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「現状分析と対抗戦略」討論欄

高校の必修科目履修不足問題

2006/10/28 カズ 50代

 高校の必修科目履修不足問題が全国各地に広がっているが、その原因とは何か。
 根底には、企業利益に役立つロボットとしての秀才、天才、エリート育成の教育を財界が要求していることがある。その財界の意を受け、政府・文部科学省は高校の多様化・再編を進めて公然と格差づくりを促進しているが、なかでも、文科省の主導で各地に設置された中高一貫校の多くは、受験中心の体制になっている。
 そうした政策が高校での競争を過熱化し、受験教育の肥大化を生んでいる。一部のエリート教育のほかは、十把一絡げの教育でよく、いかに一流大学への入学者を多数生み出すかが、受験校の校長間競争にとってはすべてにさえなっている。
 近年は、学校評価制度の導入に伴い、文部科学省や教育委員会は、校長に対して数値目標を掲げるよう指導しており、それに応えて大きな成果をあげることが、教育委員会の管理職、教育長や図書館長など自己の出世のための、あるいは退職後の優位な地位への最短距離となってしのぎを削り合わせることになる。そのためには、校長の独断による職員会議の機能麻痺状態、上意下達の状態が体制的にも平常となり、わが子を「負け組」にさせないために一流大学」に入れようという親たちの風潮を代弁するPTAの圧力も加わって、一般教員はほとんど板挟み状態におかれている。さらには出世や生活の安定のために勤務評定の高得点を望む教員は校長にあげつらい積極的に協力していくが、中には虚脱・放心状態の教員も出る始末である。
 安倍政権では、教育基本法の改悪と対応した数値目標の達成を競わせる体制をつくろうとしており、いっそう事態はひどくなる。放置すれば、日本沈没、間違いない。
10/28