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「現状分析と対抗戦略」討論欄

沖縄・東京二つの知事選挙

2010/11/26 櫻井智志

   沖縄県知事選挙の結果は、この小論が皆さんの目に触れる頃には、 すでに決着しているかも知れない。
 自民・公明などの推す現職に、共産・社民・社会大衆党・国民新党 の推すイハ候補は拮抗した闘いを展開しているが、終盤に民主党党 本部の意向もあってか、民主党は現職を応援していると聞く。

   今回の知事選の真っ最中に、北朝鮮による韓国との武力紛争の報 道が世界中に知らされて、米韓軍事演習をはじめ、様々な衝撃が伝 えられている。実際には、武力紛争発生に先立って、米韓軍事演習 は決定されていた。演習に動員される兵士などの人員や潜水艦、戦 闘機などの物資は、韓国への武力攻撃の報道によって新たに準備で きて、間に合うような小規模のものではないことを、私たちは忘れ ずにおきたい。

   沖縄の結果については、こうして執筆している現在の私には知る べくもない。ただ、二つのことは言える。南北朝鮮の紛争は、軍事 体制に対する東アジア全域の危機管理問題として、日本国中を保守 主義に回帰させる否定的影響を及ぼしている。軍事態勢として、日 本はアメリカの強大な保護によってこそ守られるという、実態とは かけ離れた社会心理を国民に与えた。それがどちらの陣営に有利に 働くかは推測しうる。
 もうひとつは、選挙の勝敗以前に、沖縄県知事選挙に全国から個 人の手弁当で現地におもむいて、護憲候補勝利のために奮闘してい る方々がかなりいた。この盛り上がりこそ、東京都知事選挙でも重 要なヒントとなろう。

   来年の四月には東京都知事選挙がおこなわれる。保守勢力からは、 さまざま名前が取りざたされている。しかし、革新都知事の伝統を もつにもかかわらず、「明るい革新都政を創る会」のような選挙母 体はもちろん、革新勢力からの候補擁立も表面化した動きはない。
 私に目論見があるわけではないが、少しでも候補擁立運動にまと もな護憲勢力が検討に入るべき時期にあることを呼びかけたい。来 年になったら、もう遅い。
 日本共産党や社民党が、アリバイ工作程度で、ぎりぎりちかくに なって候補者を決めて、お茶をにごすようなら、来春の統一地方選 挙は全国的に惨敗を喫することになるだろう。

   沖縄知事選に取り組んだ護憲勢力の皆さんから学びたい。東京都 知事選も、勝つか負けるかの前に、まず優先順序として第一番目の 課題がある。「闘争」しているか「逃走」しているか。現時点にお いて、まずはそこが問われている。