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「現状分析と対抗戦略」討論欄

「福田政権とグローバリズム」

2007/9/27 さとうしゅういち 30代 サ ラリードパーソン(連合組合員、社会市民連合、一応民主党員 )

 グローバリズムへの対応方法には、4種類あります。

1、グローバリズムが進むがままにして、何も対応しない
2、グローバリズムは進めるが一方で、「大きな政府」で対応 する。
3、グローバリズムを抑えて、政府が大きくなるのを抑制する 。
4、グローバリズムを抑えつつ、大きな政府による所得再分配 も行う。

 この4象限になるかと思います。ただし、現時点では「市場 経済を否定する」という選択しはないでしょう。グローバリズ ムを抑えるというのは「ルールを競争の中に埋め込む」という 意味です。

 このうち、1については、小泉純一郎さん、安倍晋三さんの 路線です。この路線では、経済は成長したように見えたが、名 目成長率は低迷しました。貧困層は増大し、中間層も生活不安 におびえ、内需は低迷しています。したがって、ここからの「 なし崩し的脱出」を福田総理は図っています。

http://www.news.janjan.jp/government/0709/0709242891/1.php

 2については、二種類に分けられると思います。どちらかと いえば、A.軍事的に押さえつけることによる「大きな政府」と 、B,「セーフティネット」で緩和しようという「大きな政府」 です。

 アメリカは、Aに、Bをかみ合わせたようなものです。ただし 、Bであっても「落ちるところまで落ちた人」に手を差し伸べ るののと、「ひどくなるまえにやり直しができるようにする」 のでだいぶ違ってきます。

 3については、旧来自民党がそれに近いと思います。ただし 、これは、企業が割合自主的に、社員の福祉を守ってきたとい うことに依存しています。企業とか業界団体から外れた人は悲 惨という欠陥がありました。

 4、については、北欧諸国などがこれに近いと思います。し かし、セーフティネットをきちんと整備しておけば、「落ちる ところまで落ちる」人が少ないので、却ってその分、生産性も 全体としては高くなる、ということがあります。

 日本は、3を嫌がるあまり、1に移行しました。この結果が 、急速な貧困の増大です。

 では、アメリカ的な2も実はコストがかかる。まして、戦争 をしまくるという選択肢は論外です。

 そうすると、ある程度、もう一度、グローバリズムへの規制 を一定程度かけつつ、所得再分配も行う、という中での選択に なってくるのではないでしょうか?

 すなわち、企業活動にある程度規制をすることで、格差を緩 和する。そうすれば福祉費用は少なくて済むのです。企業があ る程度雇用責任を持てば、失業保険給付や生活保護給付が少な くて済むというのがたとえになるかと思います。

 私が具体的に思いつく例では、「正規雇用のと非正規雇用の 均等待遇」のほかに、
1、三角合併解禁や、時価会計・減損会計の撤回。
2、金融システムに悪影響を与えているペイオフ解禁の撤回、
3、海外移転税の設置、
4、トービン税(為替取引への課税)、

などが考えられます。

 ただ、規制を行うには、グローバルにやらないと効果がない ようなもの(外貨取引など)もある。

 しかし、一方、グローバリズムを野放図に進めてしてしまえ ば、貧困層が拡大し、逆に社会的なコストが膨らむのではない か?企業の乗っ取りがしやすくなったことで、企業は目先の利 益を考え、安易なリストラに走る傾向があります。そうすると 、結局、生活保護などのコストがかさむのではないか、また内 需が低迷してしまうのではないか、と思われます。

 現在、福田さんはおそらく、2-Bあたりへの移行を考えて おられる。民主党は2ーBと4の折衷だと思います。将来的に は、2、3、4の間で振り子が動く、というところではないで しょうか。ただ、確実にいえるのは「小さな政府は幻想」とい うことです。「問題先送り」なのです。

 目先は、人々が痛めつけられていることにかんがみる必要が あります。したがって、応急手当として、所得再分配もしつつ 、グローバリズムを抑える、くらいをしないといけないのでは ないか、と思うのです。

 そのあたりをにらんだ、政策論争を大いに国民的にしていこ うではありませんか?

 ただ、まずは、総選挙をして、その中でこうした政策につい て、大いに議論するというのが望ましいと思います。どういう 方向でいくのか、「1からの脱出」を国民的合意としつつ、そ の後、当面どちらへ向かうのかを問うべきです。