投稿する トップページ ヘルプ

「科学的社会主義」討論欄

連合氏への反論4、新自由主義を推進する米国の実態・・あなたの主張と全く逆だ。

2006/04/14 スカンジナビアン

 前回は北欧諸国と日本を比較し、社会を瓦解に導く真の元凶が新自由主義路線=現代の帝国主義にあることを論証し、連合氏の新自由主義者=現代の帝国主義者(そして帝国主義ブルジョアジーの代弁者・反動デマゴーグ)としての実態を暴露してきた。
 今回は、米国の例を元により詳しく論証しよう。
 私は、連合氏への最初の質問で、
Q、ではなぜ、社会負担がより少ないハズの日米両国は北欧諸国のように健全財政を保てないのかね?
 と問いただしたのであるが、連合氏はそれにまともに答えることができず、
・・北欧諸国がうまくいってないことは、ブルジョア新聞でも指摘されてきましたが、あなたはそのことを示すと、私を新自由主義者の ように宣伝しまくるでしょう。・・・
などと、どこの、どれとも言えないブルジョア新聞なるものをもちだして、<うまくいってない、、>ことが、さも常識であるかのごとく言い、しかし、それを強く主張しすぎると、自分が実は新自由主義者であると(そう、そのとおりだ!)見做されるのを恐れる、、というな んとも情けない、弱弱しい、言い訳をしている。
 ついでに言えば、ブルジョア新聞のみならず、ブルジョアマスコミ一般は、社会の瓦解をもたらす真の元凶が新自由主義路線そのものにあることを覆い隠すために、その原因が、さも、高すぎる社会保障の負担にあるかのごとき大うそ大キャンペーンを張っている。
 北欧諸国がうまくいってない・・もその一環なのである。
 連合氏がその尻馬に乗っかったのも決して偶然ではないのだ。
 もちろん、如何なる社会制度にも欠陥はあるが、それは、歴史的、国際的視点で、比較検討すべきものである。
 今回の連合氏への一連の反論のなかで、後に具体例を紹介するつもりなので、お楽しみに、、。 では、実際にデータで見てみよう。
 以下は、<オランダの奇跡、スエーデンの挑戦・・>の中の巻末の資料集からの引用である。
 原資料はOECD・・Revenue Statistics 1995-1999

      95年租税・社会保障負担率(対GDP比)  同98年
スエーデン          47,6%        1位 52,0%
仏               44,0%        5位 45,2%
英               35,2%       15位 37,2%
独               38,2%       16位 37,0%
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
米               27,6%       25位 28,9%
日本              28,4%      27位 28,4%

となっており、確かに新自由主義路線を進める日米両国の社会負担が、OECD29カ国中、際立って、負担が少なく、順位も最低レベルであることがわかる。(私は、経時的、国際的な比較データを示している。時間経過はわずかであるが、歴史的、国際的な比較論なわけだ。)
 しかしながら、日本については、既に、異常とも言えるほどの赤字財政であり、その累積赤字債務総額は770兆円(対GDP比 155%)、隠れ借金まで含めると、1059兆円(213%)とまさに、財政的にも経済政策的にも瓦解していることを私は指摘・論証してきた。
 そして、それに比べて、北欧諸国は信じられない位の黒字財政であることも、もちろん、指摘・論証してきた。
 連合氏の主張と全く逆の結果なのである。

 米国についても、既に、その双子の赤字の矛盾について指摘・論証してきたわけだが、今回は以下のデータベースを用いて、より深く、論証していきたい。
 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H121000.html  参照

 前回提示したデータベースによれば、04年の財政収支は4120億ドル(対GDP比3,6%)貿易赤字は4965億ドル経常収支では6659億ドル(対GDP比6,1%)の赤字、合計対GDP比9,7%という巨額の双子の赤字を生み出している。05年も4270億ドル(同3,5%)の財政赤字が見込まれていると言う。ちなみに、日本は05年度は3,2%の赤字が見込まれている。しかし、貿易の方は黒字で、03年度の実績では、889億ドル(約1兆円、対GDP比0,2%)の黒字である。(世界国勢図絵より)従って、両者の合計 では、日本は3,0%の赤字ということになる。(2年間ずれるが)
 米国が如何に巨額の赤字を生み出しているかがわかる。
 では、その原因と今後の見通しはどうか?
前回提示したデータベース
 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H121000.html
では、
・・財政収支が再び悪化した要因は、01年のITバブルの崩壊による景気後退や、減税政策の影響(これに注目!赤字なのに減税している)、対テロ戦争に向けた軍事費の拡大!!(要するに戦争政策)等であった。・・・とし、
・・・歳出の内訳を見ると、国防費!!をふくむ裁量的支出の増加が大きく、00年には対GDP比6,3%であった(この年は過去最大の財政黒字だった)が、その後は毎年増加し、04年には同7,7%となった。今後も長期にわたる減税政策の実施が予定されている!!こと等から、(総額で、10年間で、約1兆9000億ドルの規模)財政赤字は続くことが見込まれる。・・・としている。
 さらに、・・<2>、今後の懸念要因・・の節では、
・・・米国では、46~64年生まれのベビーブーム世代が2010年には退職年齢に達し始め、高齢化が急速に進展することが見込まれている。高齢化の進展は、公的年金や医療保険関連の歳出増加を通じて、財政にとって大きな圧迫要因となる。・・・
 また、連邦社会保障年金制度の隠宅理事会の発表した年次報告によると、連邦社会保障年金制度(老齢、遺族、障害給付)の信託資産の積み立て比率(毎年の支出に対する積立金の割合)の長期予測では、早ければ、2030年代に制度破綻にいたる可能性があることが指摘されている。・・・
 としている。グラフによれば、2030年代といっても、29年から、31・2年に資金が枯渇する見通しである。中位見通しでも、2042・3年に枯渇する見通しである。(まさに瓦解!!の見通しだよ、連合君)
 前回、米国はOECD29カ国中、租税・社会保障負担率(対GDP比)が、日本と並んで最低レベルの25位28,9%(98年、日本は27位の28,4%1位のスエーデンは52,0%)であることを指摘しておいたが、それでも、長期にわたり、減税し続けると言うのだ。(狂気だ!)
 しかも、上述のように、今後は高齢化が見込まれているのにである。
 高齢化などは人口推計から、早くから、わかっていたことなのだ。
 まさに、そんなことなど知ったことか!と言わんばかりの新自由主義路線を歩むブッシュ政権なのである。
 再度、租税・社会保障負担率の一覧を示しておく。
  1位スエーデン  52,0%
  5位 仏      45,2%
  15位 英     37,2%
  16位 独     37,0%
  25位 米     28,9%
  27位 日本   28,4%
 だから、米国がとるべき政策は新自由主義路線の減税(つまりブルジョア減税だ)などではないことがくっきりと浮かび上がっているわけだ。(今でも、最低ランクなのに、まだ、長期ブルジョア減税をするというのだ!レーガン以来金持ち減税と揶揄されてきたことは有名だ)
 もちろん戦争政策も大きく、財政赤字に響いている。
 まさに、新自由主義路線=現代の帝国主義こそが、社会を瓦解させる主因なのである。
 次回は、財政の将来的赤字見通しの実際のグラフを示します。