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「共産党の理論・政策・歴史」討論欄

レーニンを誤解している潤さんへ

2006/12/5 原 仙作

 潤さんの書いたものを読んでいると、具体的な話が何一つ出 てきませんね。それが潤さんの書いているものの大きな特徴で す。国政選挙で2000年の衆議院選挙以来、5連敗もしてい るうえ、先の衆議院補選・神奈川16区では他党派より一番多 い減票率55%にもなっているのに、同じ選挙戦術を続けてい ていいのかと問いかけているのに、潤さんの答えは次のような ものです。「断固さとともに創意工夫は必要だと思っている。 」 これだけです。
 どんな創意工夫が必要なのか、今までのやり方をどうかえる のか、具体的なことは何も書かれていないのです。これは、潤 さんが具体的には何も考えていないことです。ではどう考えて いるのか? 「この課題が困難で大変な課題だということだ。 」と抽象的に考えているだけです。

 具体的に事実を上げて具体的に考えてみる代わりに、潤さん の書いたものには抽象的で感覚的な言葉だけが並んでいます。 「日和見主義」、「敗北主義」、「レーニンらしい断固さは微 塵もみられない」、「工夫ではなく変質だ」、「国民への裏切 りだ」、「政治は、そんなに甘くない」、「変な妥協」、「詭 弁」等々。

 こうした言葉の羅列で、「工夫が必要だ」と言いながら、潤 さんは「小選挙区でも候補者を立てて、断固闘うべきだ。」と いうのです。これは今まで通りのやり方で良いと、潤さんは私 に反論したつもりなのでしょう。
 ここには他人の書いたものをきちんと読まないで先入観で、 抽象的に感覚的に、したがって、ずさんな議論をする潤さんの 特徴がよく表れています。私は共産党が小選挙区に候補者を立 てるなとは一度も言ったことはありません。政治情勢も考えず に全小選挙区立候補戦術を採ることは止めるべきだと言ってい るのです。止めろと言っているのは、全小選挙区立候補戦術で あって、選挙区に候補者を立てるのを止めろと言っているわけ ではありません。

 だから、共産党が強い地盤を持ち、当落を争えるようなとこ ろでも候補者を立てるなとは言っていないのです。潤さんは私 に反論するならきちんと「全小選挙区で候補者を立てて、断固 闘うべきだ」と言わなければなりません。そうではなく、政治 情勢を考えて「小選挙区でも候補者を立てて、断固闘うべきだ 」というのであれば、共産党の選挙戦術の大転換ですから私の 意見に同調したことになるのです。
 「だから、どうしろというのだ」という問題の中心論点なの に、あなたの表現は、その中心論点でさえずさんな議論になっ ています。

 同じことは潤さんが最初に私を非難した投稿についても言え ることです。私の投稿の中心論点(不破のトリック古典解釈) を潤さんは具体的にはまったく検討しなかったどころか全文さ え読まないで、私の投稿を「誹謗中傷」と非難していました。 今回 の投稿でも同じです。不破のトリック古典解釈について「それ についてはここでは保留にしておこう。」という具合です。
 私に「誹謗中傷」と言ったのですから、本来なら検討する義 務があるはずです。潤さんは都合の悪いことは具体的に検討す ることを避けているのです。

 潤さんの論調からすれば、全小選挙区立候補戦術を止めろと いう私に意見に同調したわけではないでしょう。具体的の物事 を考えろというのは、共産党の元祖であるマルクスやエンゲル ス、レーニンが口を酸っぱくして教えていることですが、潤さ んの議論は具体的に物事を考えることがないために自分たちの 欠点がまるで見えないのです。
 よく考えてみて下さい。20世紀に、一体、いくつくらいの 共産党が世界で成功裡に成長を遂げたのかを。

 最後に潤さんの誤解を、ひとつ解いておきましょう。潤さん は私の言うことに「レーニンらしい断固さは微塵もない。」と 言われますが、レーニンは戦術についてこう言っています。

「力のまさっている敵に打ち勝つことは、最大限の努力を払う 場合にはじめてできることであり、かならず、最も綿密に、注 意深く、慎重に、たくみに、たとえどんなに小さなものであろ うと敵のあいだのあらゆる『ひび』を利用し、各国のブルジョ アジーの間や、個々の国内のブルジョアジーのいろいろなグル ープまたは種類の間のあらゆる利害の対立を利用し、また大衆 的な同盟者を、よしんば一時的な、動揺的な、ふたしかな、た よりにならない、条件的な同盟者でも、手に入れる可能性を、 それがどんなに小さいものであろうと、すべて利用するばあい にはじめてできることである。このことを理解しないものは、 マルクス主義と科学的な近代社会主義一般をすこしも理解しな いものである。」(「共産主義内の『左翼主義』小児病」全集 31巻58ページ)

 レーニンは戦術ではちっとも「断固さ」がない。途方もなく 繊細だ。レーニンは戦術の神髄は弾力性だと言っているのです 。「たとえどんなに小さなものであろうと敵のあいだのあらゆ る『ひび』を利用」するためには具体的に考えなければなりま せん。
 あれは「右翼社民」だ、「政治は、そんなに甘くない」とい うおおざっぱな見方ではだめなのです。潤さんのように、具体 的に物事を考えず、都合の悪いことは逃げ、信念だけを振り回 す人間は「マルクス主義・・・・をすこしも理解しないもので ある。」とレーニンは言っているのです。
 そして、マルクス主義をさっぱり理解しない人間が共産党員 だ、共産主義者だと言って、ところかまわず、その盲目的な信 念を振り回すことが現在の日本の政治の一大問題でもあるので す。