ねじれ国会を相手に自民党が大混迷しています。旧社会党と の連立で総理大臣を譲ってまで死守してきた実質「万年与党」 の傲慢ゆえにねじれ国会にはまったくの無能力を示し、それで も解散総選挙には打って出られないという八方ふさがりです。
19日、福田首相は「道路特定財源の全額一般財源化を09 年度税制改正に向けて検討する」と語ったようですが、まった くピントがはずれているのではないでしょうか。こんな案で今 時、民主党の既定方針に何か変化を作れると思っているのでし ょうか。「口約束で相手を動かそう」とは。総選挙に向けて「 自民党追い風」待ち時間稼ぎとしか見られないのは、子どもで も分かる論理です。
同じ19日、民主党の方は「暫定税率期限切れの混乱回避法 案」の要綱をまとめたと報道されました。4月1日で小売業者 に残ったガソリンをいったん石油会社に返品したとみなして、 すでに石油会社にあらかじめ払われているその暫定税分を石油 会社が小売業者に返金するという提案らしいです。
「『伏魔殿』国交省を放置してきた」与党。「暫定税率廃止 方針は、ガソリン値下げが主目的ではない。自民党政治の仕組 みを変える闘いだ。妥協は堕落だという気持ちで貫いていきた い」(民主党・藤井税制調査会会長)という民主党。これでは どうも、当面の勝敗の行方は見えているのではないでしょうか 。
4月に暫定税率中断、「ガソリン代1リットル25円値下げ
」に向けて拍車がかかってきた情勢だと思います。「参院60
日審議未了、衆院再議決」の仕組みも、もう全く間に合いませ
ん。
こういう目に見えた前進的変化こそ、国民が政治に求めてき
た物ではないでしょうか。「万年与党・自民党に一泡吹かせら
れる」。日本政治全体からしたらまだまだ些細なことかも知れ
ませんが、こういう変化の中からこそ政治への期待、意識を国
民が少しずつでも高めていくことができるのだと思うのです。
不正なイラク戦争やサブプライムに倦んだアメリカ国民が、オ
バマ候補の「チェンジ」に動かされているようなものだと言え
ないでしょうか。ただし、日本のような万年与党を前にした時
には、単なる公約、口約束などでは国民の中の何も動かすこと
はできないでしょうが。
ガソリン税論議から、国交省の伏魔殿ぶりが随分明らかにな
りました。その影響も今や、甚大です。
18日毎日新聞にこんな記事が載りましたが、これもガソリ
ン税国会、国交省暴露の延長線上のものと言えましょう。見出
しが「これで『例外』? 随契横行」、「ワースト 防衛省
全契約の83%」。法律によれば一定額以上の契約は入札でや
らなければならないはずなのに、合い見積もりもないような随
意契約が全省庁に横行しているという報道です。防衛省83%
、外務省80%、厚生労働省79%、文部科学省78%、経済
産業省74%が、率のワースト5です。金額的ワースト5は、
防衛省、国土交通省、厚生労働省、農林水産省、財務省の順に
なっています。つまり、全省庁が国交省同様の「伏魔殿」と言
えるのではないでしょうか。「官僚天下り会社に、税を流し込
む仕組み」。
こんな体たらくは、自民党だけの責任とは言えません。歴代
全野党の責任でもあります。「これを批判してきた」とたとえ
抗弁しても、この責任は免れません。政治は結果責任ですから
。結果に対しては全政党に責任があるのだと思うのです。
ガソリン税国会が、こんなことにもマスコミ、国民の目を開 かせたということでしょう。これも大きな変化、これを止めて はならないと思うのですが。