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「現状分析と対抗戦略」討論欄

真の男女共同参画社会へ課題は多いが頑張ろう!

2006/07/15 音重子 30代 給与生活者(連合系労組役員、社会市民連合代表幹事)

 先日、前任でのの先輩と話す機会が久々にありました。
 先輩は、産育休明けということ。(私はもちろん独身)。

 私が、最近は、テニスをしているというと、その先輩は「いいねえ、私は、子どもが二人いて、昔の独身のときは旅行やスポーツ楽しんだのが懐かしい。あと10年(下の子が11歳くらいになるまで?)はそんなのも出来そうも無い」と。

 ああっ、と思いました。我々の職場は恵まれてはいる。男女は同一賃金であり、女性の管理職も多くいる。しかし、それでも、働く女性が子どもを持ってしまうと「人生が楽しめない」のか、と改めて思わされました。

 育児休業など、「生産点(=労働現場)」でのセーフティネットが企業によっては、それなりに充実しても、一方で、文化的なもの、あるいは生活点でのセーフティネットの不足はまだまだ解消されていないと思います。

 文化的なものとしては「子どもを放り出して親が遊ぶとは怪しからん」という感情論です。確かに、昔は、小学生くらいでも、親が子ども 働かせていた時代があった。貧しいがゆえで(今の途上国がそうです。)
 それが、さらに格差を固定していたわけです。また、家では親の言うことは絶対で反抗できなかった。親の許可なくして結婚すら出来なかった。

 そんなひどい時代の反動から、今度は「(母)親は自己犠牲して子どもに力を注がねばならない」的な発想に戦後はなってしまったのではないか、と推測しています。一定程度、男女共同参画が進んだ今でも、それはあると思われます。そして、「こどもの権利条約」なども曲解されているような気がします。

 そうではなく、親ももちろん、「人間」らしい生活ができるようにしなければならない。残念ながら、今の若い世代は、もう、豊かな暮らしに慣れてしまっている。それは良いことだ。だから、いまさら、我慢しろと言われたって、そうはいかない。有名な話だが、フランスの出生率が高いのは、親がきちんと人生を楽しめるような文化風土やインフラを整備しているからと言われています。

 ノルウエーもそうです。様々な人生の選択肢を用意してある。生活点での保障がしっかりしていると言える。(学生用家族アパート、医療費・出産費無料、育児休業手当、ひとり親への手厚い保障・・・)
三井マリ子さんのWEBサイトより)。

 どうもしかし、日本は女性が働きやすい環境を、という声が小さい。
 ひとつはある種の悪循環があるように思うのです。

 今、若者、とくにフリーターの多くが自民党支持=新自由主義に走っているのが現状です。先の千葉7区補選でも民主が勝っても、自民候補になんと若者が大量に入れている。

 自分の所得が低いがゆえに結婚して自立できない若者(結婚したら親離れしないといけないから)にとって、野党や左派が要求する子育て支援もそんなに魅力的ではない。育児休業も関係ない。親に頼ってパラサイトシングルでそこそこ暮らせているなら、将来的な不安はあれど、今は切羽詰っていない。
 そして、福祉がカットされたりするのをみて、むしろ溜飲を下げてしまったりしている。

 一方、それなりに自立できている人にとっては、フリーターは努力不足だ、「待ち組」だ、という猪口大臣らのアジテーションが有効になっている。
 また、旧来保守層に対しては「公共事業のばら撒きで恩恵を受けやがって。
 私たちには全然支援が無いのに」と不満を募らせる。そしてこれまた小泉自民党にからめとられかねない。要は、うまいこと分割統治されてしまっているのです。

 私は、ですから、むしろ思い切ったラジカルな、底上げ策を、子どもを現在もてているくらいには余裕がある人にも、今は、パラサイトシングルを余儀なくされているフリーター、ニートにも行うことが大事ではないかと思います
 「分断から連帯の政治」へと切り替えることです。

 財源については、今は、お金をかけたとしても、将来、人々が自立して労働力として経済をになってくれれば、充分お釣りが来るので、なんら問題はありません。財政が今すぐ破綻するなどという寝ぼけた考えでは、右派に太刀打ちできません。

 アメリカでは、公共投資を含む歳出増を8年連続で行いつつ、お金持ちに増税して、財政再建をクリントン政権は成し遂げています。

 「みんなが足を引っ張り合う」政治から「みんながよくなる」政治への根本的な転換が必要です。国民新党の財政・金融政策と、ラジカル市民派の社会政策を止揚させたような方向を目指せばよいと思います。

 社会市民連合は、そうした政治の実現のため、全力を尽くします。