前回は連合氏の主張が実は、20年来に渡って繰り返されて
きた、新自由主義者(=現代の帝国主義者)の主張の焼き直し
でしかないことを暴露・指摘してきた。その主張とは、
11・30付け・・北欧社民が吹き飛ばされる理由・・より
・・社民のとった政策は、高度成長に支えられたものであった
わけだだが、・・・高度成長の終焉によって、その社会政策の
基盤そのものが瓦解している・・
と、驚くことに、30年も前の高度成長終焉以来、その社会
的基盤が瓦解していると主張している。
これは、資本家階級諸君が聞いたなら、<良くぞ言ってくれ
た!連合君!君はすばらしい。いいかね、聞いたかね、労働者
諸君!社会保障の充実を求める君たちの運動などは、30年来
に渡って社会基盤が瓦解しており、そんな運動は反社会的行為
なのだよ。即刻止めたまえ!>とまさに泣いて喜びそうな主張
ではある。
さらに、
12・4付け・・、、スカンジナビアンの諸説を粉砕す・・
では、
・・北欧社民が瓦解しているのは、これまでの国家独占資本主
義体制=社会福祉国家体制が、経済政策的にも財政政策的にも
、限界が生じてきたと言うことです。つまり、それを基盤とし
てきた経済体制が持たなくなってきたと言うことです。・・
さらに、
2・22付け・・スカンジナビアンに反論する2・・では、
・・改良主義的あり方は、いまややっていけないと帝国主義国
側は悲鳴を上げているわけです。・・
と帝国主義国側の<悲鳴>なるものまでもちだしている始末な
のである。
このような主張は<社会基盤の瓦解>をもたらしている、真
の元凶が実は新自由主義路線そのもの(現代の帝国主義路線)
にあることを隠蔽した、反動勢力の悪質なデマそのものなので
ある。
だから、私は早速、新自由主義を推進する、日米両国と、北
欧諸国とを比較し、実例をデータで示すように、迫ったのであ
るが、ついに、連合氏の長文の反論にはそんなデータなど一つ
も出てこなかった。
それどころか、私に、
・・社会福祉が後退して来ていることを検証されるべきでしょ
う・・
とその検証を依頼?してきているのである。(それは筋違いで
しょう?)
ということで、では具体的なデータを見てみよう。百聞は一 見にしかずである。
以下は、<オランダの奇跡、スエーデンの挑戦に学ぶ>とい う2002年6月に行われた、大阪府社会保障推進協議会の欧 州視察団の報告集からの引用である。本文はこの際省略して、 巻末の資料集からの引用である。ただし、彼ら自身はただの視 察団で、何のデータも持たないため、データの原資料はOECD所 載の各国のデータか、政府の統計資料であるので、その原資料 を提示する。
1、社会保障
1995年のOECD諸国の一人当たりの社会保障給付額(購買力
平価)
また、わたしの後付だが、分る範囲で、一人当たりGDPを付
した。
こちらの方は、今が分る、時代が分る世界地図2005年版
のGDPランキングからの引用で、購買力平価ではないし、デー
タ自体が03年度のものであるので、参考までに。
3桁の数字はいずれも日本=100とした数字である。
一人当たり社会保障給付費
一
人当たりGDP・ドル
1位、ルクセンブルグ 7819ドル 251 585
45 172
2位、デンマーク 7002ドル 224 39
429 115
3位、ノルウエー 6477ドル 208 48
592 143
4位、スイス 6335ドル 203 4
2138 124
5位、スエーデン 6258ドル 201 33
586 99
6位、ドイツ 6071ドル 196 2
9801 88
7位、ベルギー 6062ドル 194 29
205 86
8位、フランス 5985ドル 192 2
9267 86
9位、フィンランド 5756ドル 184 3
1007 91
10位、オーストリア 5589ドル 179 31
202 92
11位、オランダ 5563ドル 178 31
548 93
12位、イタリア 4658ドル 149 2
5429 75
13位、アメリカ 4452ドル 143 3
7388 110
14位、アイスランド 4322ドル 138 3
6711 108
15位、イギリス 4139ドル 133 3
0278 89
16位、カナダ 4038ドル 129 2
6380 76
17位、アイルランド 3337ドル 107 3
7637 111
18位、オーストラリア 3160ドル 101 26
062 77
19位、ニュージーランド 3134ドル 100,4
20位、日本 3121ドル <100>34
010 <100>
以下、
21位、スペイン 3076ドル 98 2
0343 60
22位、ポルトガル 2321ドル 74 ?
23位、チェコ 2190ドル 70 ?
24位、ギリシャ 1852ドル 59 ?
25位、韓国 674ドル 21 ?
1995年と言えば、高度成長が終焉してから20年ほど経
過しているわけだが、連合氏の主張とはことなり、北欧だけで
なく、欧州諸国はいずれも高いレベルの社会保障を維持してい
ることがわかる。
しかも、一人当たりのGDPは日本と比べて、決して高くない
か、より低いのである。
因みに、北欧諸国は 社会保障・対日 GDP対日
デンマーク(保守政権である!のに) 224 115
ノルウエー 208 1
43
スエーデン 201 9
9
フィンランド 184
91
であり、新自由主義路線を進める以下の4カ国は
アメリカ 143 1
10
イギリス 133
89
イタリア 149
75
日本 100 1
00
である。
次に、これの2000年度のデータを少し示しておこう。
残念ながら、同じく購買力平価ではあるが、実数がなく、日
本=100としたときのスエーデンの数値のみである。
1位、ルクセンブルグ
2位、デンマーク
3位、ドイツ
4位、オランダ(オランダの躍進が目覚しい。視察先とし
て選んだ理由だろう。)
5位、ノルウエー
6位、スエーデン 260 (即ち、5位以上は260
より上ということ)
1995年における、6位はドイツで、指数は196、1位
、のルクセンブルグの指数が251だったわけであるから、そ
の差はひろがっている。
連合氏の主張によれば、上位の諸国ほど、財政的にも経済政
策的にも限界が生じて社会的基盤が持たなくなっており、それ
は高度成長終焉以来瓦解していると言うのであるが、実際は全
く逆になっているのだ。
新自由主義を進める日本の社会的基盤がどんどん瓦解してい
るのがこのデータから見て取れる。
実際に、仮に、スエーデンの2000年の指数を95年と同
じ201に固定してみると
95年 00年
スエーデン 201~201
日本 100~77,3 一人当たり 95
年比 22,7%減
となり、如何に日本が急速に瓦解していっているかと言うこと
が分る。
いくらなんでもそこまではひどくないだろうということで、
日本を100のままに、してみると、(つまり、おおよそ95
年と00年は同額とすると)
今度は
スエーデン 201~260 95年比130%・
30増
日本 100~100
と北欧諸国は大躍進していると言うことになる。(連合氏の主
張とは正反対だ)
では、その中間と仮定すると、
スエーデン 201~229 95年比114,5
%・14,5%増
日本 100~88 一人当たり 95年
比12%減
となる。まあこんなところか。
いずれにしても、連合氏の主張は成り立たないことが分る。
次に財政である
2、財政
A,日本。
月刊保団連という医療業界誌の06年3月号に神戸大学大学
院経済研究科教授・山家悠紀夫氏の小論文が載っている。
以下はそこからの引用である。
2000年度 2004年度
GDP 503兆円 496兆円
-7
雇用者報酬 271 255
-16
企業所得 44 50
6
正社員 3640万人 3333
-307
非正社員 1359 1590
231
正社員平均年収 461万円 439
ー22
というような小泉政権の新自由主義路線の元、
財政的には、
2000年度 2005年度
(見込み)
財政規模 89兆円 82兆円
-7兆円
税収 51兆円 44兆円
-7
国債発行額 33 34
1
国際依存度 37% 42%
財政収支 -11兆円 -16兆円
-5兆円
同上対GDP比 -2,2% -3,2%
-1%
(GDPは04
年で計算)
国債残高 368兆円(73,1%) 538兆円
(108,5%)
なんと-25
,4%も悪化!!
しかも、国債だけでなく、地方債まで含めると 770兆(
155%)
否、実はこんなものではないはず、ということで、隠れ借金
まで含めると、1059兆円(213%)(・・リアルタイム
財政赤字カウンター・・で検索するとすぐにわかりますよ)と
いう驚くべき赤字なのである。
まさに、瓦解しているのは日本であることがわかる。
B、米国の場合
双子の赤字 エネルギーファンダメンタルハッカーズで検索
すると、
GDP 10兆9855億ドル
貿易赤字 4965億ドル(対GDP比ー4,5%)
財政赤字 4125億ドル( ー3,8%)
合計 9090億ドル(-8,3%)
とこちらの単年度財政収支は日本の-3,2%より悪い。
赤字国債の残高はGDP比で70%近いという。
まさに、財政政策的にも、経済政策的にも破綻しつつあるの
が新自由主義路線をすすめる日米両国なのである。
つまり、現代の帝国主義=新自由主義路線こそが社会基盤瓦
解の、真の元凶なのである。
C,北欧諸国について、
YAHOOの地域検索で容易に検索できる。
連合氏が帝国主義国側が悲鳴を上げ、財政的にも、経済政策
にも限界が生じ、社会体制が持たなくなっていると主張する諸
国の実際である。 財政収支の対GDP比。03 04は一部
見込みを含む
デンマーク。 95年社会保障対日指数 224 同年対日GDP
115
00年 01 02 03 04
1,5 3,1 2,0 2,9 2,9
極めて健全な財政である。 貿易収支GDP比-0,2%
ノルウエー。 対日 208 143
00 01 02 03 04
13,7 10,1 9,0 10,4 11,
5
貿易収支 12,9%
驚くべき黒字財政である!!日本の00年に換算すると、な
んと、00年は69兆円の黒字なのであるという。
ちょっと信じられない数字ではある。桁が一つ違うのかな?と
も思うがそれでも6,9兆円の黒字なのだ。(00年の日本は
11兆円の赤字なのにである!)全くうらやましい限りだ。
スエーデン 対日 201 99
00 01 02 03 04
5,1 2,8 0,0 0,7 0,2
貿易収支 6,7%
まあ、こんなところだろう。13,7%の黒字などと言うの
は日本から見ると全く信じられない。財政はトントンかちょっ
と黒字というのが本来の姿だろう。でなきゃ、税金の取りすぎ
かも?もっとも、ノルウエーは将来の福祉財源としてストック
しているのだという。全くうらやましいね。
ノルウエー人にでも生まれればよかったよ。
フィンランド 対日 184 91
00 01 02 03 04
7,1 5,2 4,3 2,3 2,0
貿易収支 5,6%
この国も信じられない位の黒字財政である。まったく、日本
に住むのがいやになってくる。
まあ、以上ざっとこんなところです。
だから、日本の変革の展望は北欧諸国の社会モデルに学ぶべ
し!
と私は主張しているのです。
しかし、主張しながらも、思い知らされて、いいかげんいや
になってくるけれどね。