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「イラク戦争」討論欄

イラク問題の解決策は米軍が即時撤退するしかない。

2008/7/4 風来坊 50代 自営業

 益岡賢氏のホームページに「イラクの報道を殺す」というデープ・リドルフ氏の2008年6月19日付けの記事が掲載された。以下引用する。

 2005年、ロイター通信社と契約していたジャーナリスト、ワリード・カレッドを米軍が殺害した 事件に対し、米国国防総省の調査は、米軍兵士たちの行為は「正当化」されると結論した。 ロイター通信は、この調査に「満足」かもしれない。私たちは、満足してはいけない。
 カレッドと運転手は、米軍兵士とイラク警察が攻撃を受けているとされる銃撃戦の現場に 到着したとき、米軍兵士達によって殺された。ペンタゴンの事件調査報告は、二人が現場に 到着したとき、米軍兵士たちは、カレッドのビデオカメラと三脚をロケットランチャーと間違 えたと結論している。兵士達は警告発砲をしたとも言われている。カレッドの運転手が、 当然すべきことをしたとき、すなわち、現場からゆっくりバックで車を後退させたとき、 米軍兵士たちはそれを「ゲリラの戦略と考え」、車両を「使えなく」するために発砲し、 二人を殺した。
 まず、イラクで米軍に殺されたジャーナリストはカレッドだけではないことを確認しておこう。 そこから、米軍兵士に随伴する軍属プロパガンダ屋とは一線を画するジャーナリストたちが、 恰好の標的とされている現実がはっきりと浮かび上がる。米軍がイラクの人々に加えている 暴力を、アメリカ合衆国にいる人々がほとんど知らないのは、このためである。
 しかしながら、ジャーナリズムを巡る問題とは別に、この事件からわかるのは、自分の 仕事をしようとしているだけで罪のない記者と罪のない運転手があからさまに攻撃的な 米軍兵士に殺されるという事実に加え、イラクでは、戦闘の現場に遭遇してしまった人は 誰であれ、何の罪がなくても、米軍兵士に惨殺される可能性があるという点である。
 イラクで日常的に殺されている何百という人々の悲劇的な出来事と、カレッドの事件とを 区別する点は、カレッドが著名な西洋の通信社に雇われたジャーナリストだったということ だけであり、通信社の影響力と知名度があったから、実際に公開の調査がカレッドの事件に ついて求めることができたのである。
 似たような状況で殺されたイラクの人々については、調査がなされないだけではない。 そもそも、殺されたことが報道されることさえない。米軍司令官たちが口に出した有名な、 気分の悪くなる言葉を使えば、「死者の数は数えない」。
 一般のイラク人が、ほぼ全員、ブッシュが、イラク傀儡政権に承認を迫っている新植民地 主義的な「取引」・・・米軍兵士に法的な刑事免責を与え、好き勝手に誰にでも攻撃を加え 逮捕できるようにするとともに、イラクで米軍兵士が何をしてもイラク当局が米兵を逮捕 できなくすることに・・・反対しているのには、理由がある。イラクの人々は、日々、ナチスの 突撃隊のようにふるまい、イラクの人々を殺して罰を受けない様を目にしており、そうした 事態を阻止したがっている。
 このような野蛮な占領が破滅的な終わりを迎えると考えない人は、妄想に取りつかれて いるだけだ。アメリカ合衆国で、イラク軍兵士が国中を跋扈し、罰せられる心配なしに何の 罪もない運転手を爆殺し回っている状況を想像してみよう。米国人は自警団を組織し、 対抗行動に出るだろう。イラクで起きていることも同じである。
 ペンタゴンが、地上部隊兵士を送り込む代わりに空からの爆撃を強化し、さらに米国の ビデオジョッキーから遠隔操作するプレデター無人飛行機を使って、「ゲリラの容疑者たち」 を攻撃していることで、一般のイラク人の状況は悪化している。こうしたやり方で米軍の 犠牲者は減るかもしれないが、「副次的被害」と米軍が呼ぶ、罪のない非戦闘員の犠牲者の 数も比率も不可避的に増える。
 米軍兵士たちによるカレッド殺害は、カレッドの同僚や家族には個人的な悲劇だが、 イラク状況に注意を払っている人々にとっては、ブッシュ/チェイニー/民主党支配の議会が 共同で進めるイラク戦争と占領の悲惨な現実を示すものでもあった。
 イラク戦争から帰国し、反戦イラク退役兵の会(IVAW)に参加した退役兵たちは、勇気を 持って、現在も続いている惨劇に反対する声をあげている。兵士も海兵隊員も、繰り返し イラクに派遣されて非人間的になり、不満を抱え、生き延びて帰国すること以外考えられなく なると彼らは言う。イラク人全てを憎みはじめ、「イスラム野郎」とか「アラブ野郎」と呼んで、 ドラッグで興奮し、判断力のないままパトロールに送りだされる、、、カレッドと運転手に起きた ような事件を引き起こさずにいられない状況である。IVAWの一人、カミロ・メヒアはイラクへの 再派遣を拒否して脱走兵収容所への禁固一年という有罪判決を受けたが、「ラマディからの 道:二等軍曹カミロ・メヒアの個人的反乱、イラク戦争の回想」という優れた著書の中で、米軍 司令官たちが、自分たちが胸に戦闘の勲章をつけて帰国したいという欲望から、部下の 兵士を無意味な紛争に巻き込み、そこで民間人が殺されることになると書いている。
 少しだけ、考えてみて欲しい。カレッドと運転手は、銃撃戦の現場に到着したとき、どのように 振舞うべきだったのだろう。?車に向かって発砲され(誰が戦闘しているかを知らなかったに 違いない)、車を止めたとして、そのままシートに座ってじっとしているのが適切な選択でない ことは明らかである。車を前に進めるのは自殺行為だ。そこで彼らは、唯一残された理性的な 選択肢を選んだのである。ゆっくりと後退すること。とれる行動の中で、周りを最も安心させる 行為であることは間違いない。それでも、米軍はその振る舞いを「典型的なゲリラの戦略」と 見做し、二人を射殺した。
 撤退が、敵の「戦略」と見做されるならば、罪の無い人が銃撃戦に遭遇したとき、そこから 逃れる望みは無い。
 この犯罪戦争で、100万人以上のイラク人が殺され、その多くが米軍の兵器により、犠牲に なったことは、不思議ではない。
 イラクの人々の大多数、米軍の撤退を望んでいるのも、不思議ではない。
 米軍が据え付けたイラクの傀儡政権でさえ、ブッシュ/チェイニーが進めている占領の 永続化、米軍兵士の免責、イラクに58の米軍基地を置くこと、米軍が制空権を握り、好きな ように人々を爆撃できるようにすることという政策に反対しているのも、当然である。
 カレッドの身に起きた出来事、、、そしてペンタゴンがそれを「正当だった」と言うことができる 状況、、、から、イラクで進んでいる危機に対する唯一の解決策は、米軍が即時撤退することで あることがはっきりわかる。

 戦争の大義なるものは全て破綻した。
 自公政権はアメリカのイラクに対する攻撃を支持し、自衛隊を派兵した。これは、アメリカの やっている全ての行為に対し、責任を共有することを意味する。捕虜に対する虐待や拷問、 民家に押し入っての略奪、レイプ、殺人なども含む、この戦争で行なわれている全ての犯罪 行為に対してだ。このカレッド氏は、ロイター通信の記者です。そのロイター通信でさえ殺される という事態が発生していることからイラクの民衆のおかれている状況はさらに悲惨だろう。 米軍の即時撤退以外解決の道は無い。