8月30日の総選挙をめざして、一斉に各党は選挙戦に入った。
具体的根拠にもとづいて、展望を述べるべきであろうが、今回は直観において以下記したい。
自公政権が倒れた場合、民主党中心の政権ができるだろうと私は考えているが、実際にはもう少し入り組んだかたちになるだろう。
それは、民主党自体にさまざまな勢力が割拠し、もし自民党と自民党離党者が政界再編成をもくろんだ場合に、かつて自民党の危機にハト派の河野洋平氏をリーダーに「新自由クラブ」が結党され、大きなブームをまきおこした記憶を思い返したからである。
いまのところ、保守勢力で政界再編の動きを示しているのは、離党した渡辺喜美氏、地方自治体首長関連の中田元横浜市長、大阪府知事の橋下氏、さらに場合によっては、国民新党の綿貫氏なども非自民の立場で保守政党の再編成に関わるかも知れない。
また、元長野県知事だった田中康夫氏の新党日本も民主党と提携して総選挙に臨んでいるが、肝心の民主党の内部で分裂があった場合には、政界再編成と無縁ではないかもしれない。
社民党が、国民新党とともに強力な民主党連立政権を築き上げた場合には、そのような政界再編の動きがあっても、政権は形づくられていくだろうが、背後にアメリカ政府と軍部、経済界の圧力によっては、予想外の展開が予期される。
いま言えることは、いずれにしても、政界再編とは距離をおいた日本共産党、社民党などの護憲勢力が国会において、しっかりとした意見を表示しつづけ、それが国民の無力感とならない現実的な手応えをもつ、そんな議席を獲得することだろう。
都議会では、民主党と自公両党とのせめぎあいが始まり、想わぬかたちで、生活クラブ生協東京と共産党との10議席が、キャスティングボードを握った。
総選挙の結果、自公政権が倒れて民主党政権が樹立されたとき、その政権が、「小泉改革」政治によって破壊された国民生活を再建する政策と行政を実行できるなら、大いに国民は支持するだろう。逆の場合には急速に国民の間に虚無感が広がる。
現在大切なのは、護憲と平和についてのきめこまかな政治的対応のできる政治勢力である。日本共産党にとって言うならば、原理原則を堅持しつつも、柔軟な戦術と戦略が駆使できるかどうかが、この政党の今後を決める。雇用と福祉について大衆運動を展開して、国民の共感を集めている団体や運動家。そのような勢力の運動は、国会での議席数にとどまらず、現実的な抵抗力となって、政治に影響を及ぼすだろう。