最近の力作ぞろいの投稿の中で、6/3の党員欄の人文学徒さん、
6/11のこの欄の原仙作さんのご意見に強く共感をもって拝読
した。
詳しくはお二人のご意見にじかにあたってほしい。ここでは、
私なりの共感の立場からの感想を述べたい。
あれだけ高い支持率をもっていた小泉内閣も、行政の破綻があ
ちこちでほころびが目立ち、民主党の小澤一郎代表に政治のヘゲ
モニーを奪われそうな凋落ぶりである。
私は自民党幹事長当時の小澤一郎を、創刊まもない週刊金曜日
第三号で厳しく批判したことがある。その懸念はいまも変わらぬ
が、政治の流れは、小泉純一郎のポピュリズムと新自由主義の愕
くべき大政翼賛型の全体主義政治によって危機的事態にある。
むしろ、小澤一郎が参院選選挙一人区を全国行脚してまわり、
国民新党など郵政法案により小泉自民党から切り捨てられた勢力
をも支持する意向を示した。
このような小澤氏の政治的視野には、学ぶべきものがある。
人文学徒さんや原仙作さんのご労作を読みながらふと考えた。
現在の日本共産党指導部には、現在の政治的情勢に対して、反フ
ァシズム勢力はいかにすべきか、その対抗戦略を構想する政治的
想像力にかけるものがあるのではないか。
かつて宮本顕治氏が日本共産党の指導者だったころに、中野重
治は、小説『甲乙丙丁』で宮本氏を形象化して、大江健三郎は
「満身創痍の巨大な共産主義的人間像」と評したことがある。
中野重治は、宮本顕治によって日本共産党から処分された。それ
でも宮本顕治氏は、戦後共産党を築いた政治力をもっていた。
宮本氏がよくて、いまの指導部がだめというつもりはない。要
は、この大きな分岐点で民衆に政治的想像力を駆使した統一戦線
の政策を駆使する政策を実行できるか否か。それを言いたいだけ
である。
「九条の会」は、近来まれに見る大衆運動の成果である。一方
「平和共同候補」擁立運動も、多彩な政治的見解の持ち主が結集
した。私も両方に参加しているが、もうこういうチャンスは今回
を逃すと、一気に憲法改定や大政翼賛政治の常態化に突き進む危
険性がある。
もちろん政治は、紆余曲折を経るが、やる気のない小泉先送り
政権が終えると、教育基本法改定、防衛省昇格、国民投票法、共
謀罪などが次の内閣で一気に動くだろう。ポスト小泉政権までの
「今」が重要なのである。
九条の会は、全国集会をもった。平和共同候補擁立運動も、今
が大事な時期である。
日本共産党は、すでに「前衛政党」であることを放棄している。 前衛、でなくともよいが、共闘の精神は、国民的抵抗政党にとって 必須である。