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「科学的社会主義」討論欄

労働者階級の絶対的貧困化 大橋さまへ

2006/09/04 銀河 60代以上 画家

 そのNHKのテレビ番組を私も見ました。
 「マルクス経済学の立場からいえば、資本主義で避けること のできない「資本の蓄積と労働者の貧困化」をこのような言葉 「ワーキングプアー」、「働く貧困層」でしか表現できない今 の日本、すこし滑稽だった。」
 そうですが、非常にいい番組でした。
 会社をリストラで追われた大卒の労働者が奥さんを失った後 二人の息子を育てるためにガソリンスタンドを二つ掛け持ちで 働き、しかももう一つかけもちで働かねば長男を塾に行かせら れないほどに貧しい労働者の姿は悲惨です。
 「少し滑稽」と客観視できないばかりか私は涙ぐんでみてい たのです。労働の意欲を失って週刊誌をコンビニのゴミ箱から 拾って本屋に売りながらブルーテント暮らしをする20代の青 年。底辺ではこのような状況になってきています。こんな時代 が続けば私は資本家という家系と労働者という家系の人間が体 格も色も違う別の人種になってしまうなどと妄想します。
 しかしこのような状況はヨーロッパでも長年あり、この前は フランスでアラブやアフリカ移民労働者の暴動があったかと思 えば雇用問題でフランス人労働者の300万人のデモがありま した。
 私はマルクスの言う「労働者階級の絶対的貧困化の法則」は 現代まで続いていると考えます。それは一国規模で考えれば帝 国主義諸国の労働者階級には賃金の上昇がありましたが、被抑 圧諸国の労働者を視野に入れたときアフリカは飢餓に貧し、南 米は帝国主義の搾取と収奪で疲弊しています。アジアでは農村 が崩壊し農民が労働者に転落していく階級分化の激しさと低賃 金、強労働があり、そこからの利潤が日本の労働者を潤わせて も来ました。だから資本主義経済を一国の範囲で考えることは できないのですし、革命問題も全世界との連帯で考えねばなら ないと思うのです。絶対的貧困化は資本主義経済の及ぶところ (及ばないところはない)全世界の規模で見るならば貫徹され ています。そのような意味での「少し滑稽」は理解できるので す。
 だがこの日本でもバブル崩壊の90年以降経済が縮小するに したがって労働者階級の貧困化が始まり、企業は解雇、リスト ラ、賃下げ、労働強化によって生き伸び、今日再び大資本は利 益を90年以前の水準に戻したと思います。しかしその背景に 「ワーキングプアー」があります。
 働けど 働けどなお
 我 暮らし 楽にならざり
 じっと手を見る       石川啄木
 ワーキングプアーとは明治末期の労働者に戻ったようなもの です。私の友人たちもそうなのです。