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「科学的社会主義」討論欄

連合氏への反論2、具体的データで検証しよう。(あなたにはそれが無い)

2006/04/06 スカンジナビアン

  前回は連合氏の主張が実は、20年来に渡って繰り返されて きた、新自由主義者(=現代の帝国主義者)の主張の焼き直し でしかないことを暴露・指摘してきた。その主張とは、
11・30付け・・北欧社民が吹き飛ばされる理由・・より
・・社民のとった政策は、高度成長に支えられたものであった わけだだが、・・・高度成長の終焉によって、その社会政策の 基盤そのものが瓦解している・・
 と、驚くことに、30年も前の高度成長終焉以来、その社会 的基盤が瓦解していると主張している。
 これは、資本家階級諸君が聞いたなら、<良くぞ言ってくれ た!連合君!君はすばらしい。いいかね、聞いたかね、労働者 諸君!社会保障の充実を求める君たちの運動などは、30年来 に渡って社会基盤が瓦解しており、そんな運動は反社会的行為 なのだよ。即刻止めたまえ!>とまさに泣いて喜びそうな主張 ではある。
 さらに、
12・4付け・・、、スカンジナビアンの諸説を粉砕す・・
では、
・・北欧社民が瓦解しているのは、これまでの国家独占資本主 義体制=社会福祉国家体制が、経済政策的にも財政政策的にも 、限界が生じてきたと言うことです。つまり、それを基盤とし てきた経済体制が持たなくなってきたと言うことです。・・
 さらに、
2・22付け・・スカンジナビアンに反論する2・・では、
・・改良主義的あり方は、いまややっていけないと帝国主義国 側は悲鳴を上げているわけです。・・
と帝国主義国側の<悲鳴>なるものまでもちだしている始末な のである。
 このような主張は<社会基盤の瓦解>をもたらしている、真 の元凶が実は新自由主義路線そのもの(現代の帝国主義路線) にあることを隠蔽した、反動勢力の悪質なデマそのものなので ある。
 だから、私は早速、新自由主義を推進する、日米両国と、北 欧諸国とを比較し、実例をデータで示すように、迫ったのであ るが、ついに、連合氏の長文の反論にはそんなデータなど一つ も出てこなかった。
 それどころか、私に、
・・社会福祉が後退して来ていることを検証されるべきでしょ う・・
とその検証を依頼?してきているのである。(それは筋違いで しょう?)

 ということで、では具体的なデータを見てみよう。百聞は一 見にしかずである。

 以下は、<オランダの奇跡、スエーデンの挑戦に学ぶ>とい う2002年6月に行われた、大阪府社会保障推進協議会の欧 州視察団の報告集からの引用である。本文はこの際省略して、 巻末の資料集からの引用である。ただし、彼ら自身はただの視 察団で、何のデータも持たないため、データの原資料はOECD所 載の各国のデータか、政府の統計資料であるので、その原資料 を提示する。

1、社会保障

1995年のOECD諸国の一人当たりの社会保障給付額(購買力 平価)
 また、わたしの後付だが、分る範囲で、一人当たりGDPを付 した。
 こちらの方は、今が分る、時代が分る世界地図2005年版 のGDPランキングからの引用で、購買力平価ではないし、デー タ自体が03年度のものであるので、参考までに。
 3桁の数字はいずれも日本=100とした数字である。

       一人当たり社会保障給付費
                           一 人当たりGDP・ドル
 1位、ルクセンブルグ 7819ドル 251   585 45 172
 2位、デンマーク    7002ドル 224   39 429 115
 3位、ノルウエー    6477ドル 208   48 592 143
 4位、スイス       6335ドル 203   4 2138 124
 5位、スエーデン    6258ドル 201   33 586  99
 6位、ドイツ       6071ドル 196   2 9801  88
 7位、ベルギー     6062ドル 194   29 205  86
 8位、フランス      5985ドル 192   2 9267  86
 9位、フィンランド    5756ドル 184   3 1007  91
10位、オーストリア   5589ドル  179  31 202   92
11位、オランダ     5563ドル 178   31 548   93
12位、イタリア      4658ドル 149   2 5429  75
13位、アメリカ      4452ドル 143   3 7388  110
14位、アイスランド    4322ドル 138   3 6711  108
15位、イギリス      4139ドル 133   3 0278   89
16位、カナダ       4038ドル 129   2 6380   76
17位、アイルランド   3337ドル  107   3 7637  111
18位、オーストラリア  3160ドル 101   26 062    77
19位、ニュージーランド 3134ドル 100,4
20位、日本        3121ドル <100>34 010  <100>
 以下、
21位、スペイン      3076ドル  98   2 0343  60
22位、ポルトガル    2321ドル  74   ?
23位、チェコ       2190ドル  70   ?
24位、ギリシャ      1852ドル  59   ?
25位、韓国        674ドル   21   ?

 1995年と言えば、高度成長が終焉してから20年ほど経 過しているわけだが、連合氏の主張とはことなり、北欧だけで なく、欧州諸国はいずれも高いレベルの社会保障を維持してい ることがわかる。
 しかも、一人当たりのGDPは日本と比べて、決して高くない か、より低いのである。
 因みに、北欧諸国は    社会保障・対日  GDP対日
デンマーク(保守政権である!のに) 224  115
ノルウエー                208   1 43
スエーデン                201   9 9
フィンランド                184    91
であり、新自由主義路線を進める以下の4カ国は
アメリカ                  143  1 10
イギリス                  133    89
イタリア                  149    75
日本                    100  1 00
である。

 次に、これの2000年度のデータを少し示しておこう。
 残念ながら、同じく購買力平価ではあるが、実数がなく、日 本=100としたときのスエーデンの数値のみである。

  1位、ルクセンブルグ
  2位、デンマーク
  3位、ドイツ
  4位、オランダ(オランダの躍進が目覚しい。視察先とし て選んだ理由だろう。)
  5位、ノルウエー
  6位、スエーデン  260 (即ち、5位以上は260 より上ということ)
 1995年における、6位はドイツで、指数は196、1位 、のルクセンブルグの指数が251だったわけであるから、そ の差はひろがっている。

 連合氏の主張によれば、上位の諸国ほど、財政的にも経済政 策的にも限界が生じて社会的基盤が持たなくなっており、それ は高度成長終焉以来瓦解していると言うのであるが、実際は全 く逆になっているのだ。
 新自由主義を進める日本の社会的基盤がどんどん瓦解してい るのがこのデータから見て取れる。
 実際に、仮に、スエーデンの2000年の指数を95年と同 じ201に固定してみると
      95年  00年
   スエーデン  201~201
   日本      100~77,3 一人当たり 95 年比 22,7%減
となり、如何に日本が急速に瓦解していっているかと言うこと が分る。
 いくらなんでもそこまではひどくないだろうということで、 日本を100のままに、してみると、(つまり、おおよそ95 年と00年は同額とすると)
 今度は
  スエーデン   201~260  95年比130%・ 30増
  日本      100~100
と北欧諸国は大躍進していると言うことになる。(連合氏の主 張とは正反対だ)
 では、その中間と仮定すると、
  スエーデン   201~229  95年比114,5 %・14,5%増
  日本       100~88 一人当たり  95年 比12%減
となる。まあこんなところか。
 いずれにしても、連合氏の主張は成り立たないことが分る。
 次に財政である

2、財政
A,日本。
 月刊保団連という医療業界誌の06年3月号に神戸大学大学 院経済研究科教授・山家悠紀夫氏の小論文が載っている。
 以下はそこからの引用である。
          2000年度     2004年度
 GDP      503兆円       496兆円    -7
 雇用者報酬  271          255      -16
 企業所得    44           50        6
 正社員     3640万人     3333      -307
 非正社員    1359        1590      231
 正社員平均年収 461万円     439       ー22
というような小泉政権の新自由主義路線の元、
 財政的には、
           2000年度     2005年度 (見込み)
 財政規模      89兆円       82兆円     -7兆円
 税収        51兆円       44兆円     -7
 国債発行額    33          34         1
 国際依存度     37%        42%
 財政収支      -11兆円     -16兆円    -5兆円
 同上対GDP比   -2,2%      -3,2%    -1%
                      (GDPは04 年で計算)
 国債残高     368兆円(73,1%) 538兆円 (108,5%)
                      なんと-25 ,4%も悪化!!
 しかも、国債だけでなく、地方債まで含めると 770兆( 155%)
 否、実はこんなものではないはず、ということで、隠れ借金 まで含めると、1059兆円(213%)(・・リアルタイム 財政赤字カウンター・・で検索するとすぐにわかりますよ)と いう驚くべき赤字なのである。
 まさに、瓦解しているのは日本であることがわかる。

B、米国の場合
 双子の赤字 エネルギーファンダメンタルハッカーズで検索 すると、
 GDP  10兆9855億ドル
 貿易赤字 4965億ドル(対GDP比ー4,5%)
 財政赤字 4125億ドル( ー3,8%)
 合計   9090億ドル(-8,3%)
とこちらの単年度財政収支は日本の-3,2%より悪い。
 赤字国債の残高はGDP比で70%近いという。
 まさに、財政政策的にも、経済政策的にも破綻しつつあるの が新自由主義路線をすすめる日米両国なのである。
 つまり、現代の帝国主義=新自由主義路線こそが社会基盤瓦 解の、真の元凶なのである。

C,北欧諸国について、
 YAHOOの地域検索で容易に検索できる。
 連合氏が帝国主義国側が悲鳴を上げ、財政的にも、経済政策 にも限界が生じ、社会体制が持たなくなっていると主張する諸 国の実際である。  財政収支の対GDP比。03 04は一部 見込みを含む

デンマーク。 95年社会保障対日指数 224 同年対日GDP  115
  00年   01   02   03   04
  1,5   3,1  2,0  2,9  2,9
 極めて健全な財政である。 貿易収支GDP比-0,2%

ノルウエー。 対日 208   143
  00    01    02    03   04
 13,7  10,1  9,0   10,4  11, 5
 貿易収支 12,9%
 驚くべき黒字財政である!!日本の00年に換算すると、な んと、00年は69兆円の黒字なのであるという。 ちょっと信じられない数字ではある。桁が一つ違うのかな?と も思うがそれでも6,9兆円の黒字なのだ。(00年の日本は 11兆円の赤字なのにである!)全くうらやましい限りだ。

スエーデン  対日  201  99
  00    01    02   03   04
  5,1  2,8   0,0  0,7  0,2
 貿易収支  6,7%
 まあ、こんなところだろう。13,7%の黒字などと言うの は日本から見ると全く信じられない。財政はトントンかちょっ と黒字というのが本来の姿だろう。でなきゃ、税金の取りすぎ かも?もっとも、ノルウエーは将来の福祉財源としてストック しているのだという。全くうらやましいね。
 ノルウエー人にでも生まれればよかったよ。

フィンランド  対日  184  91
  00   01   02   03   04
  7,1  5,2  4,3  2,3  2,0
 貿易収支  5,6%
 この国も信じられない位の黒字財政である。まったく、日本 に住むのがいやになってくる。
 まあ、以上ざっとこんなところです。
 だから、日本の変革の展望は北欧諸国の社会モデルに学ぶべ し!
と私は主張しているのです。
 しかし、主張しながらも、思い知らされて、いいかげんいや になってくるけれどね。