投稿する トップページ ヘルプ

「科学的社会主義」討論欄

反論6、結局、連合氏は北欧諸国の財政パンクを撤回せざるを得なかった

2006/05/03 スカンジナビアン

 さて、私は前回、連合氏に
・・・さあ、ここだよ連合君。まさにここだよ!ここなんだよ!!さっさと、北欧4カ国の財政パンクを(君は断言したのだよ!)具体的データで論証したまえ。君の主張の核心部分なのだよ。なにを恐れているのかね?(気の毒にもそんなデータはないが)・・・・
とせまったのであるが、4・23の連合氏の反論では、ついに、
・・・北欧経済も、世界不況のあおりや、バブル経済破綻をむかえ、従来の財政危機突破として、財政再建と社会保障改悪がおこなわれた。この制度は70年代の政策より後退した制度であり、改悪と負担増によって財政再建化は図られているに過ぎず・・・
と現在の状況が一定程度、財政が健全である状況にあることを認めるに至った。
 但し、(自信たっぷりのような口振りではあるが、)
 またもや、なんのデータも出さずに、
 それは・・・改悪と負担増によって・・であると主張しているのである。
 しかし、これでは、どの制度がどういうように負担増になったのかさっぱりわからず、その財政的・経済的な定量化(つまり、具体的なデータ。
 例えば、対GDP比、、%とかの定量化されたデータ)も皆無なのである。果たして、連合氏はどういうデータに基づいて主張しているのだろうか?(データなど持ってないのだろうが、、またもや・・デマってやれ・・のの類ではないのかな?)
 私は( )内のように疑っているのだが、その疑いに対して連合氏の方から、良い例を提供してくれた。武器輸出についてである。

 連合氏によると仰々しくもサブタイトルまでつけて、
・・・北欧各国の経済構造は、武器輸出で保たれてきた・・・のだそうである。
およそ、一国の経済構造がある特定の産業で・・保たれてきた・・などというのは余程の後進国で、植民地的なプランテーションの経済構造を未だに強く持った国のことならわかるが、北欧諸国のような世界最富裕諸国ではにわかには信じがたいことであると誰でも思うだろう。
 事実
・・・武器輸出で見れば、大体11位をキープしているものの、北欧各国の経済規模からして、世界シェアにおける比率はかなり大きいものである。・・・北欧経済の現状からして武器輸出国第11位という数字はとてつもなく大きい・・・
などと主張しているのである。
 しかし、誰でもすぐに奇妙に思うのは北欧各国(つまり、4カ国。アイスランドとバルト3国は除外)と連合氏は自分から指摘しながら、・・武器輸出<国>では11位である・・などという有様で、これではどこの国のことなのかさえわからないのである。よかろう、それは、A国だとしよう。では残りのB、C,D,国の順位はどうなのかね?そして、各国の対GDP比は??金額は??全くこれではなにも分らないのだ。
 ところが、そんなことも無視して、
・・・<北欧経済>の現状からして・・11位という数字はとても大きい・・
と乱暴に、B,C,D,国までも含んだ北欧経済全体の問題にまで、勝手にすりかえて・・・とても大きい・・・とし、従って、
・・・北欧各国の経済構造は、武器輸出で保たれてきた・・・
という結論に乱暴に導いているのである。
 まったく、こんな稚拙な主張がこのサイトでまかり通るとでも思っているのだろうか?一事が万事と言う言葉があてはまりそうなのが連合氏の主張なのである。(幼稚なデマの繰り返しなのだが、、)
 どうやら、この主張は・・北欧諸国は・・国際競争力を保持できてもいない・・と言う氏の主張 が、北欧諸国の歴史的発展(欧州の貧困地帯から、世界最富裕・最福祉諸国へとの発展・・一人当たりのGDPで英独仏伊を上回る。ノルウエーが実質世界1位)を遂げてきているではないかと言う私の主張の前に崩れ去ったことへの遠まわしの言い訳じみた反論のつもりのようである。しかし、あまりにお粗末過ぎる。

さて、
 それでは、連合氏の主張については具体的なデータという事実でその欺瞞性を打ち砕いていくことにしよう。
1、社会保障について。
 以前、私からの反論2で、OECD諸国の一人当たりの社会保障給付費の世界ランキングを示したが、95年は実数の購買力平価がついていたものの、2000年分は実数抜きの順位とスエーデンのみの対日指数しかなかった。
    1995年   社会保障給付費   03年対日GDP比
 1位ルクセンブルグ 7819ドル 251   172
 2位デンマーク    7002ドル 224   115
 3位ノルウエー    6477ドル 208   143
 5位スエーデン    6258ドル 201    99
 9位フィンランド    5756ドル 184    91
11位オランダ     5563ドル 178    93
13位アメリカ      4452ドル 143   110
20位日本        3121ドル 100   100

    2000年
 1位ルクセンブルグ  
 2位 デンマーク
 3位 ドイツ
 4位 オランダ
 5位 ノルウエー
 6位スエーデン 対日指数260
   ・・・・・・
   日本  100
となっていた。
 実数が伴わないので、推測するしかなく、この間数々の改悪がされてきたことから、
 A,スエーデンが変わらなかったとした場合
   スエーデン  201 ~ 201
    日本     100 ~ 77,3 一人当たり22,7%減
 の、まさの瓦解と言える改悪になっていることになる、とし、
次に
 B、日本が変わらなかったとした場合
   スエーデン  201 ~260  一人当たり、30%増
    日本    100 ~ 100
 となり、北欧諸国の大躍進となる。
その中間の場合は
 C, 
   スエーデン 201 ~ 229  一人当たり、14,5%増
   日本    100 ~ 88   一人当たり、12%減
となることから、推測Cが妥当ではないかと主張しておいた。
 ところが、最近、私は日本の社会保障給付費の変遷のデータを入手したのでここに報告する。その内容はわたしの推測を覆すものだったのである。やはり、具体的データにまさるものは無いと痛感したしだいである。(その点、ただの一度もデータらしきものを提出したことのない連合氏の主張などは全くの問題外であろう)

     社会保障給付費の部門別推移(日本国勢図絵より)
     単位は億円   %は各年に於ける構成比
          1980    1990    2000   2002
 医療    107239  183795  260062  262744
         43,3%  38,9%   33,3%  31,4%
 年金    104525  240420  412012  443781
         42,2%  50,9%   52,7%  53,1%
 福祉・他   35882   47989   109198 129140
         14,5%  10,2%   14,0%   15,5%
(内、介護)                   32635   46995
                          4,2%    5,6%
 総額    24兆7736 47兆2203 78兆1272 83兆5666
 一人当たり21万1600円 38万2000円61万5500円65万5800円・・・と言う具体的数字が得られた。
 この2000年の61万5500円と1990年の382000円とを比較すると約1,6倍となり、その平方根では約1,27倍である。(つまり、5年間の伸び率が1,6倍ということ)すなわち、90年から00年の間の増加率を一定と仮定すると、私の立てた推論は以下のような修正値となる。
         95年       2000年
日本      100   ~    127     27%増
スエーデン  201   ~    330      64%増
 これでも、なお、推定が含まれるが、実際により近くなったと言えようか。
 連合氏の主張、
・・・従来の財政危機突破として、財政再建と社会保障の改悪が行われた。・・・改悪と負担増によって財政再建化図られているに過ぎず・・・というのも、こうした実際の数値によって確認されねばならないと言うことを示している。そして、連合氏の主張はまたもや成り立たないということが言えよう。
 重要なのは、日本の場合は改悪に次ぐ改悪がなされてきたにもかかわらず、一貫して、一人当たりの給付費が増え続けているのは、高齢化の急速な進行によるものであることだ。その速度は先進国中最高であるという。北欧の場合は、70年代に日本の出生率が2,0以上であった頃から、すでに高齢化しており、出生率も1、3程度だったと言う。
 しかし、その後、数々の育児支援策(教育費の無料化は有名)の結果、近年は一時、2,0を越えたり、北欧全体で大体1,6~1,8程度にまで回復しているのである。したがって、社会の高齢化の速度は日本よりずっと少ないと思われる。
   出生率の比較   人口千人あたり、(調査年にバラつきあり)
   日本       8,8    1,3(こちらは合計特殊出生率)
   ノルウエー   12,2   1,8  以下の各国の特殊出生率
   デンマーク   12,0   1,77 は、人口千人当たりの出
   フィンランド   10,9   1,61 生率からの換算値。
   スエーデン   10,7   1,58 よって、多少の誤差あり。

 したがって、北欧諸国の一人当たりの社会保障給付費の増加は(5年間でスエーデンの場合、64%増となるが、、物価上昇分の修正が必要だろうが、、大体物価は安定していたのだが)受給者一人当たりの受給額の増加、つまり、この間の国民の生活水準の向上に寄与していると思われる。日本の場合は、一人当たりの受給額は増えてもそれは、医療費や、介護保険といった、QOLの後退からの回復や、悪化の防止といったQOLの防衛的な側面に費やされている分が多いのではなかろうか。 なお、QOLとはquolity of life の略です。医療界ではよ く使用される言葉。例えば、よく適合した総入れ歯により、よく食べることができるようになり、QOLが大幅に向上したとかです。しかし、そもそも総入れ歯の世話にならないことの方が重要であって、自分の歯でしっかり噛めることに比べると、はるかに劣る、部分的なQOLの回復に過ぎず、医療給付はされるが、それで生活が向上したとは実感しにくい。
 むしろ、そうならないような予防給付に財政を費やすべきで、そちらの方が、医療費給付総額は安くなる上に、生活の向上を実感しやすい。
 つまり、日本の社会保障給付額は一人当たりで、北欧諸国より、もともとはるかに低い上に、95年から、2000年にかけて、北欧諸国と格差がむしろ開いているのが実情で、それも、日本の方がはるかに高齢化の進行速度が速いことから考えれば、その内実は改悪に次ぐ改悪であり、国民の生活レベルの向上に寄与する分は少なく、よく言っても防衛的なレベルにとどまっていると言うことができると思う。(実際は後退だろう。一人当たりは増えているとしてもね。)
 実際、日本国勢図絵でもそのような解説を行っている。
<日本国勢図絵>の解説から、いくつか引用しよう。
・・・02年度の社会保障給付費は83兆5666億円(2,7%増)で、国民一人当たり、65万5800円(2,5%増)・・・なお、国民所得費は23,0%(0,89%増)である。この比率は、社会保障による、所得再配分の度合いを示すものだが、西欧先進国に比べ格段に低い水準にある。!!!・・・と率直に日本の社会保障が国民生活の向上に寄与する機能が格段に低いことを指摘している。
 (だから、選挙で、社会保障や福祉のことを訴えても、みんな今一ピンとこないのだよ。・・存在は意識を規定する・・で、国民の意識レベルも他の先進国に比べると、社会保障については格段に低いわけだ。)
そして、
・・・高齢者関係給付費は58兆4379億円で、4,4%の増加、社会保障給付費に占める割合は69,9%に達している。・・・
と、日本の社会保障が高齢者に偏在したいびつな構造になっており、
真に国民全体のものとなっていないこと、従って、国民全体の生活向上に寄与する分が少ないことを率直に指摘している。
 参考までに租税社会保障負担の対GDP比を再び示しておく      98年度
 1位   スエーデン    52,0%
 5位   仏         45,2%
 15位  英         37,2%
 16位  独         37,0%
 25位  米         28,9%
 27位  日本       28,4%
 もし、日本がスエーデン並みの租税社会保障負担率なら、莫大な財源が新たに生まれるわけで、2000年時点で、一人当たり、日本の2,6倍の社会保障給付 がなされていることも容易に理解できる。
 そして、ではその2,6倍の社会保障給付が実際にどのように給付されているのかを以下に見てみよう。
   全体   2,6倍
 住宅!!37倍!   住宅に37倍の支給なのである。彼らは家族生活を非常に重視するのだそうだ。もちろん、出生率の向上に寄与するからだろう。
 つまりは、若い世代のための、住宅の保障という社会保障給付なわけだ。北欧で、若い世代の政治的関心が高く。投票率も驚くほど高い(90%前後)というのもうなずける。社会保障はまさしく若い世代のものなのだ
家族  10倍   言うまでも無く子育て支援である。子供一人当たり、2万円くらいを16歳まで全員に支給。その後は高校生の間は、4万円くらいの延長手当てを支給。大学以上は8万円の返済不要の奨学金あり。
 幼稚園は有料だが、この2万円でペイできる。保育所は無料で、原則として待機児童はなし。
 このほか、出産に際しては450日の出産休暇あり。所得の9割を保障。その他満8歳までの小児を養育中の両親に360日分休業その間所得の8割分休業時支給有り。
 さらに90日分の休業時所得保障あり。(こちらは定額支給。かなり、低額となる) これは小児の病気などとは関係ない。つまり、旅行に連れて行くとかでもよいわけだ。
 他に、もちろん小児の病気などでの休業所得保障あり。(所得の8割。)日本で考えると、せいぜいこの小児の病気の場合の所得保障があるくらいだろうと思ってしまう。
 つまり、消極的な防衛的な意味での社会保障ということであって、子供のいる家庭に、旅行のチャンスを与えようとかの、積極的な生活向上への寄与を本当に実感できるような社会保障ではないのだ。社会保障もここまでくると、とりわけ、若い世代には生活の維持向上の死活問題なわけで、当然のごとく、各党の政策論争に自分から積極的に関わっていこうとするわけだ。

失業 8倍 これは分りやすい。失業手当である。
高齢者2,2倍
 内現金 1,8倍 これは老齢年金。購買力平価での比較だから、諸兄の中で、年金を受給しておられる方は単純に現在の年金額を1,8倍すればよい。どういう生活になるかわかるでしょう。
現物給付11倍 これは高齢者ケア
医療   1,3倍
 内、傷病手当 7,5倍 もちろん本人が病気になったときの休業補償。所得の8割を支給。
以上です。 
 しかし、連合氏はこうした社会保障の改革改善をあざ笑い、敵視して
・・・日帝やアメリカ帝国主義よりも労働者は手厚い<保護>がありますよ、といっているだけでしかなく、改良主義を絶賛しているだけでしかないので無意味!!・・・帝国主義社民が指導した改良主義という限定的な獲得物に他ならない。・・<赤旗>がかってソ連をモデルとして絶賛していた亜流でしかないな。・・・(なんと無意味だそうだ!!)
などと連合氏のかってな主観を並べ立てるのみなのである。(要するに悪態をついているだけなのだが、連合氏の反動性がよくわかる言葉ではあろう。
 そして、
・・・結局帝国主義の市場争奪には沿ういう体制では勝てないとブルジョアジーは思うだけでしょう。・・・だの、
・・・帝国主義ブルジョアジーはそういうものを認知しないでしょう。・・・
などと、自分からブルジョアジーの思惑を代弁する始末なのである。
 そうそのとおりだよ、連合君。ブルジョアジーは結局どころか最初から、(スエーデンなら、1932年当時の初の社民党政権成立当初から)そういうものは絶対に認知しなかったのだよ。あるときから、あるときまでは認知してきたわけではないのだよ。それは最初からだ。しかし、世界というものはね、ブルジョアジーが認知しようがしまいが存在するものがあるのだよ。それはね、労働者人民の意志であり、闘いなのだよ。(君は知らないか、其の存在を認めたくはないのだろうが)だからね、スエーデンにしろ、他の北欧諸国にしろ、ブルジョアジーどもは絶対に認知して来なかったが、労働者人民の意志によって、ブルジョアジーの思惑など打ち破って、ここまでの社会保障・福祉国家を築いてきたのだよ。
・・・ 結局改良主義の絶賛でしかなく、国際競争力を保持できてもいない・・・だって???
 一体どこに目をつけているのかね?
 かっての欧州の貧困地帯に過ぎず、英独仏伊などの先進国に大きく遅れをとっていた、北欧諸国はすべて、いまや、一人当たりのGDPで、英独仏伊を上回っているではないか。
フィンランドはロシアの属国だったのだよ。
ロシアは今でも欧州の後進国ではないか。(一人当たり3022ドル)
そこから出発して、今のフィンランドは31007ドルなのだよ。
ノルウエーはどうだね?実質世界1位なのだよ。(48594ドル)
デンマークは39429ドル、スエーデンは33586ドルなのだよ。
 それに比べて、英 30278ドル
          独 29801ドル
          仏 29267ドル
          伊 26429ドル
となっているのだよ。
 これをどう説明するのかね??
 要するに、連合君は武器輸出でもみられたように、ろくにデータも見ないで、(無視して)幼稚なデマを並べ立ててそれでよしと言う態度なのだ。しかし、あまりに、稚拙すぎて、デマっているそばから、すぐに底が割れると言う笑止なおまけまでついているがね。(そうそう、A、B,C,D国の(武器輸出額の大きい順からABCDでいいよ)具体的なデータの提出をまっているよ。順位と金額と対GDP比をね)
 今回はここまでとしよう。
 まだまだ続く予定です。(もっともっと暴露しなければ、、、。)