(これは、僕が友人とやっているブログに載せた記事の転載で
す。できるだけ広く世に訴えたいものですから)
13日の毎日新聞1面に
「暫定税率の延長、再可決で解散も 自民・谷垣氏」
自民党の谷垣政調会長がこう語って、再可決した場合は衆院
の解散・総選挙につながる可能性を示唆したという。
この問題での僕の投稿は、12月21日以来4度目になる。
テロ特措新法をめぐって「衆院3分の2での再可決」が50数
年ぶりに行われたわけだが、この経過を振り返りながら、同じ
く再可決必至のこの問題の現時点に触れてみたい。
改めて、この問題の仕組
この税は、道路作り専用の財源として設定され、ガソリン、
軽油、自動車重量税などの通常の税金にその倍額ほどの暫定税
が上乗せされているというものだ。1リットルのガソリンで言
えば、通常の税25円、暫定税25円ほどで、日本のガソリン
代を高価にしている最大の原因となっている。道路作りを急が
なければならないとされた時期に「暫定的に」設けられたとい
う趣旨から、「暫定税率」という名称が冠されている。これら
の暫定期間がこの3~4月で期限切れとなり、捩れ国会の中で
新しい法律を決めて初めて、暫定の継続ということになる。ガ
ソリンでいえば、3月末までに可決されなければ4月以降には
全国的に1リットルの暫定税分25円がなくなるということな
のである。自民党は期間延長10年の法案を準備しており、民
主党はこれに反対を既に決定している。テロ特措法と同様に、
捩れ国会当面の最大問題となる見通しなのである。
この問題の性質
この税制は極めて悪辣なものだと、僕は思う。自動車に乗る
人なら、生活保護世帯や所得税が取れない低所得世帯からも毎
日取っている税金ということだし、自動車輸送代金が含まれる
すべての物品にこの分が上乗せされて、やはり低所得世帯から
も取っている税ということだ。つまり、「税を取ってはいけな
いとされた困窮世帯から、取られているという自覚も薄いまま
に取っている」と、こういう性格の税金なのである。
自公政府は言う。「道路はまだ必要だ」、「これを地方にも
配分しているが、この財源はどうするか」、「国民の理解を仰
ぎたい」と。これらの理屈で、税を取ってはいけない低所得者
からも密かに取っている『暫定税』の不当性を打ち消すことが
できると、僕は全く考えない。「金が必要な部門があったら、
『困窮者も含めた全ての人』から『暫定税』という法律を。そ
の期限が切れたらまたどんどん期限延長すればよい」なんて、
あまりにも安易過ぎて、長期政権の横暴としか僕には思えない
のである。暫定税などはなくして、地方財源や道路財源がどう
しても必要ならば別の税を考えるというのが、正しい筋という
ものではないか。
ちなみに、高速道路料金を無料にすると語った初めの約束も
全く守られないし、旧道路公団はまるで伏魔殿であったし、自
民党の金城湯池であったとも聞く。道路族議員が自民党内に後
を絶たないというのも、非常に気になるところだ。
与野党攻防の現時点
民主党は、テロ特措新法参院否決、衆院3分の2再可決に関
わって「首相問責決議案」を出さない方針をとり、その背景を
こう説明してきた。
「3月下旬の予算関連法案が成立しなければ4月初めからガソ
リン代金がリットル25円下がる。年金記載漏れ問題の結末も
同時期に重なって、そこを最大の山場にすることになるだろう
」
つまり、参院野党多数に現れた民意を首相問責決議という伝
家の宝刀によって表現する策は、テロ特措新法ではなく3月予
算関連法案まで温存しようと決めたのである。
他方自民党首脳は、「租税特措法 月内衆院通過見送り 自
民党幹事長 与野党対立激化避け」(1月7日、毎日新聞)と
いう超弱気である。しかしながら、1月末までに衆院通過を叫
ぶ自民強硬派も多いらしい。1月末衆院通過がなかった場合に
、参院野党がもし60日を費やして法案審議未了に持ち込むな
ら、「衆院3分の2再可決」が4月以降にずれ込んで、4月に
1度ガソリン税などが下がり、この問題が国民の目の前に、白
日の下にさらされるからである。この投稿冒頭に記した谷垣政
調会長の言葉はこうして、「1月内衆院通過、3月末までに3
分の2衆院再可決、首相問責決議案、衆院解散」と強がって見
せたことになる。いずれにせよ自公政府は、水面下で必死の民
主党工作を進めていることだろう。
この問題は、国民の目に曝すべきだ
と、思う。つまり、いずれにせよ「参院で60日継続審議」
に持ち込んででも、4月ガソリン代値下げに一旦持ち込むべき
だと思う。テロ特措法のように「ただの衆院再可決による白黒
決着」(を経て、首相問責決議へ)とだけにすべきではない。
それでは衆院解散にならない可能性も大きい。野党は単なる正
論だけを通すのではなくて、この際自民党を政権から引き摺り
下ろすべきなのだ。またそうできる時だとも思う。
「衆院可決、参院60日で法案審議未了、衆院3分の2で再
可決、首相問責決議参院採択」、この流れが遅れれば当然のこ
とながら、この流れの中に「ガソリン代25円値下げ実行」の
時期が入り込んでくることになる。良いではないか。国民が主
体的に税というものを、国政のこの根幹を考え、学ぶ絶好の機
会になるのだ。そういう機会を前にしてそれを捉えず、議会で
『正論』を語り多数決で白黒決着をなし、「我々は正論を通し
(て負け)た」というやり方だけに固執するのは、書生の論理
というものである。