投稿する トップページ ヘルプ

「イラク戦争」討論欄

「政府や一部マスコミの国際貢献は必要論」に騙されては ならない

2007/12/3 風来坊 50代 自営業

 独立系メディア「今日のコラム」で武蔵工大環境情報学部教 授の青山貞一氏が 「ならずものテロ.国家=米国」―世界の知性はテロの本質を どうみるか―という論説を書いている。共感できる内容な ので引用してみる。

 2007年11月1日、テロ特措法延長の期限が切れた。インド洋 上にいる海上自衛隊に防衛大臣から撤収命令が下された。
 この海上自衛隊のインド洋上での「給油活動」は、2001年の いわゆる9.11をもととしたテロとの戦いの一環とされている 。
 だが、私たちは、テロの本質を一度でもまともに考えたこと があるのだろうか ?「テロとの戦い」と言えば、即それが善で あるという思いこみがないだろうか ?
 結局、西欧日本が、テロという名の下に、途上国やイスラム 諸国に対し、西欧近代的価値、新植民地主義、エネルギー利権 を正当化しているのではないだろうか ?
 ひとことで言えば、欧米日本が言うテロとの戦いは、すなわ ち途上国収奪の正当化ではないのだろうか ?
 ここで一端踏みとどまり、世界の識者、知性がテロをどうみ ているかについて語ってもらおう。
 そこには、米国や日本政府が囂しく宣伝するテロやテロとの 戦いが、結局は自分たちの利権.権益、さらに言えば収奪を守 るための戦いであるという本質が見え隠れする。

(以下チャベス(ベネズエラ大統領)、ノームチョムスキー(MIT 教授)、イクバール.アフマド(思想家)の引用が続くのだが、 イクバール.アフマド氏の分析が特に興味深いのでこれだけを 引用し他は割愛する)

まず第一の特徴的パターン。それはテロリストが入れ替わる ということです。昨日のテロリストは今日の英雄であり、昨日 の英雄が今日のテロリストになるというふうに。
 つねに流動してやまないイメージの世界において、わたした ちは何がテロリズムで何がそうではないかを見分けるため、頭 の中をすっきり整理しておかなければなりません。
 さらにもっと重要なこととして、わたしたちは、知っておか ねばならないのです。何がテロリズムを引き起こす原因となる かについて、そしてテロリズムを如何にして止めさせるかにつ いて。
 テロリズムに対する政府省庁の対応の第二のパターンは、そ の姿勢がいつもぐらついており、定義を避けてまわっているこ とです。
 わたしはテロリズムに関する、少なくとも二十の公式文書を 調べました。その内どれ一つとして、テロリズムの定義を提供 していません。それらは全てが、わたしたちの知性に働きかけ るというよりは、感情を煽ために、いきりたってテロリズムを 説明するだけです。
 代表例を紹介しましょう。1984年10月25日(米国)の国務長官 のジョウジ.シュルツは.ニューヨーク市の(パーク.アヴェ ニュー.シナゴーグ)で、テロリズムに関する長い演説をしま した。
 それは国務省官報に7ページにわたってびっしり印刷されて いるのですが、そこにはテロリズムに関する明白な定義は一つ もありません。その代わりに見出せるのは、次のような声明で す。
 その一、「テロリズムとは、わたしたちがテロリズムと呼ん でいる現代の野蛮行為である」。
 その二はさらにもっと冴えています「テロリズムとは、政治 的暴力の一形態である」。
 その三、「テロリズムとは、西洋文明に対する脅威である」 。
 その四、「テロリズムとは、西洋の道徳的諸価値に対する恫 喝である。
 こうした声明の効果が感情を煽ることでなくして何であろう か。これがまさに典型的な例なのです。
 政府省庁がテロリズムを定義しないのは、定義すると、分析 、把握、そして一貫性を保持する何らかの規範の遵守などの努 力をしなければならなくなるからです。
 以上がテロリズムへの政府省庁の対応に見られる第二の特徴 。
 第三の特徴は、明確な定義をしないまま、政府がグローバル な政策を履行するということです。
 彼らはテロリズムを定義しなくても、それを、良き秩序への 脅威、西洋文明の道徳的価値観への脅威、人類への脅威と呼べ ばいいのです。
 人類だの文明だの秩序だのを持ち出せば、テロリズムの世界 規模での撲滅を呼びかけることができます。
 要約すれば、米国なり西洋が使うあらゆる暴力はテロリズム とは言われず、米国なり西洋が被る暴力は全てテロになるとい うことだ。
 これはチョモスキー教授の言い分と共通している。すなわち
 「テロとは他者が「われわれ(米国)」に対して行う行為であ り、「われわれ(米国)」がどんな残虐なことを他者に行っても 「防衛」や「テロ防止」と呼ばれる」のである。
 ここに今日の米国の対テロ戦争や対大量破壊兵器戦争の大き な課題が集約される。
 米国が自分たちがいくら核兵器や大量破壊兵器を持ち、使っ てもそれは自由と民主主義を守る正義の戦いとなり、中南米、 カリブ諸国にCIAや海兵隊を送り込み他国の政府を転覆したり 、要人を殺傷しても、それはテロとは決して言わないのである 。

この論理は、イスラエルのアラブに対する不法な侵略行為や 攻撃、核保有の問題また、旧ソ連=ロシアや中国の少数民族の 自治区、自治共和国の独立や自立の問題核兵器や大量破壊兵器 の問題、つまり、国連常任理事国の利害が絡む全ての問題の矛 盾や限界を反映している。
 しかし、最近の中南米において次々と民主政権の成立してい ることや、その政権をアメリカが転覆できなくなっていること 、ブッシュ政権のイラク政策に同調してきた政権が次々と崩壊 していることは、政府の対米従属的な国際貢献なるものが破綻 している事を意味しているのではないだろうか。