投稿する トップページ ヘルプ

「現状分析と対抗戦略」討論欄

原仙作氏へ

2006/09/15 部外者U 30代

 原仙作様。返事が遅れて申し訳ありません。

>この指摘で部外者Uさんが仰りたいことは民主党、社民党、共産党の3党だけではなく、新党日本や新社会党、新党大地などの他の野党も考慮に入れて検討するべきで、それらの党が考慮されていないことが、無党派への説得力を削いでいるということでしょう。

 正確には違います。今回の郵政選挙の際政党間の関係では特徴が2つあると考えています。
 一つは護憲共同候補をめざす流れ。地域的にいうと東京などでは前回参議院選からこういう流れはありましたが、形としてしっかり見えたのは郵政選挙から。本題と関係ないので省略します。

 もう一つは自民党の分裂。このことは90年代以降特に橋本政権以降、構造改革(橋本内閣)と旧来型保守政治(小渕内閣)とのジグザグを繰り返してきた自民党が小泉政権後は完全に構造改革、新自由主義政権にシフトしたと考えるべきだと思っています。

 国民新党・新党日本・新党大地は切り捨てられた旧来保守層を代表するものと私は理解しています。そしてこの構図は決して一過性のものではなく自民党が構造改革、新自由主義政権を志向する限り続くものと考えています。

 したがって郵政選挙以降は国民新党などに代表される旧来保守層についてどう考えるか、いわゆる革新系と市民派の護憲共同運動に対しての評価を明らかにする必要があるでしょう。

 原氏の文章ではこの2つの流れ特に旧来保守層についての分析がなかったので、それでは説得力がないと提起したわけです。

注ー森内閣は基本的に構造改革路線を目指していた(教育改革など)が、政権獲得の正当性などで構造改革をするだけの力をもっていなかったと考えています。

>ただ、2004年の参議院選の選挙結果という新聞発表のデータを用いた場合、選挙区ごとの新社会党などの得票数は表示されておりませんし、新党日本なども当時はまだ存在しておりません。仮に、これらの政党すべてを考慮に入れた得票数を計算するということになると、非常に面倒なことになるがかりか、得票計算の信憑性の問題も出てきます。

 「基礎データーとして同一選挙を比較対照群にするのは正攻法のやり方」ということは以前書いたように理解しています。

>こういうわけで、新聞発表された2004年の参議院選の得票実績をそのまま使うほうが、簡単な説明で全体図を説明できるうえにデータの信憑性も簡単に確保できるわけです。この記述方法を採用した結果、新社会党や新党日本などの政党が数字上の表示からは欠落するという欠点が生まれてきます。そこで、この欠点については、「2」の(2)で「新社会党などの選挙協力区もあるはずだが、新聞表記には見えないため、ここでの考察からは抜け落ちている。」と説明しているわけで、決して、新社会党などの政党を無視しているわけではありません。しかも、各党への議席配分は「一例にすぎない」とも述べており、例示した議席配分や候補者の政党にこだわっているわけではないことも示しています。

 新社会党のように郵政選挙以前の自民分裂からある政党が、原氏の分析に含まれていないことに対して私は文句を言いません。なぜなら私も都道府県レベルではありますが、選挙分析をしたことがあるからです。保守系無所属、革新系小政党、ネット、職場候補(大企業の労組代表)などを国政選挙の得票計算に置き換えることの大変さは理解しているつもりです。

>部外者Uさんは、この欠落について「この部分をあえて計算に入れないというのはずさん極まりないと言わざるを得ない。」と批判されますが、具体的な得票計算手順の難しさを考慮していないという点でいささか言い過ぎの批判という感じがします。

 言い過ぎの批判という言葉は受け入れます。すいませんでした。

>というわけで、私の真意は全野党の選挙協力にあることを理解してください。

 原氏の真意が全野党の選挙協力にあるのは理解しました。

>「この変数」を計算上、どのように考慮したらいいのでしょうか? 都市部と地方では違うでしょうし、首長選などでの選挙協力の経験のあるところとないところでも違うでしょう。私の主張は、これまでの各選挙区の実情を考慮したものではありません。

 各選挙区の実情を考慮したものではないことは分かりました。

>しかし、流動的だという現実があるからといって「机上の空論」ではないでしょう。共産党が変わり積極的に全野党の選挙協力に応じれば、来年の参議院選では私が一律の基準で示した全体図(与党の過半数割れ)の方向へ大きく前進するはずだからです。

 私が愛知の例を挙げたのは歴史的にも公認候補以外の候補を推した実績と最近の参院選で他党との協力関係から、共産党が変わるかどうかの指標として最適と思ったからです。

 これらから判断すると共産党の変化に期待するのは相当困難だと言わざるを得ません。
 こんなことが続くなら「なぜ共産党は変わらないのか」に私の興味は移るかも知れません。

>私が提案した改憲の発議を封印するという政策協定は、共産党を念頭においたものです。部外者Uさんは、できない政策協定よりも、「自公政権が有利にならないように野党連合との間の候補者調整は行うという方が」いいと提言されていますが、それも一つの案で、私の提案よりさらに柔軟なものです。部外者Uさんの提案を共産党が実行できれば非常にけっこうなことです。

 日本社会党があったときでさえ「民主連合政府」構想がうまくいきもしなかった、74年の選挙管理内閣構想や76年の小選挙区粉砕・ロッキード疑獄徹底究明・当面の国民生活保護という3つの緊急課題解決の暫定政権構想も全然相手にされなかったなどの歴史的経緯をふまえて、できっこないことはやめて実利を取りに行きましょうと日本共産党に提起したかったわけです。

>しかし、候補者調整も共産党にとっては選挙協力の一種であり、国政選挙における選挙協力には政策協定が必要だと理解するでしょう。こうした共産党の考え方を前提にして、基本政策が違えば選挙協力はありえないという「石頭」に一石を投ずるつもりで出したのがあの提案なのです。その意味では、私の提案にこだわっているわけではありません。政策協定なり、選挙協力の仕方は当面の主要な政治課題(政権協定ではない)との関係では無数にあるのだということを、あの提案で訴えているわけです。

 日本共産党の政権構想論の重要な欠陥点の一つとして政権構想案や政策共闘の積み重ねによる信頼関係の醸成はあっても、選挙の中で与党をどうやって減らすかというところがない点を指摘できます。

 原の主張もここの部分が弱いと感じています。

>ところが、党勢拡大一本槍の政治方針があるだけで、その方針でどれだけ有効に改憲策動にたたかえるかという点すら示そうとはしていません。来年の参議院選では改選議席より1議席多く獲得することが全てになっており、国会内での改憲の動きがどうなろうが、そんなことは全く眼中にない有様なのです。それほどに、共産党指導部は余裕を失っています。

 ここの部分には異論があります。私が見た限りでは日本共産党の連合政権構想はどれも野党が選挙戦をどう闘って与党を少数にするかということは書かれていません。

 野党が各党単独で選挙戦を戦う中で、日本共産党の議席が多ければよりよい民主連合政権ができるという目標を立て続けています。

 これは与党が自公連合と選挙協力の経験を積み重ねている以上非現実的な選挙戦術と言わざるを得ないでしょう。これを現指導部も踏襲しているだけだと私は考えています。

注ー日本共産党の政権構想は自民党単独政権化の時からすべて連立政権を志向していたように先見性があると感じていました。ところが選挙戦になると選挙協力についてはまったく触れずに単独選挙志向ばかりになってしまうのか。以前からさっぱり理解できませんでした。だれか教えてください。

>そういうわけで、亀の甲羅を脱がないかぎり、共産党の指導部が頭を切り換える契機は来年の参議院選となるはずで、我々は、与党を過半数割れに追い込みながら、護憲派議員を増やし、かつ、共産党指導部に頭の切り替えを迫るという、やっかいな作戦、投票行動をこなさなければならないわけです。どうにも、「前衛党」がお荷物になっている状態です。

 各野党間での信頼関係の醸成がすべて議会内での協力関係か院外での市民活動などの協力に終始して、なぜ選挙戦を通じての信頼関係が出てこないのかも部外者の私にはさっぱり理解できないところです。

 これも「前衛党」意識のなせるものなのでしょうか。