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「現状分析と対抗戦略」討論欄

日本共産党への期待と注文

2010/5/3 櫻井智志

 日本共産党志位委員長は以下のように述べたとHPは紹介している。

志位氏は、現在の情勢について「総選挙から8カ月の政治的体験を経て、新しい政治 への国民的探求が新たな局面を迎えている」と強調しました。
 民主党政権について、国民の期待と公約に背く裏切りを重ね、失望が怒りに変わり つつあると指摘。同時に、強権的国家づくりにつながる「国会改革」と「地域主権」の名 による規制緩和路線に警鐘を鳴らしました。国民から退場の審判を受けた自民党につ いては、政党としての崩壊過程が始まっていると指摘しました。
 「自民か、民主か」の「二大政党」論が猛威をふるった1年前から様変わりし、国 民が「二大政党」にまるごと不信と批判を向けつつある新たな政治状況のもとで、自 公政権を退場させた国民の切実な要求にこたえ、政治を前にすすめる政党は日本共産 党だけだと強調。それを広い国民の中に伝えきるならば、参院選躍進の大きなチャン スが目の前に広がっていると力説しました。

 政治には楽観主義も大切だが、同時に冷静な分析も必要である。私は共産党の政策 や集団に比較的親近感をもつが、上の志位さんの分析には疑問がある。

 民主党連立政権が、政策を展開しようとしたときに、自民党を中心とする勢力は、 マスコミの力を借りて、徹底的にスキャンダルでたたきつぶそうとしてきた。国民 は、自公政権を倒した国民が政治を前に進めるのは共産党だけだと思っているだろう か?
 支持率や国民の動向も見極めずに周囲の共産党シンパの動きだけでそのような結論 をくだせるのか。

 私は、国民の動向に危険を覚える。わっと一方にかけより、もてはやすとつぎは別 の極にわあっと集まる。国民がしっかりと政策や物事を冷静に判断してじっくりとこ の国に民主主義を育てていこうとは、していない。ナチスの深層心理の操作戦略を 使って国民のコントロールをはじめたのは、小泉内閣のときの世耕参院議員の巧妙な 情報操作らよる心理的なコントロールであった。国民は、共産党を支持して賢明な投 票行動をするような状態にはない、それが私のとらえかたである。

 民主党連立政権にできるだけ自公政権の空白の政治年月をうめるような政治を実行 するよう応援すべきだった。その上で、共産党の改善策を打ち出すべきだった。
 いま日本の政治状況はきわめて危険な位置にある。一歩間違えると大政翼賛会状況 になだれうっていく危険がある。そのことを自覚しているふしが、志位委員長のあい さつからは少しも感じられない。選挙のたびごとに、空前の情勢が待ち構えていると 豪語して、いったい衆院40議席台、参院20議席台から、いまでは両院ともひとけ た!!!議席ではないか。あまりにもこういうことが続くと、国民は期待したくて も、かやの外においていくようになる。
 政治とは、期待や楽観的観測ではない。情勢を分析的にとらえ、それにもとづいて 明確な方針を打ち出し、それにもとづいて広く国民的な運動を推進していくことだ。

 私は、日本共産党を支持しているが、それはこの政党に良心的で自分のことだけで なく、ひとのために世のために尽くすたくさんの人物がいたからである。決して共産 党の選挙政策を支持しているわけではない。少しも科学的でなく、空想的な選挙対策 では、しまいには泡沫政党になる。政治的危機は、自民党や民主党だけではなく、日 本共産党にもおしよせていることを自覚しないと、とんだしっぺ返しを投票結果から くらうだろう。