小沢一郎さんで天下を取れなければ、民主党は永遠に天 下を取れないかもしれません。
小沢さんと亀井さんが、おそらく、次の衆院選までの政局の ひとつのキーマンでしょう。
民主党は、最近ではそれなりの軸は出してきているので、そ れが例えポピュリズム的な動機によるものであっても、一定の 評価を無党派層から得て、千葉補選での勝利につなげました。
「消費税は当面増税しない」「日本的雇用システムは維持」 「憲法は明文では変えず、国連待機軍を創設する」。こういう ところでしょう。今の小泉自民党が新自由主義化したために、 むしろ小沢民主はコントラストとして「古い自民党」的な色彩 を強めているともいえます。
私は、小泉総理よりは小沢さんの今のほうがましであること は明白だと思います。亀井さんについても同様です。ですから 、民主中心に社民、国民新党、場合によっては是々非々で共産 党が協力する形での政権交代も促進するべきと考えています。 自民党を野党に突き落とし、その解体を促すことは必要である 。
しかし、問題は、小沢さんの政治も、今のブッシュ政権の下 では戦争参加への歯止めではあるが、民主党(おそらくヒラリ ー・クリントンで間違いあるまい)がアメリカの政権の座に返 り咲いた場合はどうかということがひとつあります。
ブッシュの戦争は、単独主義ー有志連合方式でしたがクリン トンは、国連中心主義で、ソマリアでは国連軍として出動、そ して、ユーゴでは国連のお墨付きをもらったNATO軍による空爆 を行いました。
ヒラリー・クリントン政権なら、NPT再検討会議の復権など は期待できますが、変わりに国連を大いに活用して戦争を行う 可能性も強い。国連だから、戦争をして良いとは私は思いませ ん。しかし、小沢政権は、9条を維持したまま、国連軍に自衛 隊を参加させ、おそらく後方支援や輸送、警備はさせるでしょ う。
また、経済的には小沢さんは「日本型社民主義」の復活では あっても、では例えば男女共同参画などでは自民党より保守的 な面もある。教育の問題も然りです。リベラリズムが足りない ような気がします。終身雇用、年功序列復活はよい。しかし、 旧来自民党政治は小泉政治よりは「マシ」であっても、問題点 も多く、やはり国民は嫌気がさしている。男女差別、利権によ る腐敗、公共事業による環境破壊・・。これらにどう答えるか ?
今、小泉政府を打倒するために、例えば参院の1人区、衆院 の小選挙区で民主党を中心とした共闘はありだと思います。し かし、小沢政権発足後は、左派・市民派は是々非々を徹底して 臨まねばならない。
そして、共闘するとしても、護憲派政党や市民派は、暴力に よる問題解決を否定するアプローチでの政策を軸を打ち出し、 小沢民主との差別化を図らねばならない。
経済でも、とことん、内需拡大による対米依存脱却と人権保 障、分権的なアプローチに基づいた政策を打ち出さねばなるま い。女性、フリーターなどもシステムにきちんと救うような新 たな雇用システムで連帯を広げねばなるまい。
少子化の「克服」などと大上段に構えず、むしろ、「質の高 い経済社会」を目指す。
一人当たりの所得を上げ、それにより、百円ショップで使い 捨てのものをかったり安物の食材を使うのではなく、少々高く ても長持ちするものがはやるようにする。あるいは労働条件や 環境に配慮した商品購入をさらに進める。そうすれば経済規模 も維持できるし、また、市場があれば、企業もそれに対応した ものづくりができる。差別化により、日本国内企業も生き残れ る。労働条件も維持できる。その中で、男女とも暮らしやすい 社会をつくっていく。こんな構想を示していきたい。
単なる抵抗勢力と思われてはいけないのです。小泉政治は最 悪です。財務省をはじめとする官僚独裁を強めただけです。札 びらで頬っぺたを叩いて利益誘導して米軍基地を押し付けよう とするなどは、小泉さんの嫌う「古い自民党」と変わらない。 庶民へのセーフティーネットを壊し、一部金融資本だけを儲け させている面からすれば最悪です。
しかし、旧来自民にも、女性やフリーターが外れてしまうと いう点がある。利益誘導を目的としていたからそうなってしま う。そうではなく今後は政策で国民に貢献する「新しい族議員 」がビジョンを打ち出し、官僚に対抗していかねばならない。 民主主義のルールに基づいた公共投資、地域経済振興を進めね ばならない。
そんなラジカルかつ現実的なビジョンの提示が必要である。 その上での民主党との1人区での共闘は進めるべきです。そう すれば、選挙区によっては、より庶民の利益を守る候補を民主 に飲ませることも可能になってくる。民主党を左に寄せること につながる。
民主との協力のために、自己を薄めるのは最悪です。あるい は、薄めておいて協力しないのも最悪です。どちらにせよ、有 権者から見放されます。大衆蔑視と唯一前衛党論は裏表である ことを天下に示してしまう。
薄まった護憲派、市民派は、小沢さんにとって何の脅威でも ありません。薄めることで、広げよう。そして、囲い込もう。 これではいけません。けち臭いことを考えてはいけません。軸 を持てばおのずと、連携もできるのです。自分に自信がないか らだめなのです。
今は、インターネットも充実し、大卒も過半数に達する時代 。そんな時代に、旧来の唯一前衛党論的、大衆蔑視的考えは干 からびたイデオロギーに過ぎない。干からびた歌に過ぎない。 議論になることを恐れてはいけない。得るものを得なければな らない。