コミュニズムといいながらも、はたして労働者が実質的に支
配した国が、歴史上あっただろうか?
人口の多数を占める労働者が支配する社会がコミュニズムの
社会であるべきだが、実際に存在したのは、一部少数の(共産
党員)や個人が労働者を抑圧する、歪曲された独裁社会で、「
労働者の利益」、「労働者ための政権」などと叫んでいても口
先ばかりの、自己保身のための政治家等で埋め尽くされた、反
労働者の、名前だけの のコミュニズムがほとんどであったの
ではないか。
レーニンが発作を起こす1922年以前に、いったい誰が共
産党の独裁を言い出したのか、知っている人があれば教えて欲
しい。プロレタリア独裁に言及していても、けっして共産党の
独裁をいった先達はいないはずである。プロレタリア独裁とい
う言葉(それは現在も存在するブルジョア独裁と同じ意味で使
われたもので、ブルジ ョアが自分たちの支配体制を独裁と呼
ばないように)プロレタリア支配と言い換えてもまったく差し
支えないものだが、その独裁を共産党の独裁に歪曲してしまっ
た
(プロレタリア独裁と共産党独裁の混同)
こそは、20世紀最大の誤謬であった。そして現在も化け
物のキム王朝や中国、あるいはミャンマーの軍事独裁など、同
じ過ちが継続していることはまことに嘆かわしい。
マルクスは「資本論」の序文で述べている。…個人は、主観
的にはどんなに諸関係を超越していると考えていても、社会的
には畢竟その造出物にほかならないものであるからである。…
(岩波文庫)
政治家や軍人などはけっして労働者ではない。彼らがどんな
に労働者のためと叫ぼうとも、労働者を裏切る可能性はたえず
存在し、歴史上、裏切りは現実となり、労働者は抑圧され殺さ
れてきた。
プロレタリア支配を現実のものにするためには、職業軍人や
政治家などを労働者で置き換えなければならないのではないか
。
例えば職業軍人を廃止してその役割を、年に一ヶ月程度、全
国の企業から出向した労働者が交代して担う。日頃はメインの
職場で仕事をしていても、年に一度、労働者の軍に参加して武
器の使い方を覚えることで「武装した労働者」となることがで
き、こうして軍を労働者が支配できれば、権力は労働者のもの
となる。こうしたかたちでの武装した労働者なしにプロレタリ
ア支配は確立できないのではないか。