北朝鮮は2月の6カ国協議で、核施設の稼働停止、国際
原子力機関(IAEA)の代表団招請など初期段階措置を受け
入れたが、バンコ・デルタ・アジア(BDA)にある資金の返
還問題が未解決だとして合意の履行を遅延、具体的な措置に踏
み出さないまま、当初の履行期限(4月14日)から1カ月が経
過した。
日本の麻生外務大臣は、この遅延を専ら北朝鮮のせいにして
、さらなる制裁を想定させるようなしかるべき措置をとろうと
働きかけている。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の類だが、北朝
鮮も当然、日本のことを最大限に毛嫌いする所以だ。拉致家族
たちを盛んにたきつけて、北朝鮮への制裁を強めてくれ、と云
わせているが、まさに悲惨極まる感がある。日中国交正常化は
遠のくばかりで、埒があかない。
しかし、北朝鮮を弁護する訳ではないが、日本のような理不
尽は到底、許されるものではない。北朝鮮は、マカオのBDA
で凍結されていた資金の、「送金が実現すれば、6カ国協議で
の合意に沿って核施設の稼働停止措置を取る用意がある」と何
度も明言しているのである。
だから、韓国の李統一相も、北の姿勢に対して、「積極的な
合意を履行する意思の表現だ」と肯定的に受けとめているでは
ないか。米国ヒル国務次官補も、「近々の解決に向け、ことを
進めていけるように期待する」とも述べているし、送金問題に
ついて「極めて複雑で技術的な問題だ」とも断っているのであ
る。