いったい、いつ頃からなのだろうか。「架空請求事件」
関連のニュースがほぼ連日のようにテレビ・ラジオ等で報道さ
れるようになったのは。
つい先日もブロードバンド推進協議会の野々下幸治さんと弁
護士の桜井光政さんが某局に出演し、最近の趨勢と注意喚起を
してくださっていた。
架空請求とどの程度の関連性があるかは素人なのでわからな いが、出演の番組では、最近の「ネット詐欺」を被害種別ごと にパーセンテージで報告、注意喚起していた。
ネットオークション詐欺:46%
ワンクリック詐欺:28%
不正請求詐欺:17%
その他の詐欺:??%(「??」部分は聞き
逃した可能性あり)
(「オレオレ詐欺」と「振込め詐欺」については言及していな
かった記憶がある)
斯界(この分野)に詳しい専門家が出演番組を通してぼくら
を啓蒙・注意喚起してくれるのはたいへん有りがたいものの、
「また○○市で架空請求詐欺が発生しました」といったワンパ
ターンな報道にウンザリしているかたは、多いのではないか。
いわゆる「オレオレ詐欺」や「振込め詐欺」事件は、その手
口がマスコミ、週刊誌等で公表されてきたはずだが、いまだに
被害が沈静化していないように感じる。そのせいか、小学生や
中学生が「オレだよ、オレオレェ~」などとふざけ合う光景を
目撃することが時折りあるようで、これにも不快感を感じてし
まう。小・中学生といえば何にでも興味を示し良くも悪くも影
響されやすい。彼らが冗談(否、悪い冗談で耳障り。)で口に
しているだけだろうとはいえ、少年らの心象風景・人格形成期
にも何らかの形でギスギスした世相が影響を及ぼしているのか
もしれない、と思うと、薄ら寒い気持ちになる。
某県では、警察官が巡回警察車両からスピーカーで詐欺被害 防止をひろく呼びかける啓蒙(?)作戦が10月から始まる、 との報道があった。行政警察過程の一環(??)として取り組 まれるのかどうかは知らないが、やや遅きに失した感は否めな いのではないか?
やはり、それだけでは不充分なのではないか?
そこで、記憶を辿ってみた。
思い出した。
ひと昔前にビートたけし(北野 武)氏が言っていたことに
、ヒントがあるかもしれない。たしか『テレビ朝日』系のバラ
エティー番組の中でだったかと思うが・・・。
アメリカなどでは未成年者誘拐(もしくは長期間の行方不明
)事件がとても多いそうだ。国内総人口は日本のおよそ2倍。
そこで、全米各地の牛乳メーカーが協力して、牛乳の紙パック
の側面に、誘拐された被害者(未成年者)の顔写真や最低限の
特徴を印刷したうえで、スーパーマーケットや販売店に出荷し
ている、と紹介されていた記憶がある。被害者の親族の諒解を
とったうえで印刷・販売しているのは言うまでもない。
いま日本で吹き荒れる「架空請求事件」とは犯罪の類型・態
様こそ全く違うものの、牛乳の紙パックを活用する被害防止作
戦は応用範囲は広いのではないだろうか。
そこで以下、拙いながら被害予防に関する若干の提言をまと めてみた。参考になるかはわからないが・・・。
これが参考になるか否かはもとより自信はない。だが詐欺被
害に自分も遭うかもしれない、と思うと他人事とは思えないの
だ。
知人の家にも架空請求ハガキが送り付けられ、すんでのとこ
ろでおばあちゃんが信じ込みそうになったり、被害未遂に遭っ
ている人が居て、かなり身近な犯罪になっていることは肌身で
感じる。
実は昨年(又は、おととし)初夏の頃、拙宅にも架空請求ハ
ガキが一方的に送り付けられ、行政機関に相談したことがある
が、まったく不愉快な思いをさせられた。家族全員でハガキの
内容を見たが、当然ながらみな「身におぼえのない内容だ(怒
)」「ありもしないニセ法律用語だね、一見尤もらしいニセ専
門用語も散りばめてあるなぁ」。
単独犯なのか組織的犯罪なのかいまだにわからない。暴力団
が絡んでいるのか、ヤミ金融絡みなのかもわからない。外国人
犯罪なのか日本人のみの犯行によるものなのかさえ、不明(つ
いでながら、こちらの県でもブラジル人や中国人らによる各種
犯罪が発生するようになり、近所でも「近頃のガイコクジンっ
てコワイねぇ」と対外国人感情の悪化が見受けられる)。
額に汗して日夜働きづめのまじめなほとんどの勤労者国民を 巧妙に騙し、顔も実名も所在地も明かさず、消費者心理の盲点 を突き、高齢者の弱みにツケ込み、荒稼ぎをしでかすと言われ る詐欺犯罪者。携帯電話本人確認法の施行「以前」に大量に出 回り(?)、犯罪者が不正に入手したプリペイド型携帯電話が 犯行に使われる事件もいまだになくなっていないそうである。
*** *** *** *** ***
野放図なIT社会を推進する前に《モラルをどうするか》とい
う視点は、与野党を問わず聞いたことがないような気がする。
友人たちと飲むときにも、「ヤツら(詐欺犯罪者)は電話帳
を前に片っ端から獲物を探しているのかも!」「なぜ私有パソ
コンに“おトクな商品をあなただけにオススメ”なんて勧誘メ
ールが入ってきたんだろう? どこかでメルアドが漏洩してる
のかもなぁ」などと話題になる。知る範囲にはシロガネーゼも
ヒルズ族もセレブもまるで縁のない、時間に追われあくせく働
く人間がほとんど(ぼくもそうだが。)なのだが、所得水準な
ど関係なく手当たり次第に片っ端から勧誘しているのだろうか
??
それにしても、行政も民間NPOも、対策が後手後手に見えて 腹立たしい。防犯教育をすべての職場や地域・学校で繰り返し 施す(当然ながら、内容は最新のものが望まれる)とか、防犯 マップ作成にあたってひろく一般市民から情報などを募集する とかいった取り組みはされないのだろうか。
■“科学的”社会主義・党許哲学で解決されるとは思えない■
革新陣営、なかでも共産党や社民党はこういった視点からの 取り組みでひろく国民各界各層と連帯して詐欺犯罪を撲滅する 、詐欺の起こらない、起こさせない日本社会をめざす気がある のだろうか? 被害予防策をアクチュアルに考えるにあたって は革新も保守も中道もないはずだが、現状はこれといった横の 連携や取り組みの具体的な動きは見当たらないように感じる。
「・・・社会主義・共産主義の社会が訪れれば・・・あらゆる
不平等のない、・・・なにものにも束縛されない、・・・あら
ゆる人間的発達・・・人間的成長・・・が可能になります・・
・」 たしかこういった趣旨で書かれた不破著書が学習会会場
に置いてあったと思うが、はっきり申し上げてセンスがナイー
ヴにすぎる。“現世は乱れに乱れているが、未来社会はそれは
それはすばらしい社会(桃源郷?)。だから現世のカン難辛苦
のみにとらわれていてはいけない”と言われたってねぇー。
ネット詐欺や功罪両面にわたる《人間の欲望》、拝金中毒者
のえてして陥りがちな極端な《射幸心》、それを煽る《ギャン
ブル産業》、ギャンブル借金の穴埋めのためには他人を食い物
にし(時には生命さえ奪い!)て平然とする・・・等々
遥か彼方の(いつ訪れるともわからない・訪れるという保障
もない、否、信じないほうが良いのかもだが) “共産党版・
未来予想図” を語るよりも、《現存資本主義体制》のもとで
の詐欺犯罪・もっと広義にいわゆる知能犯罪その要因分析と予
防をも射程範囲におさめた社会科学的で且つ応用の効く「新」
理論を構築する気は、あるのだろうか? 本腰を入れて着手し
、政策に反映され効果が現れたら、共産党アレルギーの国民か
らも感謝されるだろうに。
詐欺をやってやろうという詐欺犯罪者が仮にそこに居るとす る。犯行を決心したり、やりかたを考える、何人編成でやるか とか、時間はいつがいいかとか、言うまでもなくこれは犯罪者 とそれを取り巻く心理過程《心の領域》なのだろう(素人なの で誤謬があればご指摘ください)。
レーニンらの系譜に則っていた旧ソ連の諸学界では、党員学
者が、西欧生まれの社会病理学・社会心理学を不当にも「ブル
ジョア学問だ」と決めつけ、ソ連人が研究することを禁じてい
たらしい。すなわち、直接に心を扱う学問分野(ディシプリン
)は、それを講義したり研究すること、当該研究者らが出版活
動をすることは、一部の例外分野を除けばご法度だったわけだ
。党にとって都合の悪い分野を扱うおそれのある研究者(学者
が党の顔色を気にするようでは全くまずいのだが。)は徹底的
なまでに公私を問わず監視されていた。少なくとも、《学問研
究・教授の自由》は存在しなかった。
党許哲学と民主集中制にがっちり護られた当時のソ連共産党
幹部の頭はどうだったのだろう。曰く「(当時の)共産圏には
売春婦もその他犯罪者も居ない。それも共産主義の善いところ
だ」といった類いの論拠不明のでたらめな“プロパガンダ”が
1970年代頃まではあったそうだ。当時のソ連国民はそれを
洗脳され信じ込まされていた。
某アメリカ人ジャーナリスト氏が1990年代初め頃に証言
暴露していた記憶がある。
「共産圏は資本主義西側陣営に比較してモラルや文化の面で
もすぐれている(!!!)、だから同志達(注:当時のソ連国
民のこと。)よ、われわれの路線に確信を持とう! といった
類いのプロパガンダが盛んに喧伝されていた。故マルクスが聞
いたらひっくり返って卒倒するに違いない。しかし共産主義文
化優越論なんて1991年ソ連崩壊以降は、モスクワにおいて
さえ、ヘタなジョークにすらならなくなった」(もちろん崩壊
以前の頃の共産圏に売春婦など1人もいなかったなど誰も信じ
まいが)。
その旧ソ連、今のロシアだが、党許哲学をめでたく葬って普
通の国並みに《学問の自由》学問の春が一応訪れたということ
は、いくつかの情報源から得ることができた。今ではロシア・
アカデミズムにおいても、(かつては“ブルジョア学問”とし
て禁令になっていた)社会病理学・社会心理学・刑事政策論な
ど諸社会人文科学を自由に研究・講義できるし、受講学生数も
順調に増えているそうだ。怪僧ラスプーチンについての客観的
研究も偏見なく行なうことができるらしいし、宗教的信仰を有
する者に対する差別もなくなったそうだ。
過去14~15年間の間にロシアでは教育格差がさまざまな
形で広がり始めたそうである。かつて旧ソ連領だった中央アジ
ア諸国はもともと文化的にスラブ圏ではない。イスラーム文化
圏である。カザフ語やウズベク語だけ話せればそれで不便を感
じることなく学んだり生活することができた人たちが、いまグ
ローバリゼーションの波に翻弄されているそうだ。彼らは国の
体制転換の犠牲者といえるのだろうが、一定年齢以下の国民は
再教育を迫られているらしい。学問の自由に限らず、一旦“壁
”が開かれることは功罪の「罪」の側面も牙をむくのだろうか
。
だが、紆余曲折はあるだろうが、ロシア・ウォッチャー諸氏
の言説を総合すると、ロシアの教育界はおおむね健全なベクト
ルに向かっているものと思われる。
ロシア共産党の青年部(崩壊前・旧ソ連時代はコムソモール
と言われていたはず)については寡聞にして文献情報が皆無(
残念)だが、東京の某所で某ロシア・ウォッチャー氏からこん
な講演を聞いた記憶がある。
「哲学思想的にも歴史認識面でも現在のロシア共産党員は多
様性が感じられるし百花繚乱の様相を呈している。いまや“一
枚岩”などみられない。中にはこれでも共産党員かと違和感を
感じさせる新世代の党員までいて、隔世の感がある。もはや、
ヤレ、分派だの敗北主義者だのというような不毛きわまるレッ
テル貼り、反党分子の査問、除名候補者への監視といったガラ
クタは消滅したのだから、党内においても《言論の自由》は完
全に保障されている。民主集中制はもちろん全廃済みだし、党
員が党中央幹部を批判する自由も保障している(ただ多党制を
解禁したので今では少数野党になったけれど)・・・」と。
良かれ悪しかれ、ロシアの教育界もロシアの党も普通の国の
それ並みに“深呼吸”できるまでに変わったことだけは確かな
ようだ。
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翻って日本の共産党はどうなのか? 思想的にコチコチの権 威主義的な党許哲学を“歴史博物館行き”にし、「新」理論構 築をなし遂げ、詐欺犯・知能犯撲滅に学術・政策両面で科学的 に貢献してもらいたい。国民の「共産党観」も少しは変わるの ではないか。
自民党の安倍・新総理は「美しい国」「再チャレンジ」なる (難儀な??)テーゼを掲げた。麻生太郎氏はオーストリア出 身の経済学の泰斗にあやかってか(?)「創造的破壊」と「起 業家精神(?)」を謳って総裁選を闘った。だがネット詐欺を はじめとして多種多様な詐欺・知能犯が枚挙にいとまがない風 紀紊乱のこの国が「美しい国」だとはお世辞にもいえない。ブ ラックジョークではないか? ちと国民をなめていないか? まっ、多方面からさまざまな解釈を呼びそうな「美しい国」。 パラドキシカルなロジックとしてなら受け容れられなくもない かも・・・?
■おわりに■
日本を“詐欺天国”に堕することは許されない。傍観視もし
たくない。前述七項目の拙い提言につき、 牛乳メーカー・乳
製品メーカー・あるいは菓子(乳菓を扱う菓子メーカー)メー
カー で働いておられる(または、かつて勤務経験がある)か
たがもし居られたら、建設的なご意見をお寄せいただきたい。
お待ちします。
(ただし、誹謗中傷・人格攻撃・言いがかり・揚げ足とり・恫
喝・罵倒語の類いはご遠慮ください)