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「科学的社会主義」討論欄

全野党共闘について(2)

2006/12/25 百家繚乱 50代 事務職

 この国の政治変革を願う国民は、一般的には、先ず、共 産党ではなく民主党に期待する。例え、どんなに、「自公と民 主は同じだ」と、共産党が政治宣伝を頑張っても、「自公と民 主が同じである」事は、「マルクス主義」や「科学的社会主義 」を学んでみなければ解らない。要するに、共産党は国民に向 かって、「マルクス主義」や「科学的社会主義」を押し付けて いるのと同じである。それを理解できないのは、「無知である か騙されている」と言うのは共産党の傲慢・独善である。「社 会主義」と無縁な国民にとっては、民主党が自公と同じかどう かは、民主党政権が出来てみないと解らない。この国の政治変 革を民主党に期待する国民にとっては、共産党は自公と同じ保 守勢力となっている。
 民主党政権がどこに向かうのかを想定するのは極めて困難で ある。だが、民主党政権は自公から激しい攻撃を受け、この国 の政治的緊張を高めるのは明らかである。否応無しに、この攻 撃の中で、民主党は右旋回するか左旋回するか、選択を迫られ るだろう。右旋回すれば、国民に見捨てられた自公政権を左か ら補強するだけである。国民は自公政権と同じように自公民政 権を見捨てるだろうし、民主党の分裂も想定できる。どちらに 旋回しようと、この政権は日本の左翼戦線の統一と再生を促進 するのは明らかである。
 「左旋回するはずがない」と言うのは、現実の政治力学を無 視した独善である。現実の政治の力学は、何人でも予測不可能 である。右を向いて失敗する事が明らかになれば、どんな政治 家でも左旋回する。その逆も有り得るし、左翼の分裂は右旋回 の主要な動因となっている。左旋回してから共闘を考えるとい う待機主義は、現実の政治力学を無視した独善であり、裏切り である。共闘を通じて、国民に対して政治変革の展望を指し示 せば、この国の下方で眠っている変革の力が目覚めてくる。民 主党指導部をいかに批判しても、分裂している限り、この国の 下方で眠っている政治変革のエネルギーは目覚めない。
 この国の政治変革を願う広範な国民と敵対するのは、共産党 にとっては自殺行為である。「民主集中制」の歴史は広範な国 民との敵対関係の歴史でもあった。この党の歴史は、党中央の 官僚主義・独善主義・セクト主義に彩られて来た。不破氏は「 この国の反共主義は根強い」と言う。これは「反共主義」では なく、「反共産党主義」の誤りである。共産党中央自身が、官 僚主義・独善主義・セクト主義を克服できないならば、国民も 「反共産党主義」を克服できないのは、当たり前である。例え 、どんな党を支持していようが、この国の政治変革を願うなら ば、共に歩み協力し合うのは当たり前である。「基本政策が違 うから共闘出来ない」と言う共産党は、この国の政治変革を願 う民主党支持者に敵対し、「反共産党主義」を拡散している。 世界でもこの国の歴史においても、「共産党主義」は「反共主 義」の大きな原因となってきた。いかなるイデオロギーを掲げ ようと、統一に背を向ける党や党派に未来はない。未来のない イデオロギーを青年に押し付けても、青年は見向きもしないの は当然である。
 トロツキーは「日本における労働者階級の展望」において、 以下のように語る。

 「意識は歴史の中で最も怠惰な要素だからである。そして、 この忌まわしい意識が目を覚まして、ついに、物質的事実の後 についてのろのろと歩き始める前に、この外的な物質的事実そ のものが人々と諸階級を駆り立て、その背中、その後頭部、そ の額をしたたか打ちすえることが必要だったのである。」「意 識の哲学的部分、意識の政治的・批判的領域は、こうした過程 と平行して発展しはしなかった。そのための時間はなく、日本 人の大多数は、今なお、中世的なイデオロギー的野蛮の中に足 をとられている。しかし、まさに状況がこのようなものである ことからして、前方への飛躍は不可避的であろう。」「日本の 労働者階級は容赦なく、身ぐるみ搾取されなければならない。 これこそが、日本革命が不可避であることをわれわれに語る客 観的諸要因である。」

 日本の中国侵略戦争は中国革命を惹起するというトロツキー の予測は見事に適中したが、不可避であると期待した日本革命 は起こらなかった。しかし、日本の労働者階級の意識は、その 経済的な先進性に比べて、著しく立ち遅れていると言う現象は 戦前と何も変わらない。日本の労働者階級の後進的な意識は、 その先進的な経済力によって、絶えず前方へと駆り立てられて きた。しかし、左翼の分裂とセクト主義は前方へと駆り立てる 「歴史の棒」を砕き、眠り込ませる役割を果たしてきた。そし て、労働法の改悪によって、今日の労働者階級は再び、「身ぐ るみ搾取され」ようとしている。更には、世界に向かって誇る べき憲法さえ、改悪されつつある。
 かつて、ドイツの労働者階級の目の前には権力が転がってい た。しかし、ドイツ共産党は「社会ファシズム論」によって、 左翼の分裂を主導し、目の前の権力をファシストに引き渡した 。この権力はドイツのみならず、ソ連さえ危機に陥れ、全世界 を戦乱の中に叩き込んだ。歴史と言うものは、一時足りとも同 じ地平に踏みとどまることは出来ない。歴史が前方へと駆り立 てているときに、同じ地平に踏みとどまろうとすれば、歴史は 踏みとどまるものを容赦なく砕いて、前進するしかなくなるの だ。
 今日の日本においても、権力は目の前に転がっている。前方 へと駆り立てる「歴史の棒」(統一)を砕くのではなく、この 棒で己自身の背中・後頭部を叩き、己の意識を前方へと駆り立 てるべきである。

なお、参考までに、以下のリンクを貼ります。
「ニカラグアからのメッセージ」
「日本における労働者階級の展望」