昨年の日本共産党第25回大会決議の第2章9節に次のような一節がある。
「過度的な情勢」とは主権者・国民の審判によって日本の情勢が大きく前に踏み
出したという新しい情勢だが、それが今後どういう方向ですすむかは不確定であ
り、それは国民の世論と運動、政治的な力関係のいかんによって決まってくる。
私達はこのプロセスを逆行させ、「二つの異常」(異常な対米従属、大企業・財
界の横暴な支配)の政治の枠内に閉じ込めようとする動き、そうした動きが現実
のものとなる危険性をけっして過小評価してはならない。・・・・・・
政権交代後の8ヶ月間の政治の動きはこの一節が見越していたかのような、
まるで絵に描いたような展開となった。
沖縄県民大会などに示された「基地の県内たらいまわしノー」という沖縄県民の
意思を踏みにじり、また自らの「最低でも県外移設」という公約にも反して、鳩
山政権は普天間問題で名護市辺野古に新基地を押し付け、徳之島や本土にも海兵
隊の訓練を分散する方針を決めてしまった。
だが、訓練の分散による基地被害の拡散ということは自公政権時代の日米合意に
もなく、自公政権時代の方針をさらに悪くしたものであり、鳩山政権は公約を投
げ捨て国民の期待に背き、国民を裏切ったのである。
さて、この普天間問題に象徴される鳩山政権の転落には根本にアメリカと財界に
モノが言えない政治があり、特に普天間問題をめぐってはアメリカにモノが言え
ない政治がどこまで転落するかをものの見事に示したといって過言ではあるま
い。
こうして、「異常な対米従属」と「大企業・財界の横暴な支配」という”二つの
政治悪”を自公政権と共有する民主党政権は、自民党政治に変わる新しい政治の
中身を探求しつつある国民の模索をあざ笑うかのように日本の政治の反動的な逆
行に踏み出したかのようである。
普天間問題での国民への裏切りはその大きなターニングポイントとなるであろう
し、首相交代後の民主党政権は比例定数の削減をはじめとした民主主義に逆行す
る一連の反動的改革へと乗り出してくるだろう。
また、財政再建をキーワードにして消費税の増税へとその歩を進めるに違いな
く、この問題でも自民党という力強い仲間が後押しするであろう。
こうして、かっては日本共産党指導部が政権交代を望む圧倒的多数の国民の前に
立ちはだかってまでも警告し続けた民主党政権のはらむ危険性が実証されつつあ
るかのようであり、まさしく自民党と悪政を競い合う民主党の本性が誰の目にも
明らかなものとなってきたのではあるまいか。
ここにおいて自民も民主も同類であり「同じ穴のムジナ」であることが全国民的
な政治体験によって実証されつつあり、日本共産党指導部の「たしかな野党」と
しての存在と「先見の明」が輝く情勢となりつつあるかのようである。
このサイトで過去に全小選挙区立候補に象徴される共産党の自党第一の”有害な
セクト主義”が批判され続け、また民主党への政権交代にネガチブな立場をとる
共産党指導部のこの間の一連の方針にたいしても数多くの批判がなされてきた
が、これらの批判は鳩山政権の転落という無残な惨状により具体的事実を持って
反証されてしまったのではないだろうか。
当面の参議院選挙では「自民もダメだが民主もノーだ」という党指導部の選挙方
針を尊重し、消極的ながらもできる範囲の選挙活動をおこなうつもりである。
だが、一度自分にこう言い聞かせても素直に受け入れられない心の中のわだかま
りがあるが、このわだかまりとはなんだろうか。
自分でも明確に分析しきれないでいるのがもどかしいこの頃である。