私は、共産党は嫌いではないです。
しかし、最近、本当に、自らの党利党略でさえも追求できていないのでは ないか、と思ってしまいます。
共産党が党利党略を追求してけしからんというのは、左派の中でも結構あるのですが、 そうではなく、純粋党利党略で見ても非合理ではないかと思ってしまいます。
共産党は、「自民も民主も一緒」と言って、自・民vs共という構図にしてしまっている。 しかし、それは、共産党が批判するところのマスコミの「自vs民」という構図と 同じ「二元論」です。もっといってしまえば、イラク=大量破壊兵器と決め付けて、 攻撃したブッシュとも似ています。エキサイトするあまり、批判する相手と 同じ構図にはまり込んでは「徳」を失うのではないでしょうか?
そもそもの失敗は私は98年参院選で自民が惨敗した際、民・共躍進となった際、 もっと民主党を批判しなかったことです。それとともに、自民とも民主とも 違う明確な軸を示せなかったことです。
当時の共産党は、自民党政治批判が中心で、ネオリベ批判が弱かった。その公共事業への姿勢はむしろ、ネオリベに回収されかねない危うさもあった。
そして、民主党への批判をあまりせず、むしろ、消費税の引き下げ主張を 撤回したり、安保棚上げ論をするなどして民主党に妥協して政権に入ろうとした。
これは、「じゃあ、民主党でいいじゃん」という人々を生んでしまった。
そもそも、98年当時の民主党は経済政策では自民党よりも「右」です。 自民党が、かなり新進党への対抗上、ネオリベ化していたとはいえ、まだ、 「保守本流=穏健な社民主義+平和主義」だった(自自連立で変わったが)。
左から並べると 共・社・由・自・民というのが経済政策の立ち位置でした。 共と民が組むなんて実は無理な話だったのです。
ところが、小渕政権も後半にはいると経済面での右傾化を強めた。 産業再生法などです。周辺事態法も、グローバリズムの一環です。 ただ、それでも、経済は民主が自民より右だった。
ところが、転機が起きます。
2000年総選挙で自民党は都市部で民主に敗北。新自由主義改革にシフトしないと まずいという雰囲気になった。
一方民主党の鳩山代表は自分自身が、選挙区で自民対抗馬に僅差まで迫られた。 公共事業批判が逆風を招いた。これがその後の両党の動きの伏線です。
自民党は、翌年、小泉さんを総裁に選出。新自由主義を推進し、民主党の お株を奪った。鳩山さんも「改革を競う」と叫んだが、求心力が低下し翌年 初冬に退陣しました。一方自由党は、このとき、藤井裕久さんが、「小泉改革は 経済規模を小さくする」と叫んで、小泉さんを批判。経済面ではこのときの スタンスは、共産 社民 自由 公明 民主=自民という感じだった。
なお、共産党は、公共事業批判票を小泉さんに奪われ後退しました。
その後は、むしろ、民主党が経済的に左へ向かい、自民党が右へ向かった。
2003年総選挙で、自由党と合併した民主党を、自民党と同じと して共産党は批判したが票を減らした。それは、自民党より右だった 民主党が、少し左へよった中で批判したからということもある。
民主党が自民党に擦り寄ってけしからんという認識自体が誤りです。 民主党のほうがもともと自民党より右で、それに2001年以降、 自民党がすりよってお株を奪ったのが事の真相です。
一方、2003年総選挙では鳩山さんは地元では公共事業たたきは しなかったそうです。
しかし、自民党より右だった民主党を批判できなかった共産党が いまさら批判をして、しかも小選挙区に立候補を全部して、 最後は社民党の批判までしだすという有様に、心ある無党派は、 あきれてしまった。かくて共産党は2003年総選挙に惨敗したのです。
その流れは、2004年も続いた。岡田代表は実は経済では菅さんより 左です。岡田さんは、農業支援の充実や年金充実を掲げ、2004年参院選で 勝った。だが、相変わらず、共産党は、自民、民主の相対的立ち位置の 逆転に気づいていなかった。そして反発を買った。
2005年総選挙で岡田民主が惨敗したのは、個別政策=本音では、 年金充実、農業充実、子育て支援など「大きな政府」施策を掲げながら、 10兆円歳出削減などをぶち上げ、わけがわからなくなって自民党に 矛盾を突かれたのです。郵政は実はあまり関係ありません。むろん、 郵政で無党派が動いたのは事実ですが、経済政策で筋を通していれば 目の肥えた保守層は民主に入れたはずでした。惨敗はなかったはずです。
その後、前原さんは、自民より右へ行く路線で求心力を高めようとしたが 自爆。小沢さんに交代。
このころは、ついに共産党=保守左翼、民主党=保守本流、自民党=革新右翼という 構造になりました。自民党は、国民政党から、新自由主義とバックラッシュの 唯一前衛党に変質しました。民主党が、かつての自民党の位置を占めたのです。
そういうなかで、明白に民主は自民よりましである。共産から見ればどっちもどっちかも
しれない。
しかし、昔、共産は「自民よりも右だった民主」と共闘しようとしたのに、いまは、
逆に、「自民より左の民主」に非難を浴びせている。その矛盾に多くの有権者が
意識しているかどうかは別として、気づいているのです。
そして、もともとは、共産党は党利党略で、自民党打倒より自党議席を 優先させている、民主党や社民党の足をひっぱている、というのが、 主たる民主党や社民党支持者の共産批判でしたがいまはそれもあてはまらない。
先の補選では、先の総選挙の65-45%しか得票できていないのが 共産党です。「立候補により反感を買い、票を減らす」段階についに入ってしまった。 独自候補を立てなくても、比例区の票は減るかもしれない。しかし、立てれば反感を買い、 もっと激減する。そういう事態なのです。神奈川16区では本当の基礎票も割り込んでいる と見られます。
いまや、立候補とりやめ、選挙協力参加を求める市民(前は批判者として 共産党中央が捉えていた)こそが、真の愛党者である。 独自候補擁立にこだわり、執行部批判をしないひとたちこそ、 実は、反党ではないのか、などと思ってしまいます。
どっちも票は減るかもしれないが、しかし、協力したほうが傷口は 抑えられる。そして、革新右翼・新自由主義・バックラッシュ唯一前衛党・ 革命政党の自民党を政権からまずおろす。
民主党も理想ではないのは確かだが、「保守本流」というのは財界とも手を結んでは いるが、「革新右翼」よりましなのです。「自民党政権を倒してなんになる」などという共産党 支持者の方、あなたこそ、党を滅ぼす。本当に党利党略を追求したいなら、 執行部に諫言を。そして、除名されたなら、自分たちで新しい政治勢力を 起こし、選挙では比例区で共産党、多くの選挙区で野党共同候補に協力 してもよいでしょう。
民主党には、平和主義者や反新自由主義者も少なからずおおい。 タカ派もいるが、あえて憲法には触れず、福祉や子育て支援、環境などに 熱心な民主党議員が結構多いのです。そういうひとたちに働きかけて、 すこしでも、護憲側に引っ張り込むことこそ必要ではないでしょうか?
自分たちこそ偉い、自分たち以外は敵だという印象を与えてしまうような 行動こそが、党を滅ぼすのではないでしょうか?
http://www.pluto.dti.ne.jp/mor97512/C02999.HTML
以上のような森田実さんのような批判を招くような事でいいのでしょうか?