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「科学的社会主義」討論欄

ローザの帝国主義認識の曖昧さ2

2006/04/17 反戦・反ファシズム・日本国憲法擁護連合 20代 自営業

 ローザの帝国主義認識は、レーニンの金融資本の資本過剰、不均等発展という認識とはかけ離れていて、帝国主義が市場再分割のための戦争を起こすものだという認識もかなり欠けていた。
 そのうえで、ローザは民族解放闘争=民族自決権利は、帝国主義の戦争の原因になるので民族自決権を掲げて闘うべきではないと主張した。ローザは帝国主義国における第二インター崩壊にも曖昧な態度をとった。しかもその曖昧さが第一次大戦に参戦してしまうドイツ左派の脆弱性をしめしていた。
 これらは、すべてローザの帝国主義認識のなさ、曖昧さから生じているのである。

 他方、レーニンは「帝国主義と民族植民地問題」として、帝国主義の抑圧と超過利潤を暴露し、帝国主義国抑圧民族による植民地争奪として帝国主義戦争が起こることを指摘した。ローザのいうように、植民地国家である被抑圧民族が民族自決や民族解放闘争があるから帝国主義国は戦争をするのではないということである。あくまでも、帝国主義国は自国帝国主義の利害から市場争奪のために戦争をおこなうのである。

 現在も金融資本的蓄積様式であるかぎり、帝国主義の運動に変わりはない。もっとも、帝国主義経済と戦争の問題を切り離したくてしょうがない左派的論客もいないわけではない。また、帝国主義論は、帝国主義同士の戦争を説明しているから現在はあてはまらないという意見をいうものもいるが、これは現代帝国主義論を欠如したものいいであるといっていいし、帝国主義論の核心である帝国主義間争闘争戦という意味を理解していないものいいなのである。端的にいえば、帝国主義は相対的安定期と戦争の息継ぎにすぎないし、第二次大戦によるアメリカ以外の帝国主義国の破壊と、戦後、ソ連圏の存在がパクスアメリカーナを中心とする帝国主義国同士の結束を固めていたといえるのである。しかしソ連圏の崩壊と、日欧帝国主義の不均等発展によって、帝国主義国は互いに競争→対立にいたるようになっている。イラク戦争は、ドルとユーロの対立軸の結節点だったことも、この対立をしめしている。こうした帝国主義の経済と戦争は、帝国主義論の核心である、不均等発展と帝国主義間争闘戦(市場争奪)に規定されているのである。

 こうしたなかで、レーニン帝国主義論を批判し、ローザを突き出すのは、帝国主義に問題があるのではなくて、民族解放闘争や自決権のおかげて帝国主義は戦争をしているのだという反動的意見で、イラク戦争以後の世界を語ろうという動機に基づいているのだといっていいだろう。ローザは帝国主義に対して弱弱しい展開しかとれなかったことがドイツ左派の脆弱性をしめしているが、ローザを突き出している論客も、ローザを引き出して帝国主義に対する脆弱性をしめしているのであろうか?