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「現状分析と対抗戦略」討論欄

それでも東京都知事選は刻々と近づいている

2011/3/18 櫻井 智志

 私はある報道に驚き、以下の記事をインターネット上のある新聞に投稿した。

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東京新聞3月15日夕刊E版第8面で、『「天罰発言に宮城知事不快感」という記事 が掲載されている。主観を交えず、ニュースそのものを第三者として紹介する。
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 宮城県の村井嘉浩知事は十五日、東日本大震災に関し「天罰だ」などと発言した石 原慎太郎東京都知事に対し「被災者の気持ちをおもんばかった発言をしてほしい」と 不快感を示した。県庁で記者団の質問に答えた。

 石原知事は十四日、震災への国民の対応について記者団に問われ「津波をうまく利 用して、我欲をやっぱり一回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」などと 発言。その後「日本に対する天罰」としたが、村井知事は「苦しみを味わった人たち がいることを常に考えて」と苦言を呈した。
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(以上原文のママ)

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 この記事は、掲載されてすぐに削除されて、次のようなメールが届いた。

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「東京都知事発言に宮城県知事不快感」の記事は、●●市民記者規約に反しますので 本日19時52分に公開を停止しました。
また、当運営委員会で協議の結果、貴殿の市民記者としての記事公開権限を停止しま した。
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 私の記事が、新聞の転載で、それは著作権法から言っても、問題があることは認め る。ゆえに記事公開を停止したこともわかる。最後に、一切の投稿を拒否する、とい うのもその運営員会の当然の判断である。

 この記事が、反石原陣営の候補者の言動についての新聞記事転載を私がおこなった ら、同様の措置を受けただろうか。
 私は私の誤謬を正当化はできない。にもかかわらず、石原慎太郎氏は守られているん だなぁと感じた。全文を掲載したことの稚拙さを恥じるとともに、アドレスを記入し て、その論評にとどめただけなら、よかったのかもしれない。

 さて、本題にはいる。
あいつぐ石原慎太郎氏の人権蹂躙発言は、もう都知事になってから何度も何度も繰り 返されてきた。中高年女性への差別発言、障害者への差別発言。
それにもかかわらず、石原氏は投票者の七割以上の得票率で当選してきたこともあ る。

 私の家内は、どちらかといえば堅実な生活派で保守的である。その家内でさえ、石 原氏を「当選しないんじゃないの。投票するひとがいるのかなあ」といぶかしげに 言った。私も、このような東北関東大震災と原発爆発事故と言う二重の戦後最大の災 害のもとで、生活を堅実に再建しうる政治家は、石原氏のような大衆迎合政治家には 無理であると思う。
 また、「樹々の緑」氏の言うような、共産党を前面に出すのではなく、国民的な支 持のある候補者を、多くの市民団体が相次いで押し上げていくような候補者でもない と私は現時点に至っては考えている。

 もともと私は容共派統一戦線派の立場による現代型の統一戦線構築を願ってきた。 このさざ波通信でも、日本共産党の党派主義を批判してきた。しかるに、前々回の参 院選東京地方区で、社共候補が落選して、川田龍平氏が無党派候補として当選した。 川田氏はいま自民党を離党した渡辺喜美氏が立ち上げた「みんなの党」に入党した。
 現在の未曾有の危機のなかで、党員でもない私は日本共産党の内部の実態について はわからない。けれど、小池晃氏が地道に追求してきた政治活動は、ワタミの社長や 石原慎太郎氏よりは、はるかに都知事にふさわしい。
 私の友人は「小池晃さん応援!市民勝手連Q」の事務局長として健闘している。こ こには、前回都知事選に立候補して、できれば統一戦線を結成したいと胸襟を転げて 選挙にのぞんだ吉田万三氏も応援し参加なさっている。外部にいるひとから見れば、 ほそぼそとした運動でたよりにならないと断じるかも知れない。しかし、実際に小池 さんの講演を聴いた人々は、感動している。超空飛行の石原氏に比べれば、地べたを はうような営みかも知れない。それでも私はその営みを支持する。圧倒的な運動の高 まりや大量の大衆動員による波状のうねりがなければ、都知事当然は難しいかも知れ ない。それでも、いま必要な言論活動とは、人数は最初の内少なくとも、よく考えら れた思考とじっくり練られた構想、冷静で総合的な分析による判断。そうしたものを 総合化したひとりひとりの民衆が、自分なりの確かさを伴う自立的思考なのではある まいか。重ねるが、共産党の内情や組織的な実態について私はほとんど知らないに近 い。それでも、小池晃さんと小池さんを支持するひとびとのなかに、どんなに少数派 でも孤立しても、自分の信念をもって難局に取り組もうとする人々を発見する。

 私は、「重要」と銘打った個人メールをよこしておきながら、大衆的な面前では、 「これは、直接に櫻井氏に返答・反論する趣旨ではない。」と何度も繰り返しつつ、 私の投稿を徹底的に論破するような政治的スタイルをとる二面的な論争の方式をとっ た人物には、まともに応答する真面目な意思をもつことができなくなった。以後、そ のことをご承知おきいただいた。個人メールの文面を信頼して議論に臨んだ者の、横 面に蜂を刺されてなお笑顔でいられるお人好しではないからだ、私は。

 もう都知事選は目の前だ。小池晃氏の都知事当選のための運動は、世界中から日本 政府の統治能力を疑われている世情のなかで、シンボルとしての首都東京の知事選挙 において、日本の民衆はこのような道義ある生活再建の闘いを続けている、という実 際を示すこととなろう。その闘争が広く都民の信頼を勝ち得たならば、小池氏は当選 するだろうし、他の候補のそれをうわまわる物量的政治的闘争に比べて下回るなら ば、当選はかなうまい。東北関東震災・原発大被害に世紀末のような窮状を呈してい る日本に簡単には見つからなくなった「希望」。それでも、自己満足ではなしに、そ の「希望」は、早急にはかなわなくとも、広範で大量の草の根の闘いを展望した地道 で持続的な「自主的思考と個性」にもとづく闘いによって、証されるのではあるまい か。保守、革新の色分けに単純二分化せずに、世紀末情勢のなかで再建のためになん とかしていこうと手を広げ手をつなげることを、都政を再建しうるすべての勢力が手 をさしのべあうことを、東京都民に期待したい。