大月書店の「レーニン全集」より、
第32巻 食料税について
「…国家資本主義は、わがソヴェト共和国の現状に較べると 、一歩前進であろう。もし、およそ半年後に、わが国に国家資 本主義が打ちたてられるとしたら、それは大成功であり、一年 後にわが国で社会主義が最後的に確立され不敗となるであろう ということの、もっとも確実な保障となるであろう。
私はだれかが、けだかい怒りにもえて、この言葉に寄りつか なくなることが想像できる。…なんだと? ソヴェト社会主義 共和国で、国家資本主義への移行が、一歩前進であるというの か? …それは社会主義にたいする裏切りではないか? と。
この点についてこそ、もっとくわしく論じなければならない 。」 (355ページ)
(中略)
「わたしが国家資本主義に『高い』評価をあたえるのは、け っして現在だけのことではなく、ボリシェビキが権力をにぎる まえにもあたえていたことを読者に納得してもらうために、1 917年9月に書いた私の小冊子『さしせまる破局、それとど うたたかうか?』から、つぎの引用をすることにしよう。
『…ユンカー=資本主義国家のかわりに、地主=資本主義国 家のかわりに、革命的民主主義国家を、すなわち、あらゆる特 権を革命的に破壊する国家、もっとも完全な民主主義を革命的 に実現することをおそれない国家を、もってきたまえ。そうす れば、真に革命的な民主主義国家のもとでは、国家独占資本主 義が、不可避的に、社会主義にむかっての一歩を意味すること がわかるだろう。 …なぜなら、社会主義は、国家独占資本主義からの、つぎの 一歩前進にほかならないからである。』」 (362ページ)
※ この「新経済政策」の理論を、きわめて消化不良のかたち でスターリンがひきついだ。なぜ消化不良か。それはレーニン がその後、病魔におかされ、その先を検証できなかったからで ある。その後の国家独占資本主義を支配したのは、民主主義と はほど遠い、絶対的支配者スターリン、一部の共産党特権階級 であったことは疑いない。 わたしは、「ソ連の国家独占資本 主義」 は、社会主義には転化しなかったと考えている。