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「現状分析と対抗戦略」討論欄

田村秋生様~検察と日本共産党をめぐる対話~

2010/02/07櫻井智志

 本欄1月19日づけの貴兄の力作『権力との闘いを忘れた共産党とは・・・ 「保守・反動・反革命」ですか?! 』をずっと見落としており、大変失礼いた しました。もう今週の掲載は終わっていますので、来週までのびのびとなってい ることをまず最初にお詫び申しあげます。

 貴兄の論点は二つあります。ひとつは、小沢一郎氏をめぐる検察の動きのあり ようです。もうひとつは、この問題をめぐる日本共産党の動静についてです。

 貴兄が主張している検察批判に小生も賛成です。新聞、テレビ、週刊誌などマ スコミの多くは検察と同様の小沢批判の論調です。最終的には小沢一郎氏の政治 的な失脚であるという貴兄のご指摘に小生もほとんど同感です。実際の政局の動 きもそのようになっていますね。貴兄の予言のとおりに。そうとうな政治的判断 が働いています。

 二つ目の論点は、日本共産党の動静です。共産党は、政治献金や賄賂、政治資 金の問題について真正面からのぞみ、その主張は正義感にあふれていますし、政 治とカネの視点から言っても間違いでなく、正しいことを言っています。そのこ とはやはり評価すべきことであり、汚職と金権政治批判は許されるべきではあり ません。

 しかしながら、「クリーンなタカ派」と「ダーティなハト派」という視点を提 示します。これは小生の独創ではありません。かなり昔から、哲学者の久野収氏 とその最良の弟子でもある評論家・週刊金曜日編集長の佐高信氏が主張していま す。今回の小沢一郎氏に対する検察の方針は、二つの問題をはらんでいます。ひ とつはマスコミをリードしながら、リークがなされているという批判が噴出して いるように、政権から下野した自民党と連動して徹底的に小沢氏および民主党を 叩きつぶすための小沢批判としか思えないような現実が展開されています。その 際に、日本共産党は、完全に自民党の戦略の「客観的な」応援団の座席に座って いってしまいます。これは、日本共産党を支持する人々が諸手をあげて支えてい るのでしょうか。小生にはむしろ逆のようにしか思えません。

 民主党の羅針盤なき迷走ですが、それでも国民の自公政権の悪政にとどめを刺 した結果を多くの国民は支持しています。もし日本共産党が「建設的な野党」に 徹するというのなら、政治とカネの問題に対する同党の政治的理念の表明を鮮明 にしつつも、自公両党と同一視されるような公的発言や政治行動を選ぶ愚かしさ は避けるのが賢明な選択です。NHKテレビは自公両党が小沢氏の議員辞職勧告 案を提出したら、共産党も同調するようだとはっきり報道しています。自民党の 戦略に踊らされる愚は避けるべきです。
 今回の共産党の動きに失望した国民の声の一つとして、貴兄の『こちら「さざ 波通信」さんの皆さんが、もはや完全に”検察権力の走狗”となってしまった「日 本共産党」の一員でもあるというのは、悲しいことです』という文を象徴的で す。さざ波通信は、全員が日本共産党のメンバーでもないし、小生自身も共産党 を含めた国民統一戦線の提唱者であるに過ぎません。
 でも貴兄の切々とした主張に強い共感を覚えます。

 今後、貴兄の次のご指摘がどのように現実化されるのか、小生も注目したいと 考えます。

『それは、≪検察の権力構造に手を入れようとする与党≫と、対する旧検察・法 務・警察官僚たちの、民主党首脳が法案化しようとしている≪外国人参政権、捜 査の可視化≫や≪指揮権発動、検事総長の人事など≫を行使させまいとする”権力闘 争” そのものと思います。』

 小生の文、≪国民は、しだいに言論無用のニヒリズムに陥っていくことだろ う。ニヒリズムの社会心理は、議会制民主主義の制度の形骸化と並行して、広く 国民に無力感を拡大させていく≫を引用なされた後に、貴兄は続けます。

『残念ながら僕もまた、絶望の縁に佇むことになるでしょう、明治来140年余 の「政権交代」をやっと果たせたと思ったつかの間・・・まだ4ヶ月しか経って ないのに!です。12年以上も止むことなく続く”年間3万人以上の自死者”の無 念、怨嗟を想うとき、この国の「左派」は何を学んだのか? そんな程度の”痴 性”なのでしょうか?!』
『僕は、皆さんとこの点では異なるか知りませんが、およそ75年前の政治状 況・・・スターリンとヒットラーの握手(独ソ不可侵の秘密協定)は、その後の ナチスの第二次大戦への突入や反ファッショ・左派戦線の分裂・弱体を誘って いった役割は、絶対に許せない歴史の事実と思うのですが、、、それを今また想 起させます。最後に、「さざ波通信」の皆さんが、党内主導権を握れるべく期待 してます。』

 貴兄も小生も、ともに世界史と日本史の教訓に学びつつ、二度と軍国主義をモ ダンな形式で再来させぬよう、わずかなことでも言葉を発することで共同できま すし、連帯は孤独ではなく、広く国民的視野に立ち、現代ファシズムの形態のひ とつである「新自由主義・小泉純一郎的庶民生活破壊改革」を再開させぬよう、 民主党連立政権に託された国民の意思表示をさらに前進させていきましょう。