新しければそれでよいのか?そのことは常に考えておく必要がある。
左派の集う「さざなみ通信」でも、4-5年前、某革新政党員による、公務員や高齢者を悪者にする議論が横行していた時期があった。それはアプリオリに公務員はお金持ち、高齢者はお金持ち、そして若者や女性を中心に非正規労働者は抑圧されている。
そういう類のものだった。高齢者は抑圧者だ。だからそれを庇う左翼は保守勢力だ。そんな極論さえあった。
しかし、本当にそうなのか?高齢者は皆お金持ちか?確かに人生の最終ステージだからたくさん稼いだ人もいる。しかし、多くの人はそんなに余裕はない。
実際、若いときに建てた家の修繕とかで結構お金が掛かる。公共住宅が欧州のように充実していないところでは仕方がない。年金がそんなにない自営業者の場合は、確かに、運転資金として金融資産を保有している場合がおおいが、これを「お金持ち」と決め付けられたのでは溜まるまい。
確かに岐阜県の裏金などは怪しからん話だ。しかしそれと公務員の給料が高いかどうか、あるいは、公共サービスをどうするかは別問題である。
ごちゃ混ぜにしてはいけない。正すべきものは正した上で、話を進めないと事を誤る。
あれから5年間、さらに小泉政府は、高齢者をいじめた。年金課税強化、老年者控除廃止、それによる介護保険料、国保料負担増。それで、若者が良くなったかといえば、そんなことはない。ワーキングプアが増えた。誰か悪者を討伐したからといって、自分が良くなるということはない。
この15年、農民がまず悪者にされた。高い食糧価格の元凶という。
次は中小商店。高い物価の元凶という。そして次は、中小の町工場。
生産性の低い彼らに銀行がお金を貸しているから日本は非効率だという議論だ。そして次は公務員がけしからんという。あるいは地方や老人が若者、都市を抑圧しているという議論。そしてその次は、ついに若者も「待ち組」「自己責任」という議論。
結論を言おう。「悪者」を作って「討伐」したって、私たちの生活は良くならない。そして、大手企業とアメリカだけがホクホク顔なのだ。
某革新政党員はどう責任を取ってくれる。彼のような人が小泉さんを勢いづかせたのだ。妙な正義感のあまり、大手企業とアメリカという最大の既得権をスルーした。
もちろん、制度を変えるべきところは変えるべきだ。しかし、それは例えば、意思決定に女性や若者の視点を入れながらセーフティネット再編・強化であるべきだろう。小泉さんのように、茶坊主学者と大手企業代表だけで全てを決めて、正義の味方面するのは羊頭狗肉の改革である。
むろん、女性や若者を十分参画させられなかった左翼政党や社会運動の責任は重い。その情けなさは小泉さんへの期待を強めたことは事実だ。
しかし、高齢者や公務員をいじめれば問題が解決するかのごとき幻想を振りまいた某革新政党員はどう考えておられるのだおるか?
猛省を促したい。今ごろは、もう革新政党は辞めて、小泉自民党支持になっているのかもしれないが・・。
そして、どうせ、「大手企業や金持ちに税金をかけたら逃げ出す」と言い出すかもしれない。もう、そうなったらその人は立派な経済的極右である。私は反論するだろう。「そんな愛国心のない企業など出て行けばよい」「今の大手企業は国内で部品を安く買い叩き、中国で安く組み立ててアメリカへ輸出するだけ。
国内でも、工場を作っても雇うのは違法請負ばかり。地域への消費や税収増加の恩恵は少ない」。法人税率は下げるべきではなくむしろ、中小企業への投資補助金が有効だろう。雇用の99%を占める中小企業をしっかりさせることが、最優先である。
そもそも為替リスクの問題もあるので、日本にも一定の資本は残すのである。極端な空洞化はないのである。
今ごろは、平和運動をしているようなリベラルな人の中にも、経済的極右(庶民増税賛成、大手企業減税賛成)論者も散見されるので困ったものである。しかし、そのようなことでは結局平和も守れないことに気付くべきだ。
大手企業とアメリカに振りまわされる政治を改めないと平和もこないだろうに。