を目指して行くことになるのではなかろうか。日本他の諸 国もそれを容認せざるを得ないのではなかろうか。
日本は本来、宥和政策を取った韓国に同調し、援助に始まる 幅広い交流を通して平和的に北朝鮮の自閉された扉を開かせる べきであった。日本は拉致問題に足を取られ、これを実行でき なかった。拉致問題は本来、北朝鮮工作員の密入国を防げなか った、あるいは拉致の可能性を指摘した被害者家族の訴えに耳 を傾けなかった日本政府の責任である。日本国内では北朝鮮を 非難する声が強かったが、悪人が悪事を働くことを非難したと ころで何も得るところはない。筆者が拉致被害者家族であれば 、日本政府に“どんな手段であれ、たとえいかなる金額の身代 金を払ってでも生存者を取り返せ”と叫ぶところであるが、不 思議なことに現実の拉致被害者家族は日本政府が経済制裁によ って北朝鮮を締め上げ、それによってことを解決せよと、その 手段まで限定して政府に迫った。国連の制裁議決を受けてもそ うそう音を上げない北朝鮮の現状を見れば、日本単独の経済制 裁がいかに実効のない国内だけのスローガンであったか、もう お分かりになったであろう。今となっては拉致問題どころか日 本の安全に関わる核兵器保有という重大事態になってしまった 。このままいけば小の虫も大の虫も殺す結???果になりかねな い。せめて大の虫は殺さないように、というのがこの一文の趣 旨である。韓国政府も今となっては仕方が無い、君子豹変して 強硬手段に訴えるしか解決方法はないであろう。北朝鮮が核兵 器生産を止めなければ、米国の協力を得て核関連施設をピンポ イント攻撃で破壊する位の覚悟が必要であろう。北朝鮮に時間 を与えるほど脅威の度合いは高まっていく。逡巡している時で はない。こうしている間にも彼らが24時間体制で核爆弾製造 を進めている事疑いない。
韓国の宥和政策は誤りであったという方々に申し上げたい。 韓国は後世の歴史で”あれほど真剣に友邦を助け、隣国に軟弱 だと言われる程の援助を続けたにもかかわらず、金正日に裏切 られ、ついに自国民を守る為、北朝鮮の核施設攻撃に踏み切ら ざるを得なかった”ということで、”最後の手段に訴えざるを 得なかった”という評価を受ける資格を有する。米国でさえ、 ”オルブライトが平壌に乗り込み、核兵器放棄を条件に原子力 発電所建設の援助やオイルを提供した平和的解決が裏切られた から・・”という止むを得ない状況が成立する。さて、日本は どうか、国際的に言えば小さな事件にすぎない数十人の拉致問 題、しかも金正日が金日成時代の事件について謝罪までしたと いうのに段階的経済制裁を加え、韓国の宥和政策に協力しなか ったという非難さえ受けかねない。日本が国家として存続する 限りはこうした後世の批判にも耐える国策を取らなければなら ないが、日本政府が適切に対処しているとは到底言えない。