七月十一日に迫った参議院選挙は、今後の国政を方向づける点で、今までの国政選 挙と同様の意義をもつ。今回の特徴は、自民党を基盤とする相次ぐ新党の中でも「み んなの党」がどの程度伸びるかが表面的には目立つが、背後には民主党政権では野党 になる政党が、日本共産党と社民党をのぞけば、圧倒的に憲法改定を肯定する政党ぱ かりという点にある。
民主党連立政権が発足した時、鳩山首相には賛否渦巻いていた。私見では、鳩山氏
と幹事長の小沢一郎氏とは、民主党の党是よりも踏み込んで、対米従属路線の見直し
を企図していた。ロシアとの積極的な外交方針や中国、東アジアとの共同体構想など
は、その一環と思える。
しかし、これに対して財界とオバマアメリカ政府とは猛然と巻き返しに出た。マス
コミの徹底的な反鳩山・小沢キャンペーンはついに鳩山氏の外交方針を叩きつぶし
た。あれほど沖縄の米軍基地移転を公言していた鳩山首相が、あり得ない醜悪な「転
向」方針で、沖縄に無理難題をおしつける政策に逆戻りした背景には、アメリカ政権
からの介入がうかがわれる。
市民運動出身の菅直人氏は、総理となって権力的現実主義路線に踏みこんだ。元々
は戦前戦後の婦人解放運動に取り組み続けて二院クラブの国会議員市川房枝さんの側
近であった。しかし、今は鳩山・小沢路線よりも保守路線に傾く政策を選択しはじめ
た。
参院選の中でも、東京選挙区は五名枠にあいつぐ有力候補がおしよせ、激戦区であ る。当初比例区のみの立候補予定だった社民党も、選挙区候補を擁立した。民主、自 民、公明、みんなの党、国民新党と軒並み候補者がそろった。本来なら、社民党と共 産党で、平和共同候補として統一されれば当選の余地もあっただろうが、護憲勢力も ばらばらである。
私はこのような状況下で、やはり数十年も東京に議席があった共産党が連続二度の
参院選で議席を失っていることに注目せざるを得ない。かつて野坂参三氏、上田耕一
郎氏、内藤功氏など東京から出た国会議員は共産党の中枢に位置していた。本来なら
議席獲得に比較的有利だった比例代表区からの立候補を、東京選挙区に移しての立候
補に変えた共産党中央の方針には、なみなみならぬ覚悟を感ずる。
市民運動でも、「小池晃氏を応援する市民勝手連Q」や「東京の共同候補に小池晃
氏を」などがインターネットを媒介に立ち上げられている。前者の勝手連には、非共
産党の村岡到氏など幅広い文化人も加わって、平和共同候補として、無党派民主主義
者と共産党と市民運動の連携を探求している。
厳しい選挙情勢の中で、あえて党勢だけでは当選しがたい東京から立候補した小池 晃氏。氏が今後の政界で護憲と平和を新しい活性化された政治運動として沈滞から脱 出する足がかりとなるのなら、やはり東京選挙区で当選するに値する平和共同候補 は、小池あきら氏をおいて他にいないと考える。