前回の続きです。
では、再び、日本と北欧諸国を比較してみよう。
今度は、より一層、比較しやすくするために、北欧各国のデータを日本の国勢に換算して比較することとする。
日本。
00年度 04年度
GDP 503兆円 496兆円
税収 51兆円 44兆円
財政収支 -11兆円 -16兆円
同上対GDP比 ー2,2% ー3,2%
国債残高 368兆円(73,1%) 538兆円(108,5%)
国債と地方債の合計770兆円(155%)
上記プラス隠れ借金1059兆円(213%)
では北欧諸国
デンマーク
95年対日福祉指数224 00年同260以上
03年対日GDP指数115
00年 01年 02年 03年 04年
財政収支の対GDP比 1.5% 3.1% 2.0% 2.9% 2.9%
上記を日本のGDPで換算した場合の財政収支(日本のGDPをどの年も500兆円として換算)
00年 01年 02年 03年 04年
7.5兆円 15.5兆円 10兆円 14.5兆円 14.5兆円
以上すべて黒字である。
ノルウエー
95年対日福祉指数208 00年同260以上
03年対日GDP指数143
00年 01年 02年 03年 04年
13.7% 10.1% 9.0% 10.4% 11.5%
68.5兆円 50.5兆円 45兆円 52兆円 57.5兆円
信じられないくらいの黒字である。桁がひとつ違うのではないか?と本気で疑うのだが。
スエーデン
95年対日福祉指数201 00年同260
03年対日GD指数P99
00年 01年 02年 03年 04年
5.1% 2.8% 0.0% 0.7% 0.2%
25、5兆円 14兆円 0 3,5兆円 1兆円
このくらいだとそうかもなとホッとするが、、。1%で5兆円の黒字なのだから、日本でそんな黒字が出たら、サラリーマンの戻し減税要求の主張がされるだろう。だから黒字なんかコンマいくらのところが妥当ではないのかと思うが。
フィンランド
95年対日福祉指数184 00年不明
03年対日GDP指数91
00年 01年 02年 03年 04年
7,1% 5,2% 4,3% 2,3% 2,0%
35,5兆円 26兆円 21,5兆円 11,5兆円 10兆円
の黒字となる。やはり、信じられないくらいの黒字ではある。
ではこうした北欧諸国の将来性はどうか?
連合氏の主張では、
・・・帝国主義国側がこれではやっていけないと悲鳴をあげ、財政政策的にも経済政策的にも限界が生じており、・・結局帝国主義の市場争奪にはそういう体制では勝てないとブルジョアジーは思うだけでしょう。
帝国主義ブルジョアジーはそういうものを認知しないでしょう。
結局、改良主義の絶賛でしかなく、国際競争力を保持できてもいない。・・・12・4付け
では実際はどうか?
1、歴史、
まず、北欧諸国は欧州とりわけ、西欧南欧諸国に比べれば、国土は痩せているうえに、(スカンジナビア大氷河の下だった)北偏し、欧州でも貧しい地帯だったことを忘れてはならない。
実際、スエーデンの歴史を検索して読んでみると、人口の25%くらいが祖国を捨てて、米国などに移民している。
フィンランドは分りやすい。1917年2月革命まで、ロシアの属領だった。現在のロシアの一人当たりのGDPは03年で3022ドルであるが、現在のフィンランドのそれは31007ドルと約、10倍の開きがある。
当時のフィンランドがロシアの一部として、後進国だったことがここからも伺える。
また、ノルウエーは中世以来長い間デンマークの属領で(カルマル同盟)、1905年の独立以前はスエーデンの属領とされていた。
いずれも、政治的に従属的で、経済的にも貧しい地帯だったのだ。
では、その後の発展はどうか。改めて、データを示すと、
1位ルクセンブルグ 58545ドル
2位ノルウエー 48592ドル
9位スエーデン 33586ドル
12位フィンランド 31007ドル
であり、昔から先進国だった独仏英伊は
13位 英 30278ドル
14位 独 29801ドル
15位 仏 29267ドル
19位 伊 25429ドル
と北欧諸国に遅れをとっている。
これが、戦後60年の長きにわたり、高度福祉国家を築いてきた結果なのである。
2、今後の成長性について。
<世界が分る時代が分る世界地図>によれば、
成長競争力(GCI)のランキングは 一方ビジネス競争力(BCI)では
1位フィンランド 1位フィンランド
2位米国 2位 米国
3位スエーデン 3位 スエーデン
4位デンマーク 4位デンマーク
・・・・ ・・・・
9位ノルウエー 13位 日本
・・・ ・・・
22位ノルウエー
11位日本 となっている。
12位 蘭
13位 独 ノルウエーの評価が低いのは石油や海洋資源に頼っている側面が強いからだという
。
15位 英
・・・
26位 仏
・・・
41位 伊
となっている。 連合氏の主張・・国際競争力も保持できてもいない・・と言う主張も一体どういうデータに基づくものかここでも何も根拠が示されていないのだ。
GCIやBCIと言ったものがどれほどの有効性を持っているのかは議論の余地があろうが、少なくとも、実績としての、いままでの過去の欧州の貧困地帯から現在の世界最富裕諸国への発展を(それは同時に世界最福祉国家としての発展だったわけだが)と言う事実に連合氏の主張は全く反していることは確かだろう。
興味深いのは、唯一連合氏が挙げている根拠が
・・帝国主義国側がこれではやっていけないと悲鳴を上げ・・ているだの、
・・結局帝国主義の市場争奪戦にはそういう体制では勝てないと
ブルジョアジー!!!!は思うだけでしょう。・・だの
・・帝国主義ブルジョアジー!!!!はそういうものを認知しない
でしょう。・・だの、驚くことに、帝国主義ブルジョアジーの思惑のみを根拠に挙げているのである。(しかし、北欧の歴史的発展の事実にも全く反している。またしても何らデータを伴わないデマの類だ)
これこそが連合氏の政治的立場なのだ!!そう、現代の帝国主義=新自由主義者の立場そのものなのだ。
さて、これまで、連合氏の主張は最初から何の具体的データ・事実をも伴わない、胡散臭いものと感じていた諸兄も多かったことと思うが、これまでの論証で、氏の主張が実は20年来に渡って使い古されてきた反動勢力・現代の帝国主義者=新自由主義者の悪質なデマそのものであることがおわかりいただけたと思う。
氏の主張そのものがデータ上成り立たないのだ。
データを示せば示すほど、その欺瞞性が暴露されるのだ。(つまり、要するにデマなのだ。)
連合氏が決して、具体的なデータ・事実による論証に踏み込もうとせず、マルクスやレーニンの自己流読み解き論からの展開に終始しようとする理由がそこにあるわけだ。(何しろ、自分の主張がデマであることを示すデータばかりなわけだから)
誰でもYAHOOで容易に検索できるデータだけでも十分に論証できる程度のことであるからには、連合氏の態度は、確信犯であり、氏は悪質な反動デマゴーグであると言えようか。
少なくとも、真の変革者、革命家を自認する者ならば、真実を明らかにすることがなによりも労働者大衆を激励することとなることは自明の理のハズである。
しかしである。
今までの何回にも渡る連合氏の長文の主張のなかに、具体的データ・事実を使った論証が一回でもあったか!? いくらでもデータに触れる機会はあったのに、それも誰でも容易にデータを検索できたのに、ただの一回もないのだ!
こういう態度一つとっても、連合氏が真実を追究する姿勢など持ち合わせていないことが明らかではないか!!
つまり、連合氏は反動デマゴーグなのである。(マルクス主義者を装う)
風来坊氏との間で繰り広げられている連合氏の自己流のマルクスやレーニンの読み解き論の展開などもこのような連合氏の態度を前提に読み進めるべきものだろう。
次回は米国について述べる。
(果たして、そんなに成長力があるのかも疑問である。)