アメリカがイラクを侵略してから、5年が経過した。
3月19日中日新聞に以下の社説が載っていた。
かなり共感できる内容なので、抜書きしてみたいと思う。
イラク開戦5年「誤り」のつけが市民に 2008年3月19日
イラク戦争開戦から明日で5年。治安は改善の兆しもあるというが、テロ、宗派抗争と背中合わせの市民生活は変わらない。破壊された社会基盤と経済、そして国家分断が戦後イラクの現実である。
フセイン政権が大量破壊兵器を保有し国際テロを支援しているとして米英両国は2003年イラクとの開戦に踏み切った。だが大量破壊兵器は見つからず、テロ組織との結びつきはなかった。結果的に地域の風土と歴史を無視した「大儀なき開戦」となった。
軍事力を過信した「誤った戦争」のつけはイラクの人々にまわり、日常的に生命・生活が脅かされることになった。世界保健機関(WHO)によると開戦から今年1月までのイラク人死者は15万人を超える。
首都バクダッドには武装組織などの侵入を防ぐ高さ3~5mのコンクリート壁が張り巡らされ、対立するイスラム教シーア派とスンニ派のすみ分けが固定された。両派はかつては共存していた。米英の攻撃によるフセイン政権崩壊に伴って「パンドラの箱」が開き武力報復の連鎖がとめどもなく続いた。
生活の困窮は極まっている。世界有数の石油埋蔵国でありながら、ガソリン価格は急騰し、発電量は市民生活に必要な三分の一しかない。さらに住まいを追われた約三百七十万が今も国内外で不自由な生活を強いられている。略
だが、宗派間、民族間融和に治安は欠かせずこれを担う米国の早期撤退は困難視されている。米兵は死者四千人。見直しを含め米国世論がイラク政策をどう判断するか、今秋の大統領選の重大な争点となろう。
日本の政府の立場も問われる。現地では航空自衛隊の輸送活動が続いている。開戦支持は正しかったのか。大義なき戦争への関与をどう考えるのか。今後のイラク政策の方向付けと合わせて十分検証を要する。以下略
ここまで書いたとき、TBSで
ハマスのTV局、過激人形劇の中身は イスラエルとの対立を深めるイスラム原理主義組織「ハマス」の持つテレビ局が、子供向け番組で、イラク戦争などで家族を亡くした子供がブッシュ大統領を刺し殺すという 人形劇を放送しました。
「あなたはイラク戦争で、僕のお父さんを殺した。お母さんは、あなたとイスラエルがレバノンで殺した」
これはハマスのテレビ局が放送した人形劇です。左の男の子は、家族がアメリカやイスラエルに殺されたと、ブッシュ大統領に激しく抗議しています。そして.....。
「ブッシュ、殺してやる。これが運命だ」略
私たちの取材に応じた局の責任者は、このテレビ局は、イスラエルやアメリカと闘うための重要な「武器」だ、そう明言します。
「人形を使って子供たちの心に向けて、自分たちの土地が占領されていること、そして、その土地を解放する義務があることを思い出させるんだ」(「アルアクサTV]の責任者)
連日、イスラエルによる激しい空爆にさらされるガザ。しかし、政治とは無縁の子供達に向けられたこうした番組は、新たな憎悪を生み出すだけではないか。ハマスの姿勢からは、そうした疑問しか浮かんできません。
一体この記者は、イスラエルやアメリカに家を破壊され、自分たちの土地を占領され、親や子供や兄弟や伴侶、友人や恋人、多くの同胞を殺されたり、傷つけられた人達にどうしろと言うのだろうか。屈服、隷従しろとでも言うのだろうか。家を破壊され、土地を奪われ、自分の身内や同胞が殺されたり傷つけられれば、それを取りかえそうと思い、憎悪を持つのは当たり前だ。そして、それが自分たちの代で、かなわなければ、子供に託すのも仕方がないことではないだろうか。
記者は「政治とは無縁の子供達」と言うが、彼らは、家を壊され、土地を奪われ、親や兄弟を殺されている当事者、そのものなのだ。
誰が侵略者なのか、どちらに正当性があるのか。それを明らかにせずに、憎悪を生み出すといって、闘いを放棄させようとする行為は、力が強いものに媚びる結果しかもたらさないということをこの記者は自覚すべきだろう。
このTBSの記事に腹がたったので、継ぎ足しの一貫性のない文章になってしまいました。申し訳ありません。
なお、アメリカのイラク侵略の経過や背景については、益岡賢氏が、細かく分析されています。
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/