戦後稀に見る超反動の安倍政権は、北朝鮮問題でも、そ の解決には、すべて拉致問題の解決が先決だと一部の右翼勢力 と組んで固執しつづけているが、そうなると、北朝鮮が核施設 を活動停止・封印し、IAEAによる査察再開を受け入れる一 方、5カ国による北朝鮮に重油5万トンに相当するエネルギー 支援を実施すべき段階に至っても、また米朝国交正常化や朝鮮 半島の非核化,経済・エネルギー協力,北東アジアの平和・安 全メカニズムなど、5つの作業部会が開催されるべき段階に至 っても、さらには初期段階措置実施後の北東アジアの安保協力 のため閣僚会議が開かれる段階に至っても、日朝関係を一歩も 前進させない方針だ、と考えられても仕方がないし、ますます 拉致家族たちの嘆きを深めていかざるをえない。
ところが、米国のヒル国務次官補は、北朝鮮の核問題につい
て、今年末までに核施設停止など核放棄の「初期段階の措置」
に続く「次の段階」となる核施設の無能力化や申告を終えたい
という考えを示した。「次段階」の措置の実行が順調に進めば
、米国、中国、韓国、北朝鮮の4カ国による「朝鮮半島の平和
メカニズム」、つまり、朝鮮戦争(1950―53年)の休戦
協定を平和体制に転換する和平プロセスを論議するための協議
を年内に開始したいというのである。
ヒル次官補は、平壌での会談を通じて、北朝鮮側が「朝鮮半
島の平和メカニズム」と「北東アジアのより幅広い対話フォー
ラムへの参加」の双方に前向きに乗り出していることが分かっ
たとも強調した。つまり、北朝鮮が米国との戦争状態終結を求
めていることを視野に入れ、朝鮮半島の休戦協定に調印した米
中朝韓の協議へ意欲を見せたものとみたのである。だから、ヒ
ル次官補は08年の見通しにもふれ、朝鮮半島の非核化を完了
させ、地域諸国の関係正常化を実現できるとも述べたものとい
えよう。
今、日本の各政党にもとめられる緊要な課題は、安倍極右政
権のドグマ的孤立外交を乗り越えて、ピョンヤン宣言で漕ぎ着
けた日朝国交正常化の方針を一日も早く具体化させることであ
る。それには、米・中・韓・朝の4カ国による協議を超党派で
支援して成功させることであり、その延長線上で日朝国交正常
化させてこそ、拉致問題解決の道も力強く開かれていくことだ
と確信する。