北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が、北朝鮮が核放棄
に向けた具体的な措置を取ることで、ほか5カ国がエネルギー
などの支援を与えるという合意に達した。日本と北朝鮮が日朝
平壌宣言に基づき国交正常化協議を始めることも明記された。
この合意をを全面的に実行するために、(1)朝鮮半島非核化
,(2)米朝国交正常化,(3)日朝国交正常化,(4)経済・エネル
ギー協力,(5)北東アジアの平和・安全保障メカニズム,―の
5つの作業部会を開くとしているが、とくに米朝両国は国交正
常化に向け2国間交渉を開始、米国は北朝鮮に対する「テロ支
援国」指定を解除する手続きと、対敵通商法の適用を終了する
作業を進めることは画期的であった。
振り返れば、6カ国協議は、05年9月の第4回協議で、「
朝鮮半島の非核化」の原則と道筋を確認した共同声明を採択し
ながらも曲折をたどったが、共同声明の採択を前後して米国が
発動した「金融制裁」に対して、北朝鮮は反発し、「制裁を続
ける限り6カ国協議に参加しない」と協議への参加を拒み続け
、ミサイル発射(06年7月5日)、核実験(06年10月9
日)を強行するに至った。
これに対し国連安保理は、06年10月北朝鮮の核実験を「
国際の平和と安全への明白な脅威」と認め、加盟国に制裁措置
を求める決議を全会一致で採択したが、この決議を受けて日本
も北朝鮮への制裁措置を実施すると同時に、「拉致問題の解決
なくして北との正常化なし」という逆立ちの外交方針を宣言し
た。
ところが、今回の合意が達成されても、北への支援には参加
しないとの態度を示している。この姿勢をあくまでも貫ぬけば
、国際的孤立は必死であるだけでなく、日朝国交正常化はもち
ろん、拉致問題の解決は遠く彼方に消えていくことだろう。「
国交正常化なくして拉致問題の解決なし」という正しい外交方
針を早急に再認識する必要がある。