「さざ波通信」に、「日本国憲法が日本革命の綱領となる時代 の到来と無党派、共産主義」が1-3でシリーズで掲載されて います。 力作です。
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation/s06113.html
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation/s06114.html
http://www.geocities.jp/sazanami_tsushin/dc01/situation/s06115.html
私個人は、共産党を特別支持しているわけではないが、今回 の論文の力作ぶりにまず脱帽します。その上で若干の提起をさ せていただきます。
無党派層の動向について
無党派層について、
1)1200万人の野党系無党派(原さんは革新無党派と呼ん
でおられる)
2)800万人のマスコミに影響されやすい新自由主義無党派
(原さんは新保守無党派と呼んでおられる)
両者をそこそこ、経済的に豊かになった上に成立していると 分析しておられます。
私は、敢えて言うならば、前者の1)のうち、たしかに、元 社会党(労働組合+確信的リベラル=福祉とか街づくりとか男 女共同参画などの市民活動をしているような人)が、1000 万程度はいると思います。この間補選があった大阪9区は有権 者43万人ですが、そのうち1996年に大谷信盛さん(民主 )に入れた3万4千程度+96年の共産候補(実際は社民も入 っている)4.3万から、2003年総選挙での共産2万+社 民1万を引いた1万強(諦めて寝返った)をあわせて4・3万 程度がそうだと思います。
全国で言えば1000万程度。
これに、無党派層と言うのはプラスして実は、私は、自民党 から遊離した層も結構いると思います。自民党の組織選挙が通 用しなくなっている。昔は3割台前半あった絶対得票率(19 90年総選挙)から、最近はせいぜい小選挙区で25%程度で す。公明党が小選挙区では600万程度入れていることを加味 すれば、2割弱です。だから、1200万程度が、自民党から 離れている。この層も実は無視できないと思います。そして、 彼ら、彼女らは、棄権するか、仕方なしに野党に入れるかして いる。
民主党の得票と言うのはだから、保守層から1000万、革 新無党派から1000万と大雑把に計算できます。それと地域 によってはネオコンの民主党議員もおり、そのキャラによって 入れる新自由主義無党派もいるでしょうが、今は自民党にほと んど流れているのではないか?
国民新党、新党日本が300万弱ありますが、ここも、彼ら 、彼女らの受け皿になっています。
私自身も、昔は、自民党のほうが現実的と判断してそう投票 していた時期もありましたが、今は野党支持です。ですから、 この層を一応考えておきたいというのが私からの注文です。
ただ、原さんは、革新陣営(日本共産党)についての課題を 述べられていますので、ここまで要求するのも酷かと思うのは 承知ですし、これがないからといって原論文の価値が減殺する ものではない。
「偉い人」の締め付けでは動かない!
要は保守であれ、革新であれ「偉い人」の号令一下で、将棋 の駒のように動くような時代ではないということです。それが 、原論文の「肝」だと思うのです。
保守であれば会社ぐるみ選挙や地縁、血縁、革新であれば組 合の取り組みおよび、「偉い人」の発する共産主義などのイデ オロギー、これが崩れているということ。前者は構造改革によ り、後者も組合の衰退、そして原さんご指摘の旧社会主義圏崩 壊によりおきた。
公明党と財界・高級官僚・確信的な革新右翼(バックラッシ ュ派の宗教団体など)以外は全員無党派、といっても差し支え ない時代に来ていると思います。ゴリゴリ自民党なんて、大阪 9区で言えば今や6万弱程度。それと創価学会が3万強程度で す。
この流動的事態を見て、一体何が起きているのか、分かって いる人は少ないと思う。まず、小泉さんが気付いた。小泉さん は800万の新自由主義無党派を取り込むことに成功。その後 、今度は、小沢さんが、攻勢に出た。小沢さんは、経済的左派 に路線をシフトして、構造改革に不満な保守層をひきつける作 戦、一方で、共産党支持層も切り崩す作戦に出た。それが今は 奏功しています。国民新党も似たような作戦です。
出遅れた左翼陣営
共産党や、共産党でない、古い体質の左翼がある意味一番遅 れている。固定したイデオロギーに囚われている。
古い体質の左翼の一部は「社共共闘」の幻想に囚われている 。社共の偉い人をなんとかくっつけようとしている。そして、 政治手法的には、自民党と変わらない、裏でこそこその料理屋 政治である。この料理屋政治からは多くの場合、女性が排除さ れる(女性は、家庭的責任が重いから夜中まで残れない)。彼 ら(女性であっても極めて男性的視点になっている)は、無党 派層あるいは女性と言う視点がない。女性を候補者に担ごうと することもあるが、あくまで票取りのため、あるいは、女性な ら落ちてもダメージが少ないだろうという安易な女性蔑視によ るもので、一歩間違えばバックラッシュ派と同じ地位にまで転 落しかねないのです。
そんな手法では、人々は動きません。いくら、政策的に「正 しいこと」を言っていたって、「革新は共闘すべき」といたっ て動きません。自民も民主も怪しからんといたって、いわゆる リベラルな男女共同参画なり福祉なりの市民運動をしている人 の多くは民主ないし辻元さんら社民市民派にながれており、共 産や新社会などは歯牙にもかけられていないのが現実です。
だから、無駄なエネルギーです。大衆の間で泥に塗れて運動 をする覚悟もなしに、料理屋で調略して、という手法は通用し ない。共産党以上に参院選では有権者から見放されかねない。
共産党も共産党です。「無党派との共同」を言いながら、実 際は革新懇を広げることが無党派との共同。そうではなく、あ りのままの市民運動などと対等に一致点で連携していくこと。 そして、少々のことは目を瞑ってもとくに首長選挙などでは共 闘すること。その懐の広さがなかったらどんどん票を減らしま す。実際、福島県知事選では、共産系候補は2004年参院選 の12万8000票から38000票に激減させています。こ のままでは参院選では、1-2議席、社民党、国民新党さえ下 回りかねない。
共産党の内部は、割れているように思える。すなわち、若手 の社民リベラル志向派と、古手の共産主義・民主集中制維持派 です。不破さん・志位さんはその両方をなんとかバランスしよ うと四苦八苦している。
図の横軸は政策軸(右=社民、左=共産主義)、縦軸は組織 体質(上=リベラル、下=権威主義)です。不破さん、志位さ んは、若手党員からはその権威主義的体質を嫌われ、古手から は、政策で右傾化していると批判されている。結局、若手も古 手も燃えることができず力が出ない状態になっているのではな いか?やはり自分の確信点で闘ってこそ完全燃焼できると思う のです。(私が、「館長雇い止め・バックラッシュ裁判」に取 り組めるのも、これがしっかりと全労働者的課題であるという 確信があるからです。)
共産党は、1990年代末に躍進したことがあった。そこで 、無党派層を取ろうとして、政策を右に寄せたのが失敗だった 。放棄すべきは、スターリン主義だったのにです。その結果は 、「じゃあ、民主党でいいじゃん」という有権者を、右上領域 から出してしまった。
そして、古手党員も、完全燃焼できない。しかし、そういう 不満の声は、中央集権的組織体質ではなかなか上がってこない 。議論もないから、古手と若手の断絶は激しくなる。議論をし て結果として連帯を深めるという道を早く取っていただきたい ものです。